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富山県/地方創生セミナー

2019年7月11日(木曜)に実施した、富山県富山市における地方創生セミナーの内容を記者目線でお伝えします。

富山県/地方創生セミナー 富山県/地方創生セミナー

はじめに

今回「地方創生セミナー」は、北陸三県の一つ富山県で開催された。県内を通過する北陸新幹線は1997年に東京駅―長野駅間を結び、2015年に長野駅―金沢駅間を開通するに至り、今では観光客の誘致に欠かせない存在である。標高3000メートル級の山々が連なる立山連峰の風景美には言葉を失うほどの壮大さを感じさせる。黒部川上流の「黒部ダム」建設のために作られた「立山黒部アルペンルート」は、絶景を巡る観光ルートとして人気を集め、世界各地から多くの観光客を呼び寄せている。
また、富山県をデータで見ると、持ち家率が全国1位、若年者の正規雇用率も全国1位、そして、手取り収入(世帯あたり可処分所得)は全国3位を誇り、理想とする将来設計を描ける魅力を秘めている地でもある。
富山県とモバイルICTを活用した地域活性化への融合を知るために、筆者は「地方創生セミナー in 富山」に赴き話を聞いた。

Society5.0に向け県内の取組みを活性化

  • セミナー風景

国はSociety5.0の実現に向けた未来技術を積極的に活用し、地方創生の取組みを積極的に進めていく方針を打ち出している。ここ富山県でも“地方にとっては大きなチャンス”と捉え積極的な活用をめざしている。挨拶に立った富山県 石井隆一知事は「(未来技術への考えを)富山県に引き寄せて、地方のなかでは先頭を走って取組みたいと思っています。このセミナーを機に、Society5.0に向けてさまざまな県内の取組みが大いに活性化する、新たな取組みのワンステージへとつなげていきたい」と語った。

  • セミナー風景

この後には総務省大臣官房審議官(情報流通業政局担当) 赤澤公省氏による「Society5.0時代の地方」を題材にした基調講演が行われた。現状を認識するうえで留めておかなければならないのは、高齢化が進み、人口減少社会の先には経済成長の低下が待っていること。それら経済発展と社会課題を回避するためにSociety5.0のさまざまな可能性を活用することが必要となる。

  • セミナー風景

また、県市町村の窓口になる地方自治体の事務においてもRPAやAIなどの革新的技術を用いた効率化により、スマート自治体への運営転換を図っていく動きがある。国ではRPAの導入に対し補助金の実施や特別交付税措置を講じている(RPAを導入している自治体の割合は都道府県30%、指定都市は45%、市区町村は3%)。
そして5Gについては、「2019年は特に総合的なソリューションについて実証を行っており、2020年から本格的な地方展開を考えています」(赤澤大臣官房審議官)。この超高速大容量の次世代通信技術を、比較的小規模な範囲での通信環境構築(ローカル5G)でも運用できるように、予算とマンパワーを割いているとの説明があった。

(参考)【ドコモのサービス・ソリューション「WinActor」】

センサーとスマホを農具に!新時代の農業の確立を!

  • セミナー風景

一次産業のなかでも農業分野はドコモが取組む重点課題の一つだ。全国にいる一次産業営業担当者約300名が全国のネットワークを活かし他県の事例や情報収集などを支援する。そのなかでも農業ICT推進プロジェクトチームの有志女性社員による「アグリガール」は、この地方創生セミナーでもたびたび登場するひときわ目を引く存在だ。

この日、登壇したドコモ北陸支社法人営業部の吉倉麻衣さんもアグリガール。「富山県は水田率が全国でナンバー1ということですので、アグリガールとしても日本の米どころ・酒どころで名高い富山県に何かしらの形でご支援ができないかと思っています」と挨拶。

地場農家に対するドコモの姿勢をひとことで表せば、それはやはり「協創」だ。通信技術を使うことで農業の省力化、効率化を図り、担い手不足の解消とTPP協定の影響による競争力の強化を図ることで、少しでも生産者の力になれるようにと、日本の農業をより元気に、そしてもっと強くするためにともに汗を流す。

しかし生産者から理解を得るには根気も必要だ。スマート農業の研究開発は進んでいるものの、先祖代々受け継がれてきた営農に従事する生産者たちに「最新技術をどうしたら導入してもらえるか」が課題となる。そこでアグリガールは、現場に何度も足を運び生産者とのコミュニケーションを重ね、細々とした不都合にともに取組みながら、各戸の実情になるべくよりそったサポートを手掛ける。商材ありきではなく、人間関係を大切にしながら地域に溶け込み、信頼信用を積み重ねることを第一としている。吉倉さんは「ICTを分かりやすく生産者に伝える通訳のような役割を心がけています」と話す。

