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MaaSで利便性が向上!変革する地域の“移動手段”

2020年2月10日

MaaSで利便性が向上!変革する地域の“移動手段”

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フィンランド発祥のMaaS(マース)とは?

MaaS(Mobility as a Service/モビリティ・アズ・ア・サービス)とは、多様な移動手段とそれに関連する情報をICTによりシームレスに統合し、効率的かつ利便性の高い交通サービスをワンストップで利用可能にするという「移動」に関する概念です。

この考え方は、2014年にフィンランド・ヘルシンキ市において地域内の自家用車を2025年までにゼロにするロードマップが示されたことで生まれました。このロードマップにもとづき、2016年にはさまざまな公共交通を一括で検索・予約・決済できるアプリ「Whim」の運用がヘルシンキ市でスタート。都市部における渋滞の緩和や環境負荷の低減、公共交通機関の運行効率化・生産性向上といったメリットを生んでいます。Whimサービスの開始前後で、ヘルシンキのWhimユーザーの公共交通の利用は26%も増え、自家用車の利用は20%も減少しています(図1)。

図1:フィンランド・ヘルシンキにおけるWhimユーザーの移動手段の変化

図1:フィンランド・ヘルシンキにおけるWhimユーザーの移動手段の変化

資料:別ウインドウが開きます「次世代の交通 MaaS(総務省)」をもとに編集部で書き起こし

上記のWhimの例のように、スマートフォン用アプリ(「MaaSアプリ」と呼ばれる)を利用することで、交通手段やルートの検索から、予約ひいては運賃支払いまでを行えるようにすることが、MaaSの一般的な提供形態であると、国土交通省は説明しています(*1/図2)。

*1 参考:別ウインドウが開きます国土交通省「日本版MaaSの実現に向けて」(2019年3月公表)

図2:MaaS導入前後の交通手段手配時の変化

図2:MaaS導入前後の交通手段手配時の変化

日本の公共交通の現状とMaaS実現への動き

本来、地域の公共交通は、その地域で暮らす住民の方にとっても、地域を訪れるビジネスパーソンや旅行客にとっても、非常に大切な移動手段です。その利便性が高ければ高いほど、地域の“便利さ”や“快適さ”は増すといえます。

しかし、国土交通省によれば、日本の地域公共交通の現状は、高齢化と人口減少の影響から、輸送人員が大幅な下落傾向にあり、全国のバス事業者の約6割が赤字経営を余儀なくされているようです(図3)。こうした状況を打開しないかぎり、地域に暮らす方や地域を訪れる方、あるいは旅行者の方の移動手段はますます狭まり、結果として、地域の活性化が困難になるリスクがあります。

図3:自動車輸送人員の推移(単位:億人)

図3:自動車輸送人員の推移(単位:億人)
  • グラフの数値は小数点第2位で四捨五入しています。
  • 2010年10月より調査方法・集計方法が変更されたため、2010年9月以前の統計数値の公表値とは時系列上の連続性が担保されておりません。

資料:別ウインドウが開きます「自動車輸送統計調査(国土交通省)」のデータをもとに編集部で作成

こうした背景から、日本でも、ICTとデータを活用して地域公共交通の便利さ、快適さを向上させる取組みであるMaaSが注目されています。この仕組みを実現するうえでは、利用者の検索対象となる交通機関の運行情報や駅などの地理的情報が、“オープンデータ(公開データ)”として、誰にでも利用できるかたちで公開されていることが前提となります。そのため、MaaSの普及促進に取組む日本政府は、2015 年9月に「公共交通オープンデータ協議会(*2)」を発足し、公共交通分野におけるオープンデータ推進の検討を重ねています。

*2 参考:別ウインドウが開きます公共交通オープンデータ協議会

このような政府の動きは、さらに広がりを見せ、地域交通機関でも、交通に関する情報をオープンデータ化する動きが見られています。

今回は一例として、総務省の「ICT地域活性化大賞/2019年優秀賞(*3)」に選ばれた、岐阜県中津川市の取組みを見てみましょう。『公共交通オープンデータ“最先端田舎”への挑戦』と題されたこのプロジェクトは、地域バスの活性化をめざしたものです。この目標に向けて、中津川市は標準的なバス情報フォーマット「GTFS」のデータを整備し、オープンデータ化しました。これにより、経路検索やデジタルサイネージ(デジタル掲示板)を使ったリアルタイムのバス運行案内、バスロケーションサービスなど、地域バスの利便性を高めるシステムやアプリの開発が容易になったといいます。行政だけではなく、交通事業者や地域の関係者が協働で取組むことにより、地域の交通を守り、定住できる街づくりを進めています。

*3 参考:別ウインドウが開きます「ICT地域活性化大賞(総務省)」

日本でのMaaS普及、今後の課題は?

