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京都府/地域創生セミナー

2019年5月27日(月曜)に実施した、京都府京都市における地域創生セミナーの内容を記者目線でお伝えします。

京都府/地方創生セミナー 京都府/地方創生セミナー

はじめに

関西地方では和歌山県についで2度目の開催地、京都府がセミナーの舞台となった。ここ京都はいわずと知れた悠久の歴史を刻む都市だ。日本の往時において、政治や文化の中心として歴史上重要な位置を占める土地であり、平安時代から江戸時代まで日本の首都が置かれ、文化、建築、伝統などの発展に大きな影響を与えてきた。悠久の都市と最新技術が、どのようにクロスオーバーをするのか。“古都・京都”の現状と未来を知るために「地域創生セミナー in 京都」に赴き話を聞いた。

スマートシティづくりのための連携・協力

  • セミナー風景
  • 「暑い京都は、上等だ。」と京都観光オフィシャルサイトも環境を逆手にとりキャンペーン実施しているとはいえ、夏を前倒ししたこの暑さに「セミナー参加者の足も鈍るのでは?」という心配もどこかにあったが、それは杞憂に終わった。用意されていた約380席はあっという間に埋め尽くされたこともあり、京都府における地域創生熱が高いことを感じた。

    本セミナーに先立ち開会の挨拶に立ったドコモの吉澤和弘代表取締役社長は、この日の午前中に京都府との間で「スマートシティづくり」のために以下の5項目を締結したことを発表した。
    (参考)報道発表【京都府とNTTドコモ、スマートシティづくりのための連携・協力に関する協定を締結】

    ① 5G等の技術を活用した京都のICT化推進に関すること
    ②第1次産業のICT推進に関すること
    ③観光振興及び観光情報の発信に関すること
    ④健康増進に関すること
    ⑤子どもや青少年の教育及び育成に関すること

  • 「現在、企業単独でできることは限られています。パートナーのみなさんと共生して、新しい価値を作りたいと考えています。そして京都府さんとICTを軸に密に連携し、地域協創に貢献して参りたいと思っております」(吉澤社長)
    人口減少や雇用確保に悩む地方自治体と手を取り合い、明るい未来・社会に向けた新しい価値の創出を図る。この「新しい価値」が京都でいえば上記5項目に象徴されるのだろう。

    続いて主催地の来賓として京都府 山下晃正副知事が登壇した。京都府のめざすスマートシティづくりの最終地点を「安寧な社会」づくりだという。「安心」や「安全」といった規格品を使わない点がいい。安寧。全くもって京都らしい情緒を感じさせるこの清々とした二文字に、平和の世界を築き、多くの人が社会参加を果たし、調和した“人が主役になる社会にしたい”という思いが込められている。
    スマートシティはすべてを自動化させるものではなく、足りない部分を補う存在として、日々の暮らしの豊かさにヒントを与える存在と見据える。地域社会に住まうさまざまな人々がそれぞれの必要に応じた利便性の向上を享受できるよう、パートナーシップを通してオープンイノベーションを起こしていきたいと語る。

  • セミナー風景

デジタル変革に必要なカタリスト

この日は、東京大学大学院工学系研究科 森川博之教授による基調講演が行われた。森川教授は、この中でカタリストの必要性を説いた。

  • ここでいうカタリストの定義とは、自治体や社会のニーズをつなげていく人のことであり、デジタル変革の時代に向けて、ありとあらゆるものを「つなぐ人」の重要性を口にした。社会は、アナログでのプロセスからデジタル化へと一歩一歩進んでいる。デジタル化により生産性は向上することは事実だ。

    「現実の世界からデータが上がってくるのがIoT、上がってきたデータが大きければビッグデータとなり、それを分析するのがAI。一連のループのなかの1つのモジュールだと考えていただいて、このループを回していくことがこれからの大きな流れになっていくのではないだろうか」と森川教授は語る。

    人口減少により生産性を上げざるを得ない日本だが、これをチャンスと捉え、デジタルテクノロジーを導入することで生産性を高め、新しい価値や街の創出につなげていくことが理想だ。