  • セミナー風景
  • セミナー風景

富山県魚津市内の農家ではセンサーで水田の水位と水温を計測し、タブレットやスマートフォンを使って遠隔地から状況を確認できるサービス「PaddyWatch」を導入し、労力の削減を成功させているという。また、農業支援アプリ「アグリノート」を導入することで農作物の生育状況をデータで一括管理し、従業員同士の情報共有もできることで生産性の向上に期待が高まっている。

吉倉さんは、最後にこう締めくくった。
「ドコモは、ICTで日本農業を元気にしたいと思っています。そのためにそれぞれの専門分野のメンバーとパートナー連携し、農家の方々と一緒になって、一次産業に貢献していきたいと考えています」

(参考)【ドコモのサービス・ソリューション「PaddyWatch」】

(参考)【ドコモのサービス・ソリューション「アグリノート」】

ICT=観光発展=地方創生

  • セミナー風景

富山県富山市出身のドコモ北陸支社法人営業部石坂拓馬さんが、この日の「観光分野の取組み」についての一般講演を担当していた。地元の人間が地元を語るからこそ、説得力は増すのではないだろうか。参加者は富山県における活用のイメージをしながら聞いている様子でもあった。

石坂さんは、日本の地域社会および富山県が抱える観光課題についてメスを入れた。

「日本人の国内旅行消費金額は、ここ数年ずっと横ばい。一方で、訪日外国人はどんどん増加しています。消費金額に関しても増えていくと大きな期待が寄せられています。訪日外国人は60%以上がリピーターとなっています。日本に来る回数が増えれば増えるほど、消費金額は高くなります。また、地方に訪れる割合も高くなっていくということが分かっています」と話すと、ここから観光課題への核心に迫っていく。「訪日外国人の地方の訪問率は東京や大阪、福岡、北海道といった都市圏に集中しています。地方への誘客、これが課題。ちなみに富山県への訪問率は1.2%。全国24位です」と続けた。

今後、ますます観光戦略において重要となってくるインバウンド対応。現状は低調な数字だが、見方によっては“まだまだ伸びしろがある”といえるだろう。北陸新幹線が隣県金沢駅まで延伸してから5年が経ち、将来的な路線拡張も見込めるなかで“まずは富山県に足を運んでもらう”、そして満足してもらい“リピーターになってもらう”ことが重要なのだ。そのためには魅力をアピールするプロモーション活動や人気観光地への周遊性向上を図ることが課題解決の一手とも考えられているが、ドコモは、(1)ビッグデータの活用、(2)5G、(3)キャッシュレスを基盤としたソリューションで総合的なサポートをしていきたいと語った。

  • セミナー風景

(1)ビッグデータの活用
「モバイル空間統計」を利用することで観光地間の人の導線を分析し県内外に散らばっている名所、観光地スポット、食事処などへ観光客誘引や周遊性の向上をアップに役立てる。

(参考)【ドコモのサービス・ソリューション「モバイル空間統計」】

(2)5G
2020年に商用化予定。高速大容量低遅延という特徴をもつため高画質映像の伝送やVR、ARを用いた斬新なプロモーションが可能となる。
昨年度富山市総合体育館で行われた「TGC TOYAMA 2018 by TOKYO GIRLS COLLECTION」では、高精細カメラを設置し、5Gを用いてパブリックビューイングを実施。5Gの特長を活かしたソリューションの実証実験を進めている。

(参考)【ドコモの5G】

(3)キャッシュレス
日本では全体としてキャッシュレスの導入が遅れているが(日本の比率19.8%)、観光客の多い、飲食店や商店街では積極的にキャッシュレス(QRコード決済、電子マネー)を推進することがインバウンド対策につながり、富山県への流入施策へとつなげる。

(参考)【ドコモのサービス・ソリューション「d払い」導入事例】

また、ドコモでは旅マエから、旅ナカ、そして旅アトまでをトータルプロモーションし、来日外国人のハートを鷲掴みにする施策を次々と打っている。

  • セミナー風景
  • セミナー風景

一例として、旅ナカではインバウンド対策支援を行っている。「おしゃべり案内板」というサービスでは、AIによる案内受付を手掛ける。
地域の観光発展に向け、ICTを活用したプロジェクトが推し進められている。