いくつかの捉え方はありますが、日本でのMaaSの取組みでは、地域ごとの特性にあわせ、「大都市近郊型・地方都市型」「地方郊外・過疎地型」「観光地型」の3つの地域モデルに分類して考えることがあります。

「大都市近郊型・地方都市型」では、すでに交通サービスが充実しているものの、移動ニーズが多様で狭あいな道路が多いという都市ならではの課題を解決するため、各交通サービスをうまく一つにまとめることが主な課題となっています。「地方郊外・過疎地型」では、交通サービスが十分に行き届いていないため、公共交通のサービスを充実させ、高齢者などの自家用車を持たない方への移動手段を確保する必要があります。そして、「観光地型」は、主に訪日外国人に対して、観光の際の回遊性を向上させることが課題となっています(*4)。これら3つの地域別モデルの分類にそって、国土交通省は、応募のあった51事業のうち19事業を、全国の牽引役となるモデル事業として実証実験の支援を行っています(*5)。

*4 参考:別ウインドウが開きます地域別モデルの検討について(国土交通省)

*5 参考:別ウインドウが開きます日本版MaaSの展開に向けて地域モデル構築を推進!~MaaS元年!先行モデル事業を19事業選定~(国土交通省)

広がるMaaSの生活者へのメリット

MaaSが実現することで、今まで各交通事業者ごとに発生していた予約や運賃の支払いが、手元のスマートフォンで一度に行えるようになったり、事故や天候により別の交通手段を利用しなければならない場合でも、すぐに別ルートを探して移動できるようになったり、前述したWhimのように毎月定額で指定範囲の交通手段が乗り放題になるなど、私たちの生活はより快適なものになります。もちろん、高齢者をはじめとする交通弱者の外出も、より便利なものになるでしょう。

メリットはそれだけではなく、膨大なオープンデータが蓄積されることにより、輸送サービス業者間のよい意味での競争が促進されることも、小売店や宿泊施設などのサービス産業で、より個人の好みに合わせたサービスを提供できることも期待されています。もちろん、バスの停留所をより効率的に配置したり、鉄道の不採算路線を見直したり、都市計画にも影響を与える可能性も示唆されています。

それ以外にも、交通の最適化がなされることにより、交通渋滞の緩和や排出ガスの削減による環境問題の改善も期待されています。こうした従来の交通機関の利便性向上だけでなく、コンパクト・モビリティ(*6)などの新しい移動手段の普及も、都市・地域の両方での交通問題の改善を促すと期待されています。

*6 コンパクト・モビリティ:1~2人乗り程度の小型の車両。従来の自動車より小回りが利き、環境への影響も少なく、地域の移動手段として期待されている。

図4:MaaSがもたらす生活者へのメリット

図4:MaaSがもたらす生活者へのメリット

こうした流れは、SDGs(持続可能な開発目標/*7)の考え方とも合致しています。「誰一人取り残さない」という多様性を持った社会を実現するために定められた17の目標の中でも、特に「11 住み続けられるまちづくりを」は、まさにMaaSがめざすものといえます。さらに、エネルギー問題や海や陸の豊かさを守ることにもつながるでしょう。

*7 参考:市場機会12兆ドル!「SDGs」とは何なのか?

今回ご紹介した以外にも、各団体・企業により、さまざまな実証が進んでいます。MaaSという新しい「移動(モビリティ)」の概念は、クラウドやAIなどの先端のテクノロジーとともに、日本各地に広く浸透していくことになりそうです。

  • 本稿にある会社名、製品名は各社の商標、登録商標である場合があります。
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