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広島県/地方創生セミナー

2019年5月10日(金曜)に実施した、広島県における地方創生セミナーの内容を記者目線でお伝えします。

広島県/地方創生セミナー 広島県/地方創生セミナー

はじめに

令和最初の開催地となったのは、中国地方最大の都市である広島県広島市。「地方創生セミナー」は今回で7回目を迎える。中国地方でははじめての開催とあって会場は開演前から熱気を帯びていた。

暮らしと仕事を充実させるライフスタイル

セミナー開演まであと15分。少し時間ができたので席を離れた。大きな窓の向こうには美しい景色が広がっている。樹木と堀に囲まれた広島城が目に飛び込んできた。その向こうには中国山地のシルエットが連なっている。この平和的な日本の風景の中で、地域社会の未来にさきがけたテクノロジーの利活用がどのように進められているのだろうか。

いつの間にかホールは大勢の来場者で埋め尽くされていた。スタッフの方に尋ねたところ、245名の方が今回のセミナーに参加したそうだ。開始を待ちわびる人たちの様子を見て、地方創生に対する関心の高さを改めて感じた。

まずはじめに基調講演に登壇した広島県知事の湯崎英彦氏は「これからは地方と世界が直接つながる時代」と力強く語りだした。

  • セミナー風景
  • セミナー風景

「広島県では仕事も暮らしもあきらめない欲張りなライフスタイルの実現をめざしています。ワークライフバランスを意識して働き方改革を進めた結果、アウトプットが減ってしまったら意味がありません。暮らしを充実させて、仕事の生産性を上げて、欲張りなライフスタイルを送る好循環を作っていきたいと考えています」と未来を見据えていた。

ヒトもモノもカネも局地的に集まる東京のやり方を単にまねるのではない。広島が持つ強みを最大限に活かしてイノベーションを起こしていく。この視座が重要だ。

そして働き方改革も単なる労働時間の短縮で定義するのではなく、生産性を上げることで物質的な豊かさと生活面のゆとりを両立させるという、「質」を重視した姿勢ともいえる。ではその活動内容には、具体的にどのようなものがあるのだろうか。

「知」の集結こそが新たなイノベーションを生む

広島県は「産学連携の推進」に力を入れている。広島を代表する企業のひとつであるマツダは、地域の大学とともにモデルベース開発を進めているのだ。コンピューターによるシミュレーション技術を用いて、モデルをベースに開発を効率化する手法を取り入れている。

また、知の集結場所の展開にも余念がない。公募事業「ひろしまサンドボックス」はAIやIoT、ビッグデータなどを実証実験できる貴重な場だ。そこではサンドボックス(砂場)のように試行錯誤を繰り返すことができる。現在、640の組織・企業が参画しているという。

「イノベーション・ハブ・ひろしまCamps」においては新たなビジネスに挑戦できる創出拠点だ。アイデアソンや交流会が行われ、多様な人々がそこに集まってくる。ひろしまCampsでは5Gの可能性を紹介するセミナーも開催された。

ドコモは昨年6月に広島県と「5G等を活用したオープンイノベーションの推進に関する協定」を締結した。広島発の新たなビジネスやサービスの創出を推進して、活力ある社会の形成につなげていくという。今後の新たな取組みにも期待できそうだ。


(参考)広島県とドコモ、5G等を活用したオープンイノベーションの推進に関する協定を締結

5Gで地域のポテンシャルを盛り上げる

総務省が公表する住民基本台帳人口移動報告によると、1996年より東京圏への転入超過が続くという。合計特殊出生率がもっとも低い都道府県も東京都だ。つまり言い換えると、東京の労働人口を地方が支えるという構図だ。このまま東京の一極集中化が進むと地方では何が起きるのか? 都市・地方間の格差が拡がり、産業の空洞化から地方自治体の歳入減へとつながる。その結果、社会インフラの維持コストを支える税収が限られ、小規模市町村を中心としたさらなる過疎化が生じていく。これから超高齢化社会を迎えていくにあたり、このような地域社会をとりまく深刻な課題を解決しようと、最先端テクノロジーの活用が各地で広がりつつある。

