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中小企業に適したテレワークの環境づくり

2019年4月26日

中小企業に適したテレワークの環境づくり

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テレワーク導入は難しくない

一億総活躍社会実現のために、内閣府が推進している働き方改革。そのなかで、「ICT(情報通信技術)を活用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」であるテレワークが注目されています。一般社団法人 日本テレワーク協会事務局長の富樫美加さんからお話をうかがうシリーズ企画3回目は、テレワーク導入のための環境整備についてです。

富樫さんによると、「テレワーク導入のための環境づくりは、大企業と中小企業ではさまざまな違いがあります。目的に合わせて、コストやセキュリティのバランスを考えていくことが大切です」とのこと。そこで今回は、中小企業がテレワークを成功させるための環境づくりについて、説明します。

テレワークの導入にはICT環境の整備が欠かせません。第2回でも説明したように、そこには3つの要素が必要です。
まず、勤怠管理や在席管理など、業務のマネジメントを見える化する環境を整えます。次に離れた場所にいても業務に支障がないようにコミュニケーションを行うためのツール。そしてセキュリティの確保です。この3つを満たし、自社の目的とコストに合ったシステムを検討します。

自社に合ったテレワーク環境をつくる

■オフィスと自宅の環境整備

テレワークのためには、パソコン(以下、PC)やスマートフォンと言った機器はもちろん、それ以外にネットワークとサーバーが必要になります。

中小企業に適したテレワークの環境づくり

【利用機器】
まず、現在のICT環境(使用しているPC、タブレット、携帯電話など)を確認します。その上で、テレワークではどのような機器を使用するか検討します。機器には、以下の3種類があります。機器の種類によって機能やセキュリティの内容が異なります。

・リッチクライアント型PC(データが保存できるPC)
「リッチクライアント」とは、内蔵しているハードディスク内にデータを保存することができるPCのことです。オフィスや自宅で利用されているデスクトップPCやノートPCの多くはこのタイプとなります。

・シンクライアント型PC(データが保存できないPC)
「シンクライアント型PC」とは機器にデータが残らないタイプのPCのこと。書類の作成も保存もサーバー上で処理されるため、機器からのデータ漏えいが起きません。そのため、従業員のテレワーク用に貸与する機器として向いています。

・タブレット型PC・スマートフォン
営業職などの移動中にEメール対応や決裁などの業務を行うために導入すると便利です。業務に必要なアプリしか使えないよう機能制限をすることで、セキュリティが確保できます。

さらに、テレワークの際に、会社から貸与されたPCやスマートフォンなどを使用するか、私物のPCやスマートフォンなどを使用するのかを決める必要があります。私物を使うのであれば、会社の導入コストは抑えられますが、リスクは高くなります。機器が盗難されたり紛失したりするだけでなく、業務外でPCを利用する際の操作ミスなどによる情報漏えいが懸念されるうえ、私用と会社利用で利用料金をどう分担するかの取り決めも必要になります。

【ネットワーク】
ネットワークは、会社内のPC同士やインターネットをつなぐ企業内ネットワークと、自宅用のネットワークの2つが必要です。ネットワークの種類はADSL、CATV、光ファイバー、無線(Wi-Fiなど)、専用線などがあります。近年、第三者による情報の盗み見や改ざんを防ぐVPN(Virtual Private Network)の利用が増えています。

【サーバー】
サーバーはネットワークを介して複数の機器とつながり、データのやりとりをするためのコンピューターです。従業員などで共有する、さまざまなデータの置き場所として活用できます。近年では、サーバーを設置せず、クラウドサービスを利用する企業も増えています。

■システム方式の選択

テレワークは、主に以下の4つの方式があります。それぞれシステムや特徴、導入コストが異なります。

(1)オフィスにあるPCを遠隔操作する
オフィスで使っているPCのデスクトップ環境を、オフィスの外からPCやタブレット機器などで閲覧・操作する方式です。リモートデスクトップ方式と呼ばれます。
メリットとしては、作業結果はオフィス側のPCに保存され、手元の機器には情報が残らないため、情報漏えいが起きにくい点です。またオフィスの環境を大きく変えずに済むことから、比較的安価な導入が可能です。

(2)仮想デスクトップサーバーを設置する
オフィスに設置された仮想デスクトップ(VDI)サーバーに、外部にあるPCから遠隔でログインして利用するシステムです。(1)のリモートデスクトップ方式との違いは、仮想デスクトップサーバーにアクセスして利用するためオフィス側に人数分のPCが必要ない点です。導入する場合は、VDIサーバー設置の初期コストがかかります。

(3)クラウドを利用する
Webからクラウド上のアプリケーションにアクセスする方式です。アプリに対応した機器とインターネット環境があれば場所を問わず使えるうえ、物理的なサーバーの用意が不要で、設備コストがほとんどかかりません。データはクラウド上のサーバーに保存されます。

