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RPAは“魔法のツール”ではない。
導入を失敗する3つの落とし穴

RPAは“魔法のツール”ではない。導入を失敗する3つの落とし穴

実はRPAの導入に失敗する例は決して少なくありません。その理由はなぜなのか。失敗を防ぐ方法についても解説していきます。

目次

1.手間と時間がかかる日常業務は、RPAで正確かつ高速に自動化しよう

日本は今、生産年齢人口が減少しつつあり、企業にとっても人手不足は大きな課題となっています。しかし、すでに機械化が進む工場などと同様に、オフィスでの事務作業にもテクノロジーを導入できれば、業務が効率化され、人手不足解消の一助になるはずです。このオフィスの事務作業を機械化、自動化するためのツールがRPAです。
RPAはルールエンジンや機械学習、AIなどを活用し、事務作業を自動化する仕組みのことです。手間や時間がかかる、日常の定型的な業務を正確かつ高速に自動化することで、大幅な稼働削減が可能となります。作業効率の向上以外にも、人為的な誤入力などのミスもなくなるため、品質の向上が期待できます。このように、これまで人間が時間をかけてやっていた単純作業をRPAに置き換えれば、人間は人間にしかできない創造性の高い業務に稼働を割り当てることができるようになります。

RPAを活用して大きな効果を生み出した例として、横浜市の取り組みを見てみましょう。同市は2018年7月に横浜市立大学およびNTT(日本電信電話株式会社)と共に、超スマート社会の実現に向けた包括連携協定を締結。その取り組みの一環として業務でRPA を試行し、市職員の働き方改革を図る共同実験を実施しました。
共同実験は、同年7月から2019年3月までの約9カ月間に及び、7つの業務を対象に行われました。例えば、総務局では新規利用者のIDやメールアドレスの発行業務、財政局では工事落札候補の技術者の確認業務、健康福祉局では給付月報作成の転記業務などにRPAを導入し、その有効性を検証しました。

その結果、年間削減時間で換算すると総務局業務で 93.3%、財政局業務で94.8%、健康福祉局業務で98.3%という削減率となり、平均削減率では84.9%という高い効果を得ることができました。

2.RPAの導入に失敗しがちな3つの落とし穴

横浜市のようにうまく導入できれば、RPAは企業の生産性向上の点でとても有効です。一方で導入に失敗する企業も少なくありません。RPA導入に関するドコモへのお問い合わせの約30%が、過去にRPA導入に失敗した企業からというデータもあります。
では、なぜ便利なRPAを試みたにもかかわらず、うまくいかないのでしょうか。その理由の1つが「操作が難しく自動化が進まない」というものです。RPA製品にもさまざまなシステムがあり、中にはサーバーやプログラミング知識が必要なものも少なくありません。

RPAの導入に失敗しがちな3つの落とし穴

さらに、どの業務をRPAに任せるべきか、その選定がわからないというのも理由の1つです。日本CHO協会の調査(※)によれば、RPA展開中に発生した課題の1位は「対象業務の選定に関する課題」となっています。これは、そもそもどの業務をRPAに任せるべきなのか、その見極めが難しいことを示唆しています。横浜市の例でもRPA導入の実験は初めから順調に進んだわけではありませんでした。初めはどの部署でも活用のイメージが湧かず、業務選定に難航したため、まずは分かりやすい事例やノウハウの整理から始めたといいます。

ほかにも、企業内でのRPAの展開や推進に手間取ったという課題も見受けられます。“RPAさえ取り入れれば、どんな業務も瞬時に効率化できる”と期待する経営層と、“新システムの導入で負担が増え、AIに仕事を奪われる”と焦る現場との間で食い違いが生まれ、うまく協力体制が築けず、展開が進まなかったというケースも発生しています。
あらためて日本CHO協会の調査を見てみると、社内でのRPA導入と展開方法について「経営層からのトップダウンによる全社展開」が59%、「管理職からの提案をきっかけとした全社展開」が15%と、上からの指示による展開が74%を占めています。一方、「現場主導による一部の部門内導入」は18%となっています。
こうした現場主導の手法では全社レベルの展開にはなかなか至らないことも判明しています。経営・管理主導で導入を進めるにしても、現場の誤解を払拭しながら協力体制を築き、その上で業務効率化へと進めていくことが大切であるということがわかります。

3.RPAでわからないことがあれば、専門家に頼ろう

では、どうずればRPA導入の失敗が防げるのでしょうか。もしRPA導入に失敗したら、その後にどのような対処を施すべきなのでしょうか。そのカギとなるのは、準備とサポートです。
準備に関しては横浜市の例のように、まずはRPAについて理解を深めることが必要です。多種多用な業務の中でどの業務を自動化するのが最適か、 着手前に計画を立てるのがいいでしょう。ただし、RPAの適用範囲は広いため、社内だけで解決しようとすると時間ばかりかかってしまうことになりかねません。適格にRPAを活用するためには、RPA提供企業の強力なサポートも必要不可欠といえるでしょう。

RPAツールには、いくつかの種類があります。検討から導入にいたるまで、どのようなサポート体制が整えられているのかが、選択する上での決め手となるでしょう。ツールによって、どのようなサポートが受けられるのかを把握しておくことが重要です。
RPAは魔法のツールではありませんが、うまく取り入れることができれば大きな効果を発揮します。特に操作の習熟や業務の選定、自動化の検証など知見が求められる場面では、専門家のサポートが重要になります。
まずはRPAで失敗しがちな落とし穴を避けることが、RPAの導入・活用で成功を収めるコツなのです。

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