「5Gは使い方によって大きな成果を生み出せると確信しています」と招待講演で登壇した総務省総合通信基盤局の片桐広逸氏は語る。

「広島の農業・林業・水産業にはポテンシャルを感じます。これまで全国各地を訪問した経験でいいますと、一次産業と観光がしっかりしている自治体は強い。その中で核になる技術はAI、IoT、5Gです」

  • セミナー風景
  • 超高速、超低遅延、多数同時接続。5Gは3つの特徴を持つ。なかでも超低遅延、多数同時接続の実現は社会に大きなインパクトをおよぼすことになるという。
    広島県の例でいえば、マツダスタジアムから高精細かつ高臨場感の映像コンテンツを伝送することで、遠隔でも会場の雰囲気を味わえるようになる。会場に行けなくともリアルな臨場体験を得られ、スポーツやイベントの開催時にも球場のキャパシティを超えた参加者を獲得することが可能になる。
    また、工場では産業用ロボットも遠隔で制御できるため、地場企業が抱える労働力不足の課題が解消されるのだ。

一次産業の生産者を支援するアグリガール

一次産業の現場における最大の課題は労働者不足だ。小規模生産者が大多数のため、スマート農業・林業・水産業の実現もまだまだ進んでおらず、生産性向上の余地は残されている。そこでドコモはアグリガールと呼ばれる非公式チームのメンバーを募り、一次産業に寄り添って生産者を支援しているのだ。

  • セミナー風景
  • 地方の農村部で見かけるのはやはり年配の方が多い。新しいツールを導入することに抵抗を感じてしまう人も少なくないだろう。そんな時に相談相手となってくれるアグリガールの存在を頼もしく感じているはずだ。

広島県内の水産業におけるドコモとの取組み

水産業の現場においてもドコモのソリューションが成果を見せはじめている。その代表例が海苔や牡蠣、真珠などの養殖で使用される「ICTブイ」だ。

  • セミナー風景
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今までは漁場の塩分濃度を測る際、船を出して比重計などで確認する必要があったため、漁師には負担となっていた。しかし、ICTブイの導入により、その手間は大幅に軽減された。取得した水温や塩分濃度などの海洋データをドコモのネットワークを経由してスマートフォンで確認できるようになったからだ。

「ICTブイを使うことで燃油コストや労力の削減につながっています」とNTTドコモ 地域協創・ICT推進室の横井優子氏はその効果を説明する。

広島県内でICTブイを活用した二つの取組みがある。一つは「広島大学とドコモの栄養塩推定モデルに関する共同研究」だ。栄養塩とは生物が生命を維持するために必要な塩類の総称をさす。

海苔は一般的に黒いものが良質とされる。しかし、色落ちが養殖現場の人たちを悩ませ続けてきた。海苔の色には海水の栄養塩濃度が大きく影響しているという。この課題を解決するために広島大学とドコモが産学連携で立ち上がり、海水の栄養塩濃度を推定するためのロジック確立を目指している。良質な海苔を食卓に届けるために、このような共同研究が行われていることに驚かされた。

もう一つは前述の公募事業「ひろしまサンドボックス」に選定された「スマートかき養殖」の実証実験だ。舞台は広島県江田島市のかき養殖場。ドコモは東京大学やシャープ、江田島市など8企業・団体とともに、ICTブイで取得したデータを活用して、かき生産量の増加と生産効率の向上を目指している。

子どもたちの未来を見据えたICT教育

ドコモは教育の現場でも課題解決に取組んでいる。
「ICT教育には二つの課題があります。一つ目は導入が進んでいないこと。二つ目は活用が進んでいないこと」とNTTドコモ 地域協創・ICT推進室の廣山知史氏は指摘する。