(4)会社PCの持ち帰り方式
オフィスで通常業務に使用しているPCを自宅などオフィスの外で使います。従業員は使い慣れたPCで作業でき、導入コストも低いので移行しやすい方式ですが、PCの盗難や紛失による情報漏えいの恐れがあります。基本的にお勧めできる方法ではありません。

テレワーク中の従業員と連携を取りやすくする

テレワークを本格的に導入すると、勤怠管理がたいへんになったり、社員同士の連携が取りにくくなるのでは、という不安もあるかもしません。

勤怠管理、在席管理、業務管理ともに、メールや電話などのほかに、クラウドを利用したツールの利用も増えています。労務管理については、労働基準法に照らし合わせた労働条件・保険適用の有無や通信・情報機器などの費用負担の問題など、社内におけるルール作りの側面も大きく、会社全体のテレワークの意義、位置づけが大事になります。こちらに関しては連載の第2回(テレワークをはじめる前に、しておく事とは?)でも触れているので、よろしければそちらもご参照ください。

中小企業に適したテレワークの環境づくり

テレワーク中の従業員とオフィスにいる従業員とをつなぐコミュニケーションツールとしては、もちろん労務管理や上司との業務連絡にも利用可能です。オンライン会議システムのような特別なツールだけでなく、通常の電話やメールでの連絡も含まれるので、まず現在使っているものの継続利用を前提に、必要に応じて会議システムや情報共有ツールを増やしていきます。

・会議システム
電話やTV会議システム、Web会議システムなどを利用すれば、遠隔地にいる複数の従業員や顧客とも、会議を行えます。Webカメラなどを使えばお互いの顔を見ることができ、オフィスで行うのとほぼ同じような会議をすることも可能です。

・Eメール/チャット
一般的なEメールやインスタントメッセンジャーは導入が容易です。Eメールはすでにほとんどの企業で採用されており、G SuiteやOffice365にはインスタントメッセージを送る機能が含まれています。スマートフォンでもメールやインスタントメッセージが使えるアプリケーションが多数あります。

・情報共有ツール
PDF化された資料などの電子データを共有するツールです。遠隔地でも同じデータを見ながら作業ができます。Eメールやドキュメント共有、スケジュールや業務進捗状況など、さまざまな情報共有のツールを統合したグループウェアもあります。

安全なテレワークのためのセキュリティ対策

ICTの利用で最も注意しなければいけないのがセキュリティです。テレワークは従業員がそれぞれ別の場所で働くことになるため、情報セキュリティの対策が大切になります。ルールをしっかりと定め、遵守を徹底する必要があります。こうした対策は地震など災害時に従業員が出社できない場合にどう行動するかのルールづくり、いわゆるBCP(事業継続計画)にもつながります。

中小企業に適したテレワークの環境づくり

ここでは「ルールづくり」「技術的な対策」「物理的な対策」の3つのポイントでご説明します。

①従業員に周知するセキュリティガイドラインづくり
情報を扱う業務に対して、組織として統一した方針や行動指針が必要です。そこでそれらを明文化した「セキュリティガイドライン」を作成し、その遵守を図る必要があります。
基本方針・対策基準・実施手順をまとめたガイドラインと、個別の作業におけるルールの策定を行います。

②情報漏えいやウイルス、ハッキングを防ぐ技術的なセキュリティ対策
技術的なセキュリティ対策として、以下の4つが挙げられます。1つ目がパスワードや機器の管理をする「アクセスの管理・制限」。2つ目が情報が漏えいしてもすぐには読み解けないようにする「暗号による管理」。3つ目が電子データの保存方法やウイルス対策などの「運用のセキュリティ」。4つ目が安全な回線を確保する「ネットワークのセキュリティ」です。

③盗難や災害などの物理的なセキュリティ対策
テレワークによって企業秘密を含んだ重要なデータをサーバーで共有するようになると、ルールの徹底や技術的なセキュリティ対策だけでは不十分かもしれません。これまでも、従業員や侵入者がオフィスからデータや重要データが入った機器を不正に持ち出すことで、顧客情報などの機密情報が漏えいしてしまったという事件が何度もありました。そうした事態を防ぐため、監視カメラや入退室管理などの盗難対策、施錠棚やシュレッダーによる情報漏えい防止といった「物理的な対策」も検討しておけばより万全といえます。

セキュリティ対策で気を付けたいのは、簡単なセキュリティでは情報漏えいのリスクがある一方で、厳重すぎるアクセス認証を設けると、従業員の業務に支障をきたす恐れがあることです。企業ごとの業務や風土によって適切なバランスを模索することが大切です。

富樫さんは、「ICTツールは進歩が速いので、常に最新のものをチェックする必要があります。日本テレワーク協会でも、ツール一覧を紹介する資料を作成しており、問い合わせていただければ最新版が入手できます(*1)」とお話されています。近年ではクラウドの利用も盛んなので、まずはセキュリティが確保できる範囲でスタートしてみるのがよさそうです。

*1: 別ウインドウが開きますテレワーク導入のための関連資料(一般社団法人日本テレワーク協会)

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