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熊本県/地方創生セミナー

2019年7月4日(木曜)に実施した、熊本県熊本市における地方創生セミナーの内容を記者目線でお伝えします。

熊本県/地方創生セミナー 熊本県/地方創生セミナー

はじめに

ちょうど2年前に起きた九州北部豪雨。そして1年前に襲った西日本豪雨。自然の猛威は地震や津波だけではないのだ。生々しい記憶の群れがホテルの窓にたたきつける雨の向こう側で、奇妙な狼煙を上げる。

局地的な範囲に短時間で雨量が集中し、安穏に暮らす人々の生活が根こそぎ奪われてしまった。西日本を中心に北海道や中部地方を含む全国的な広範囲で、河川の氾濫や土砂崩れなど甚大な被害が後を絶たなかった。それぞれ構造は異なれど、もたらした結果は計り知れない。

ところが――。7月上旬に示し合わせたかのように「招かれざる客人」は、今年も九州南部を襲った。

「自らの命は、自らが守らなければならない状況が迫っている」これほどまでに直截的な表現を、かつて気象庁が発したことがあるのだろうか。警戒レベルのなかでも最も高いレベル5にあたる「特別警報」すら示唆されている。ネットを飛び交う励ましや注意喚起には、先の豪雨を経験した人たちからのメッセージもあるようだ。

今日の地方創生セミナーの一般講演のなかにドコモの災害対策の取組みが入っていたことを再確認する。いやはや、有事の備えとはいかなるものか。

備えに欠かせない「情報」とそれを発信する「通信」の確保。このテーマは無視できないぞ。

安否確認の四文字が普段以上に重々しく感じられる筆者にとって、基調講演や特別講演と同様に、ぜひとも聞いておきたいドコモの災害対策が本日、取締役常務執行役員 田村穂積氏より語られる。

熊本市における大規模教育ICT

この日、来賓挨拶で登壇した熊本県副知事の田嶋徹氏は「熊本復旧・復興4か年戦略」の下、IoTやAIの活用による生産性や収益性の向上に加え、新たなるビジネスの創出、スマート農林水産業の普及、県立学校へのICT機器の導入などを進めていると語った。

とりわけ熊本市における教育ICTへの取組みは全国的にも珍しい。

  • セミナー風景
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というのも熊本市内の「すべての」公立小中学校へ、ドコモが教育用タブレットを支給するという実に規模の大きいプロジェクトだからである。総じて約23,400台に上るそうだ。熊本市の展望は100年先を見据えているとのことだから、たとえば個別家庭が我が子の将来に備えて最近流行り出したプログラミング教材に手を出してみる、といったミクロな粒度ではなく、少なくとも向こう3世代に渡って市をあげた知財の資産化やデジタルネイティブの育成、ひいては未来形成に全量的に取組んでいるのである。

  • セミナー風景
  • 「2020年の新学習指導要領に基づく主体的かつ対話的で深い学びを、ソフトとハードの両面でサポートします」熊本支店支店長 和田あずさ氏は、学校任せでは解決が難しいICTの導入課題を指摘する。創造性豊かな学びの場に対する市民からの共感は得やすいものの、投資原資はあくまで公費である。無駄なく適切なICT導入を推し進めるためには、導入前の計画やビジョン策定から、機器やアプリケーションの選定、導入後の運用サポートまで連綿とした包括対応が求められる。通信環境にも信頼性(安全+安定)が求められるのはいうまでもない。さらに利用者は生徒だけに留まらない。教員や管理職者、校内におけるITサポーターなどの役割に応じた機能の棲み分けを図り、学ぶ生徒を支える側のニーズにも適切に応えなければならない。