    これまでの時代は課題解決型の人材が求められてきたが、これからは価値創造型の人材が重宝されるといわれている。

  • セミナー風景
  • 5Gの商用化を来年に控え、スマートフォン以外のあらゆるデバイスがつながり、ビジネスも加速的進化の過程を突き進む。デジタルテクノロジーに親近感を持つ人々が増え、お互いがお互いのカタリストとなることが、新たな社会の展望を得ることにつながると締めくくる。

  • セミナー風景

京都府におけるドコモの取組み状況

現在、京都府においてドコモは北から南にわたり府内17地域で地元市町村、あるいはパートナー企業と連携し地域の活性化を後押ししているのだが、その事例の一部をここに記したい。

宮津市海洋高校とともに、休耕田を利用しホンモロコ(コイ科)養殖にチャレンジしている。京料理にも使われる魚で高級食材でもある。専用アプリを利用しスマートフォンやタブレットで水量、水温、気象状況、溶存酸素量などを確認。センシングソリューションを活用した授業の推進にもつながっている。ドコモ担当者の話によると、ここからさらに一歩を踏み込んでハイテク化での生産増と食材として流通させていくことを念頭に置いているとのことだ。

また、今年からスマート農業加速化プロジェクトに参画。農業における一貫体系のICT化を図ることで、テレビ「下町ロケット」に出てきた自動走行トラクターや自動運転コンバインの実用版に取組む。TV画面のなかの夢物語ではなく農業を持続可能なものにするための壮大なプロジェクトでもある。

  • セミナー風景
  • セミナー風景

また、京都すばる高校の依頼で人口統計データ(ビッグデータ)を活用し、集中する外国人観光客の分散に向けた分析を授業のなかでアプローチする。グローバル化が進み、日本の未来を担う人材が、ビッグデータをどう活用するか、これからの地域協創で求められるスキルになってくるだろう。

そして高速・大容量の特徴を持った5Gの実証実験を嵐山で行っている。ライトアップされた渡月橋を8K映像で流すことで賑わいづくりや観光収入のアップにつながることがうかがえた事例でもある。

各地域で実証実験を続けることで、社会振興、あるいは社会問題の解決の糸口を探っている。

アグリガール!? その正体は?

  • セミナー風景
  • セミナー風景

生産者を支援。現在、140名いるメンバーだが、この「地域創生セミナー in 京都」には、(アグリガールナンバー2番の)浜森香織さんが登場した。浜森さんは一次産業にかかわる課題を次のように挙げた。「担い手が不足していており、30年間で6割減で約200万人に。TPP協定の影響もあり、生産性と収益の向上が重要になります」

IoTやビッグデータを駆使した“先端技術”と農機の操縦や匠の技を活かした“農業技術”を掛け合わせたスマート農業が、これからの鍵となるのだが、「進捗状況は著しくはない」という。

それは、どんな理由なのだろうか。「実際、現場に行ってみるとよくわかってきました。大規模ではなく小規模生産者さんが多いこと、農機に投資する文化はありますがITへの投資にはまだまだ理解が進んでいないと感じます。生産者のみなさんといかに信頼関係を築けるか、そこは時間がかかります」(浜森さん)。

そこで浜森さんらアグリガールは地域に何度も足を運び、長い年月をかけて生産者と深い関係を築いていくのだ。そして信頼を得ることで既存のスマートフォンにセンサーをつけることで簡単でわかりやすいITを実現させていくことで一次産業に横たわる問題解決を図っている。

インバウンド対応だけではない、キャッシュレス化の推進

  • 日本でも有数の観光都市・京都。街中は観光客であふれ、外国人の姿も目立つ。このご時世スマートフォン1台で簡単に旅行ができる時代であり、国の「明日の日本を支える観光ビジョン」によると訪日外国人旅行者数が「2020年に4,000万人」が目前に迫り、「2030年に6,000万人」を突破するという目標を掲げたことで、さらなるインバウンド対策は必須となるだろう。

    その一環として現金からキャッシュレスの移行が重要となる。キャッシュレス決済比率(2015年)では、韓国が89.1%、中国が60.0%、アメリカが45.0%、日本だけが18.4%と大きく出遅れている。

    国内外のニーズを取り込んでいくためにも、キャッシュレス決済の導入・利用推進は重要な課題だ。そこで国は2025年までにキャッシュレス決済比率40%まで高めるという目標を設定。キャッシュレス化によるメリットとしては①新規顧客の獲得、②客単価の向上、③現金管理・現金保管コストの削減、④決済データのマーケティング活用がある。