  • セミナー風景
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昨年12月、広島県とドコモは県内の小学生を対象に、広島市でプログラミングワークショップを開催した。そこで用いられたのがプログラミング教育サービス“embot”だ。子どもたちはダンボールで組み立てたロボットを専用アプリで操作しプログラミングの基礎を学んだ。小学生の頃から楽しくプログラミングを学べる恵まれた環境をうらやましく感じた。

(参考)embotを用いたプログラミング教育用ロボット

また今年2月、東広島市では、すでに統合が決まっている二つの小学校で、両校の児童たちが新校歌の遠隔合唱を実施した。従来の通信では映像や歌声が遅れてしまうため実現困難だったが、東広島市とドコモが5Gの実証実験を行い、映像と歌声を同時に共有して合唱に成功したのだ。

医療の現場がはじめた新たな取組み

高齢化社会と切っても切り離せないのが医療である。高齢化率は2025年に30%に達すると推測されているため、病院にお世話になる人の数もこれから急激に増えていくのだろう。

  • セミナー風景
  • 「今や病気を治すことだけが医師のミッションではありません。病気にならないように健康を管理することが医療に求められる役割の一つとなっています」と広島大学副学長の木原康樹氏は明かす。
    病院に行って医師の診断を受けて悪いところを治す、というのは日常的な医療の姿だった。たいていの場合、ある日突然、体の調子が悪くなるわけだが、その原因は以前からどこかに潜んでいたはずだ。近年は病気になる前から健康を管理して病気の兆候を捉えるような取組みが増えているようだ。
    遠隔医療もこれまでの常識を変えることになるだろう。技術の発達に伴い、患者は自宅で診療を受けられるようになる。広島大学病院でもさまざまな医師が5Gの特性を活用した遠隔医療の実現に向けて取組みをはじめているという。

    夕方にセミナーが終わり、11階から見渡していた広島の街をふらりと歩いた。学生、社会人、年配の方、さまざまな世代の人たちとすれ違った。どんな問題も技術が解決してくれるはず。そんな気持ちが芽生えていた。

セミナー詳細

名称 地方創生セミナー in 広島
開催日時 2019年5月10日(金曜)13:30~17:20
会場 別ウインドウが開きますNTTクレドホール
主催 株式会社NTTドコモ
後援 広島県 / 広島大学 / 株式会社広島銀行

プログラム

時間 講演タイトル
12:00~13:30 受付開始・展示観覧
【主催者挨拶】
13:30~13:40
株式会社NTTドコモ 執行役員 中国支社長 上野 智久
【基調講演】
13:40~14:10
「「地方創生とは」~日本の将来につながる地方創生~」
広島県知事 湯崎 英彦 様
【招待講演】
14:10~14:50
「5Gの実現と未来の地域社会」
総務省 総合通信基盤局 電波部 移動通信課 企画官 片桐 広逸 様
【招待講演】
14:50~15:10
「地域医療再生で次世代医療情報ネットワークが果たす役割」
広島大学 副学長 木原 康樹 様
15:10~15:40 休憩
【一般講演】
15:40~16:00
「ドコモの災害対策の取組み」
株式会社NTTドコモ 災害対策室長 小林 和則
【一般講演】
16:00~16:45
「一次産業分野に関する取り組みについて」
株式会社NTTドコモ 地域協創・ICT推進室 横井 優子

「観光・キャッシュレス分野に関する取り組みについて」
株式会社NTTドコモ 第一法人営業部 法人サービス第四 床並 展和

「教育分野への取組みについて」
株式会社NTTドコモ 地域協創・ICT推進室 廣山 知史
【招待講演】
16:45~17:15
「到来する5G時代に向けて」
株式会社電通 ビジネス共創ユニット シニア・プランニング・ディレクター 兼 IOTNEWS生活環境創造室長 吉田 健太郎 様
【閉会挨拶】
17:15~17:20
株式会社NTTドコモ 5G・IoTソリューション推進室 室長 本高 祥一

  • 掲載内容は2019年5月10日時点の情報です。
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