    本プロジェクトは市とドコモだけでなく熊本大学や熊本県立大学も参画し、産学官の様相を呈する。

    詳しくはドコモの特設サイト熊本市教育ICTプロジェクトをご覧いただければと思う。

Society5.0時代の地方

「Society5.0」がこの地方創生レポートで登場するのは幾度目だろうか。時事用語として、やはり自治体・公共機関を中心に注目度の高いワードである。

端的にいえばIoTデバイスでかき集めた大量のビッグデータを5Gで高速・安定的に処理し、そのなかからAIを手掛かりとして地域産業や社会インフラの効率化につなげていく一連の取組みをいう。

  • セミナー風景
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基調講演である「Society5.0時代の地方&未来をつかむTECH戦略」に登壇するのは、総務省の情報流通行政局情報通信政策課 山田隆裕氏である。

氏が警鐘するのは「グラフを見れば生産年齢人口の減少と老齢人口の加速が読み取れるが、そうした変化を日常的に肌身で感じられる人は限られる。いわば『静かなる有事』が進行すると、ある時気がついたら世の中が不可逆的な方向に変わってしまった、といった事態が生じかねない」という点である。

ところが印象的であるのは、そのような「静かなる有事」の進行をむしろチャンスと捉える発想だ。つまりICTを活用して社会の在り方を再定義しようとする考えだ。そこで出てくるのが「未来をつかむTECH戦略」である。ここでの「未来」とは先の「Society5.0」と結びつく。すなわち東京一極集中が続くなか、地方の魅力に再度焦点をあてることで、若い世代も含めた生活環境の見直し、ひいては持続可能な社会づくりを提唱する。

実際にふるさと回帰センターに寄せられた年4万件の相談者の内訳として、約半数が20~30代との報告がある。地域社会への移住や訪問といった意識変化の萌芽を根づかせるために、政府は(1)人づくり、(2)地域づくり、(3)産業づくり、という三つの視点を盛り込む。言い換えるとそれは、コミュニティの維持と地域のあんしん・安全の確保だ。前者には産業の高付加価値化や雇用確保を含み、後者には災害対策から高度で公正な医療提供、そしてバリアフリー対応まで包含する。

そう、公正かつ公平という言葉がふさわしいのではないか。中央の財を地方でも享受するためには、誰もが時間や場所に制約を受けない機会均等が根っこに必要だ。それを技術力で実現しようとする政策方針には、当然来る5Gへの期待も織り込まれている。

(参考)ドコモ5Gはこちら

(参考)ドコモIoTはこちら

ドコモの災害対策の取組み

過ぎてしまったことに「もしも」を唱えることはあまり建設的ではないが、仮に昨晩の熊本市が豪雨で壊滅的被害を受けたとした場合、筆者の身にまず何が起きたであろうか。幸い大事には至らなかったとはいえ、その可能性だって十分にあったはずである。

ホテルのフロントで避難経路の案内を受けながら、ハザードマップはないかと尋ねた。観光地図にはそれが描かれていない。室内に入ってからもテレビとスマートフォンを片時も手放せないでいる。情報と常につながっていたいのだ。万が一の事態に直面した時、こんなに小さなデバイスは強力なライフラインになる。不安定な天候のなかでも最新の情報が常に手に入るという現実が、当たり前のように思えていたそれまでとは違い、多くの人々の生命を支えているのだと痛感した。

「激甚化」という表現が常務執行役員 田村穂積氏の口から発せられた時、近年の災害模様を端的に伝えるキーワードがまさにこれだと思った。昨年の4月に起きた熊本地震がそうである。このとき、停電と伝送路の遮断により最大で84局の基地局でネットワークの中断が発生している。ところがドコモでは基地局の電源強化と伝送路の二重化、三重化を行っていたため、地震直後から市町村の町役場でも通信を確保できていたという。地上での通信が絶たれた直後は衛星通信の確保を9か所で実施するとともに、移動電源車を発動することで停電対応にも臨んだ。あまり聞き慣れないが電波の発射角度というものを変えた中ゾーン基地局も41か所あり、こうした初動の速さと多層的な運用が的確に遂行され、地震発生後わずか1週間で通常のサービスエリアまで復旧した。

