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テクノロジーの進化とともに、IoTがビジネスや暮らしに“新たな価値”を生み出すスピードも加速しています。
本コラムでは、IoT業界の最新動向や旬な情報をお届けします。

第三回
建設現場の働き方改革を実現する
「建設IoTソリューション」(前編)

現在、建設業界においては、労働力不足や労働環境の改善、労働生産性向上などの課題がクローズアップされ、建設現場での働き方改革が求められています。本コラムでは2回にわけ、それらの課題解決に向けたドコモの取組み事例を紹介します。

建設業界が抱える課題

現在、建設業界における課題として「20年前とほぼ変わらない労働生産性向上の必要性」「団塊世代の大量離職による労働者不足への対応(図1)」「休日が取れない、時間外労働が多いなど労働環境悪化による不満や業界離れの抑制」そして「2020年以降の建設需要の先行きが不透明な中で、新たな収益源を求める事業を推進するための新たな人材採用と育成の必要性」など、労働力や収益確保のために労働環境の改善・生産性向上などの「働き方改革の実現」が急務となっています。

図1 建設技能労働者数

実際に、日本建設業連合会は「週休二日実現行動計画」を打ち出し、国土交通省は「i-Construction」でICTソリューション活用の取組みを急ピッチで進めている状況にあります。この建設業界の働き方改革を実現するには、建設現場へのICT/IoTの導入によるデジタル変革が必須であると考えられます。一方で、建設現場においては“複数の要素(納期・品質・安全)”を考慮した「現場管理」が重要な業務指標であることも忘れてはいけません。したがって、近未来の建設現場は、ICT/IoTの推進と、現場で重要とされる複数の要素の管理をバランス良く回して、「生産性向上」と「働き方改革」を同時に実現する必要があります。

ICT/IoT導入に立ちはだかる壁

ドコモは、2017年より建設現場におけるICT/IoT活用の課題として、以下のような4つの仮説を設定し、複数の建設現場の協力を得て、新たな価値を創出するためのデータ取得方法を検証しました。

仮説1 個別最適システムの導入や研究目的の技術検証にとどまり、現場利用が進まないのではないか。

仮説2 建設現場を可視化するデータを、精度・費用対効果高く取得することが難しいのではないか。

仮説3 建設現場での活動に関する理解が低く、十分な経済効果が出せていないのではないか。

仮説4 現場における個人情報やバイタル情報を含むデジタルデータ取扱いの経験が浅いのではないか。

これらの仮説を検証した結果「ドコモのIoTは現場主導型」であるべきとし、課題起点でソリューションを検討して現場のオペレーション(現場運用)まで踏み込むことが重要と考えました。

建設IoTソリューションで作り上げる世界観

ICT/IoTで取得されたデータを「価値あるもの」とするためには、個別商材の可視化レイヤーで議論をするのではなく、その上位にある分析レイヤーで価値あるデータの組み合わせを発見することが重要であると考えます。建設現場にかかわるデータを集め、それらを組み合わせて建設現場のノウハウを注入し、その結果、産まれた意味のあるデータによりお客さまに今までにない価値を提供することで、ドコモは『建設現場IoTソリューション』を作り上げます(図2)。

図2 グローバルIoTソリューション

このさまざまなデータが産みだす価値は、特定の建設現場の課題解決支援だけでなく、経営課題の解決支援、ひいては建設業界全体の改革支援にも貢献できると確信し、価値創出データの共通化への営みをドコモ自身が取組むことにしました。

建設現場IoTソリューションとは

2017年2月に、建設現場の工程・品質・安全・原価管理に寄与するトータルソリューションの提供を報道発表しました。このソリューションは、大きく6つの提供価値の実現をめざしています。

1. 段取りの効率化 要タスク・タイミングの推奨、進捗遅延リスクの早期検知 2. 品質管理の省力化 品質リスクの事前検知により、手戻りや遅延を防止 3. 安心快適な職場環境の実現 現場内コミュニケーションの整流化、体調・環境リスク検知/アラート 4. 原価管理の高度化 機材稼働率確認/機材シェアリング 5. 長時間労働の是正 長時間労働の実態可視化/原因評価 6. 事務作業の自動化 書類作成の自動化/効率化

これらの提供価値は、最小限のデバイスとコミュニケーション技術によって取得した、ヒト・モノの位置・動き、コミュニケーションログ、バイタル情報などの限定的なデータが、高度な分析処理によって、ヒトの働き方や体調不良の予兆、モノの削減余地などの示唆を含んだデータに昇華されることで実現されます。また、建設現場IoTソリューションは建設(土木)を中心としたオープンプラットフォームである「LANDLOG」上に構築され、必要な情報を相互に連携することで、データの価値をさらに向上させることができます(図3)。

図3 建設業界向けソリューション

LANDLOGの取組み

ここで簡単ですが、LANDLOGについて触れておきます。LANDLOGは、2017年10月にコマツ(代表:大橋徹二)、ドコモ(代表:吉澤和弘)、SAPジャパン(代表:福田譲)、オプティム(代表:菅谷俊二)の4社で立ち上げた、建設現場にかかわるすべてのモノデータをつなぐプラットフォームを運営する合弁事業会社です(図4)。

図4 LANDLOG

建設業界にかかわる各企業は、建設生産プロセスのICT化を進めていますが、それぞれのデータは企業ごとに隔離されていて、相互につながっていません。実際、コマツのICT建機は建設生産プロセス全体から見た場合、貢献できる領域は一部分であり、生産性だけでなく現場の安全性も向上させるには、建設生産プロセス全体のデータの収集と一元管理するプラットフォームが有効であるとの発想からLANDLOGが生まれた経緯があります。ドコモが取組む建設現場IoTソリューションとLANDLOGが相互に協力することによって、これからの建設業界のデジタル変革に貢献できると考えます。

次回は、建設現場IoTソリューションを活用した建設現場PoC(*1)の実施と、PoCの実施により見えてきた課題などについて紹介します。

<用語解説>

*1 PoC:Proof of Concept の略で、概念実証をさします。新しい概念や理論、原理などが実現可能であることを示すための簡易な試行を意味します。

「参考文献:ビジネスコミュニケーション 10月号「IoT活用の現場から」」

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