    キャッシュレス化の普及促進に伴い、インバウンド対応だけではなく、地域住民の利便性を向上させ、観光地としての付加価値の底上げにつながっていく。気軽にスマートフォンだけで京の街を堪能できる日は遠くなさそうだ。

  • セミナー風景

乗りたい時に乗れるAI運行バス

  • セミナー風景
  • 地域交通の課題といえば鉄道やバス路線の廃線、高齢者の免許返納など交通弱者が増え、多くの危機が叫ばれている。そこにも少子高齢化による人口減少が衰退を加速させている原因がある。

    財政負担が大きくのしかかることもあり、地域交通においては、高齢者を中心とした多様な移動ニーズに応える新たなモビリティサービスが必要だといわれている。それもマイカーのような利便性を備えたデマンド型交通がキーワードとなる。

    そのなか、AI運行バスについては、今年の4月1日に商用サービス化されている。乗りたい時に、行きたい場所まで自由に移動できるオンデマンド交通システムだ。これはAIにより最適なルートで移動。乗り合いで乗車効率の向上と運賃の低減になっている。

    ここまでトライアルを繰り返し行い、累計10万人を超える利用実績を持つという。

    また、目的地と移動手段に加え、商業施設との連携サービスMaaS(mobility as a service)に注目が集まり地域経済の活性化にも期待が高まっている。

    京都府で導入した場合においては、交通不便地域によっては新たな移動手段となり高齢者をはじめとする地域住民が気軽に手ごろな料金で外出しやすくなるだろう。また複数の歴史的資産があるこの地においては観光客の周遊性の向上、経済の活性化、賑わいの創出につながっていくきっかけになるとも考えられている。

    この一般講演を担当したドコモ第一法人営業部の床並展和氏は「交通インフラの整備というのは住民の方からすればマイナスがゼロになったにすぎません。その先の目的をいかに快適にし、より住みやすい街にするか、ゼロをプラスにする活動をみなさまとともに取組んでいきたいと思っております」と熱く語っていたことが印象に残った。

    (参考)【ドコモ AI運行バス】

おわりに

セミナーが終わり、緑豊かな会場を後にし、改めて思ったことは、“この街は生きている”ということだ。街のエネルギーは、そこに暮らす人のパワーでもある。誰もが自分の住む地域を元気にしたいと思っている。地域づくりは人づくりとも呼ばれるが、“スマートシティ”を実現するための主役はあくまでの“人”なのだ。人が主役となり、ICTが寄り添い手助けをすることで、たくさんの価値や魅力を生み出すことができることを強く感じた。

セミナー詳細

名称 地域創生セミナー in 京都
開催日時 2019年5月27日(月曜)13:30~17:30
会場 別ウインドウが開きます国立京都国際会館アネックスホール
主催 株式会社NTTドコモ
後援 京都府/京都新聞

プログラム

時間 講演タイトル
13:00~13:30 受付開始・展示観覧
【主催者挨拶 / 後援者挨拶】
13:30~13:40
株式会社NTTドコモ 代表取締役社長 吉澤 和弘 / 京都府副知事 山下 晃正 様
【基調講演】
13:40~14:20
「未来技術 ✕ 地方創生✕カタリスト」
東京大学大学院工学系研究科教授 森川 博之 様
【一般講演】
14:20~14:30
「地域創生におけるNTTドコモの取組み 」
株式会社NTTドコモ 取締役常務執行役員 古川 浩司
【一般講演】
14:30~14:50
NTTドコモの災害対策の取組み
14:50~15:05 休憩
【一般講演】
15:05~16:35
京都府におけるNTTドコモの取組み
観光分野の取組み
一次産業分野の取組み
働き方改革分野の取組み
地域交通分野の取組み
16:35~16:50 休憩
【招待講演】
16:50~17:25
「人・街・時代の力になる。~京都発のスマートシティ構想~」
株式会社テムザック 代表取締役CEO 髙本 陽一 様
【閉会挨拶】
17:25~17:35
株式会社NTTドコモ 執行役員 関西支社長 高原 幸一

  • 掲載内容は2019年5月27日時点の情報です。
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