すでに触れた九州北部豪雨もそうである。このとき中断した基地局の数は375局にも上る。それでも災害発生後2週間程度で従来の生活圏レベルまで復旧したというのだから、何か原則的な行動規範といったものが組織中に徹底されているのではないか。

そう、それが「ドコモの災害対策の三原則」といわれるものだ。

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  • ドコモは1992年に設立し、以来「システムとしての信頼性向上」「重要通信の確保」「通信サービスの早期復旧」という三原則を定めている。

    信頼性という観点では震度7でも耐えうる構造を基地局に設けるほか、防水扉や防潮堤により風水害にも備える。さらに普段は未運用であるが、複数の基地局が同時多発的に機能不全化に陥った際に稼働する「大ゾーン方式」と呼ばれる特殊アンテナを全国106か所に展開する。人口のカバー率は35%。さらに県庁所在地や町役場、病院などの重要施設の通信を確保するために、無停電化とバッテリーの24時間対応にも取組む。

    一方、平時に通常運用する基地局でも災害対策は怠らない。停電時にも24時間以上電極維持が可能な設備や、伝送路の多重化、そして先に述べた中ゾーン基地局による電波の発射角度を変える仕組みなどが該当する。

    さらには昨年の胆振頭部地震を踏まえて、2年間で200億規模の追加対策を検討しているとの話だ。その内のいくつかを紹介すると、まず全国のドコモショップに蓄電池や太陽光発電を導入する計画があり、さらに非常用の基地局として移動基地局車の増配備も予定する。

  • セミナー風景
  • 災害大国としての宿命を直視し、専門的で高度化された技術基盤と全国的な組織力で災害対策に臨むドコモの姿は、日々の平穏な日常生活からはあまり知れることは少ない。

    けれどもごく当たり前のように思えるあんしんと安全が、こうして見えない人たちの手で支えられているという事実に触れてみると、地方創生という主題が市民の生活レベルにおいても確かなつながりをもたらすように感じ取れた。

    (参考)ドコモの災害対策ソリューションはこちら

肥後銀行の地方創生に向けた取組み

視点は変わり、続く特別講演は「肥後銀行の地方創生に向けた取組みについて」である。

肥後銀行はその名のとおり、熊本県の指定金融機関である。肥後銀行地域振興部地域創生戦略室長である竹下省吾氏により、県内における観光農業への取組みについて語られた。

  • セミナー風景
  • 実は肥後銀行もドコモと同様、パートナーシップを重視している。

    DMO(ディスティネーションマネージメントオーガナイゼーション)観光の着地型観光を担う会社の株式会社バージョン、「くまもとDMC」を設立したのは3年前。肥後銀行がかかわるくまもと未来創生ファンドから96%、熊本県から2%、そして肥後銀行自らより2%の出資を受けて作った団体である。

  • セミナー風景
  • 観光庁のホームページを確認すると、DMO観光とは「地域の稼ぐ力を引き出すとともに地域への誇りと愛着を醸成する『観光地経営』の視点に立った観光地域づくりの舵取り役」と定義される。

    くまもとDMCでも多言語に対応したコールセンターや窓口を常設し、インバウンド観光客に向けた地域の特色のPRに努める。

そのほかにも阿蘇絶景満喫ライドを開催し、地元の事業者とレンタサイクル事業を手掛ける。阿蘇カルデラの特長的な景観美と自然地形をフル活用した観光業に注力する一方で、国立公園の保全活動にも余念がない。先に触れたSociety5.0に似た調和型の事業設計が伝わってくる。

