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2019年5月23日

畜産業の担い手を育てる
教育機関でもスマート農業

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妊娠牛を泊まり込みで世話する負担を軽くしたい

京都府南丹市にある京都府立農芸高等学校。農産バイオ科と環境緑地科の2学科があり、毎年約100人の生徒が入学してくる。 校内の敷地には実習用の温室と並んで牛舎も建っていて、ホルスタイン種や黒毛和種などの牛を飼養管理する。 年間平均15頭の子牛が産まれるが、その分娩時には教員に大きな負担がかかっていたと長谷川校長は話す。

「予定どおりに生まれることが少ないので、予定日が近づくと24時間体制で見守っていました。 特に畜産の担当教員は、昼間の勤務を終えた後、仮眠をとりながら夜通しで妊娠牛の点検をするという状態でした。 校長としてはその負担を少しでも軽くしたいと考えていました」(長谷川校長)。

生徒が飼養管理する牛は共進会で優秀な成績を収めている。

生徒が飼養管理する牛は共進会で優秀な成績を収めている。

長谷川校長はたまたま出向いた農林水産イベントの会場で「モバイル牛温恵」を目にした。 分娩兆候特有の体温変化を検知してメールで通報してくれる「モバイル牛温恵」は、畜産担当教員の働き方改革につながるのでないかと直感し、導入を検討。 農産バイオ科の教諭で畜産部の顧問でもある村西先生に意見を聞いた。

「お話を聞いた時は校長先生の配慮がとてもありがたかったです。それと同時に、生徒の学習に役立つだろうと思いました。 飼養管理を教える際には、牛の行動などから体調を推測することを学ばせますが、経験と勘が必要なため、なかなか習得してもらえません。 モバイル牛温恵はセンサーが計測した妊娠牛の体温を手元の端末で確認できるので、体調を把握するための指標となり、学習効果を上げてくれると考え、導入に賛成しました」(村西先生)。

「モバイル牛温恵」のセンサーが計測した妊娠牛の体温変化。

「モバイル牛温恵」のセンサーが計測した妊娠牛の体温変化。

「モバイル牛温恵」とは?

妊娠牛の体温を監視することで、分娩の細かい経過や発情の兆候を検知し、メールでお知らせするシステムです。 24時間体制での監視の必要がなくなり、畜産農家の負担が軽減されます。 また、家畜の発情や着床などをスケジュールで管理することができ、効率的な生産計画の実現が可能になります。

データの「見える化」で学習効果がアップ

導入後、「モバイル牛温恵」を活用して4頭の子牛が産まれている。 そのすべての分娩に立ち会った村西先生は夜の点検が減り、負担が軽くなったと話す。

「モバイル牛温恵の体温データを見て、牛の状態が健全だったら、午後6時で作業を終え、帰宅することができました。 自宅からでもデータを見ることができますし、いざという時はSOS通報がメールで届きますので精神的にも負担が減少しました」(村西先生)。

「モバイル牛温恵」は分娩事故の防止にも有効で、分娩の約24時間前に起こる体温変化を検知して知らせる「段取り通報」や、1次破水を知らせる「駆け付け通報」という機能がある。 それらの通報は畜産部の生徒のスマートフォンにも届くよう登録されているという

「牛舎での作業が終わって帰ろうとしていたら駆け付け通報が届いたので、急いで牛舎に行きました。 その時は村西先生が1人で分娩介助をしていたので、私たち生徒は産まれる子牛のベッドを準備したりタオルを持ってきたり手伝いました。 無事、雌の子牛が誕生した時はすごくうれしかったです。よい経験ができました」(畜産部の生徒さん)。

「モバイル牛温恵」は村西先生の期待どおり、教育面でも効果を上げている。 生徒たちは妊娠牛の体温データを見て、体調を推測できるようになってきたそうだ。

「体温変化がグラフ化されていますので、分娩予定前の数日間のデータを重ね合わせて見ることができます。 体温が0.4℃下がってきたのでそろそろ1次破水があるんじゃないかという予測もグラフを見ながらできるようになりました。 やはりデータとして見えるほうが生徒たちにとっては理解しやすいのかなと感じています」(村西先生)。

5分ごとの体温変化を端末で確認して妊娠牛の体調を把握。

5分ごとの体温変化を端末で確認して妊娠牛の体調を把握。

スマート農業の実践で畜産に携わる誇りを育む

長谷川校長は「モバイル牛温恵」の導入にはもうひとつ大きな意義があるという。 それは、若い人たちが持っている畜産業へのマイナスイメージの払拭。 飼養管理の負担が軽減されたことで、「牛を育てる楽しさ」や「命の誕生に立ち会う喜び」といった畜産業本来の魅力がクローズアップされるだろうと考えている。

京都府立農芸高等学校 長谷川校長

京都府立農芸高等学校 長谷川校長

「私も農業科の教員の出身ですのでよくわかるのですが、農作業や飼養管理には大きな喜びがあります。 ただ日本の場合、経済優先の風潮が強く、ものづくりの喜びよりも生産効率を重視するようなところがあるんですね。 モバイル牛温恵のようなICTシステムを導入することで飼養管理がもっと省力化すれば、畜産業への見方が変わり、将来の担い手も増えるんじゃないかと期待しています」(長谷川校長)。

京都府の農業教育のフロントランナーとしてスマート農業を積極的に取入れ、生徒の意識のなかに畜産に携わる誇りを育んでいきたいと長谷川校長は力強く語ってくれた。

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