「モバイル空間統計」を活用した、優良観光客を取込む戦略

今回のセミナーでは、玉名市が外国人観光客の誘致活動を効率的かつ効果的に行うためにドコモの「モバイル空間統計」を活用した事例が紹介された。

玉名市の中心部には菊池川が流れている。豊かな水を利用した米作りやトマト栽培が盛んな地域だ。1300年の歴史を誇る玉名温泉もある。こうした魅力を観光客へ伝えようと、集客対象の割り出しと効率的アプローチを再検証した。限りある予算を最大限に活用するために、周辺地域に訪れる観光客のデータに注目したのである。

玉名市は熊本県における交通の要所でもあることから、西九州や東九州に範囲を広げて移動する際のハブ的地の利を有する。言い換えると観光客の取り逃しがあるのではないか。

  • セミナー風景
  • ドコモは旅マエから旅ナカ、旅アトという概念を掲げ、いつ、どんな人が、どこから、どこへ動いたのかという動態データを可視化した。その結果、訪問者数が単純に多い中国や韓国よりも、これからの増加の余地が期待され、一人あたりの旅行消費単価の高い台湾と香港をメインターゲットとして位置付けることにした。

    従来からのPR手法や対応言語を刷新し、玉名市を九州旅行の中継地点とする旅行プランを新たに開発。取組みは功を奏し、玉名市の温泉施設に宿泊する高単価な外国人観光客の数を増やしている。

おわりに

気の滅入る九州南部豪雨に遭い、一時はどうなることかと危ぶまれた熊本の地方創生セミナーであったが、まずは無事に開催できたことに安堵した。

いつ起こり得るかわからぬ有事への備えが重要と知りつつも個人でできることは意外に限りがあり、肝心なライフラインは企業や自治体のセーフティネットに頼らざるを得ない。そうした不安がせり出しながらも、ドコモのたゆまぬ災害対策を知るにつけ、次第に緩和される構図となった。

熊本県におけるICTの利活用は、教育と観光で際立つ。

産官学で協創し合う取組みは近視眼的な範囲に滞留せず、100年先を見据えた教育投資として位置付け、現在の財源を効率的に活用しながら可用的なシステムでデジタル人材を育む活動は、まさにチームワークそのものだ。

筆者がひと昔前に訪れたものとは全く違った姿の熊本がある。

夏の暑い日、天守閣から目に映えた緑豊かなこの街が、今日までと、そしてこれからも見えざる誰かの支え合いによって息吹くことを知り、充実した気持ちで会場を後にした。

セミナー詳細

名称 地方創生セミナー in 熊本
開催日時 2019年7月4日(木曜)13:30~17:40
会場 別ウインドウが開きますホテル熊本テルサ テルサホール1F
主催 株式会社NTTドコモ
後援 肥後銀行
協力 熊本県

プログラム

時間 講演タイトル
12:00~13:05 受付開始・展示観覧
【主催者挨拶】
13:30~13:45
株式会社NTTドコモ
取締役常務執行役員 坪内 恒治
【来賓挨拶】
13:45~13:50
熊本県副知事
田嶋 徹 氏
【基調講演】
13:50~14:30
『Society5.0時代の地方』
総務省 情報流通行政局 情報通信政策課
【一般講演①】
14:30~14:50
NTTドコモの災害対策の取組み
取締役常務執行役員 田村 穂積
14:50~15:10 休憩
15:10~16:40 【一般講演②】
熊本県におけるNTTドコモの取組み
ドコモCS九州 熊本支店 支店長 和田 あずさ

【一般講演③】
働き方改革について

【一般講演④】
一次産業について

【一般講演⑤】
観光・キャッシュレスについて

【一般講演⑥】
地域交通について
16:40~17:10 休憩
【特別講演】
17:10~17:40
『肥後銀行の地方創生に向けた取り組みについて』
株式会社 肥後銀行 地域振興部
地域創生戦略室長 竹下 省吾
【閉会挨拶】
17:40
株式会社NTTドコモ
執行役員 九州支社長 山﨑 拓

  • 掲載内容は2019年7月4日時点の情報です。
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