(参考)【ドコモのサービス・ソリューション「おしゃべり案内板」】

地域の交通課題を解決するデマンド交通ソリューション

『地域交通分野の取組みについて』というテーマの講師は、ドコモCS北陸 富山支店の池林智之さんだった。

最近、メディアで盛んに取り上げられ、社会に暗い影を落としているニュースに高齢者ドライバー問題、免許返納、あるいは少子高齢化に伴う公共交通の廃止などがある。あんしん・安全なまちづくりへ、ドコモも地方の交通課題と向き合っている。

「少子高齢化に伴う地域交通機関の利用者減、そして地域交通機関が衰退していくという負のスパイラルに焦点を当て、交通を含めた社会インフラ不足が人口流出の要因の1つになっていると考えます」池林さんはそのように語り、デマンド交通ソリューションの説明をはじめた。

地域の足であるコミュニティバスについては、利用者が少ないことで運賃収入も少なく財政負担が大きい。だが高齢者を中心とした交通弱者にとってはなくてはならない地域の足という側面もある。今年の4月から商用サービスをスタートさせた「AI運行バス」は、タクシーとバスの長所を融合した新しい交通の仕組みで、スマートフォンなどのアプリから送られるリクエストに準じてAIが即時処理をし、最適なルート計算と配車を実現する。また、乗り合いを実現することで、コストを抑えて提供することが可能となっている。まさに希望運行を実現するオンデマンドサービスである。

(参考)【ドコモのサービス・ソリューション「AI運行バス」】

  • セミナー風景

これまで国内10地域で延べ9万人の運行実績を誇る。高齢化や過疎化が進んだ地域における移動手段の確保や、観光地での回遊性および活性化へ向けて、さらなる利便性の向上をめざしているとのことだ。

そして、もう1点。現在商用化に向けて開発途中にある公共タクシー配車システムでは、新たな枠組み作りを進める。クラウド型タクシー配車システムを導入することで、配車業務を効率化するというものである。車両をクラウド上で一括管理することで、複数社の配車業務のオぺレーターが一括対応できる利点を持つ。既存の公共交通の見直し提案をしていくとのことであった。

ここ富山市も、公共交通を軸としたコンパクトシティを核として、人と地球環境にやさしいまちづくりを進めていると聞く。住みよいまちづくりはまずは足元から、といったところか。

おわりに

  • セミナー風景

特別講演で株式会社北陸銀行代表取締役会長 麦野英順氏は「地方銀行の役割をひとことでいえば、地域の活性化のためにどんなことができるのか常に考え実行に移すこと」と冒頭で切り出していた。そして、そのヒントは「北前船」にあるという。江戸時代中期に大阪と北海道を日本海回りで商品を売買しながら結んでいた船の総称だ。主に米や塩などの物資を運ぶが、それに付随する形で人、モノ、情報、そして文化を運び北陸の経済を支えていたのだ。

この“人と情報を交流させる”点については、富山県とドコモが取組むことと変わりはない。待ったなしでやってくる人口減少社会。荒波を越えるため、産官学のそれぞれが船頭となった新北前船でICT先端技術を運び、そして人と情報、社会を結び付けていくことが新時代の幕開けになると感じたセミナーとなった。

セミナー詳細

名称 地方創生セミナー in 富山
開催日時 2019年7月11日(木曜)13:30~17:30
会場 別ウインドウが開きますボルファートとやま 2F 真珠の間
主催 株式会社NTTドコモ
後援 富山県/総務省北陸総合通信局
特別協力 株式会社北陸銀行

プログラム

時間 講演タイトル
13:00~13:30 受付開始・展示観覧
【主催者挨拶】
13:30~13:40
株式会社NTTドコモ
取締役常務執行役員 坪内 恒治
【後援者挨拶】
13:40~14:00
富山県知事 石井 隆一 様
総務省北陸総合通信局長 三田 一博 様
【基調講演 1】
14:00~14:40
Society5.0時代の地方
総務省 大臣官房審議官(情報流通行政局担当) 赤澤 公省 様
14:40~15:00 休憩
【一般講演 第一部】
15:00~15:15
ドコモの災害対策の取組み
【一般講演 第二部】
15:15~16:35
ドコモの地方創生への取組み~先進的技術のご紹介~
一次産業
観光
地域交通
教育
16:35~16:55 休憩
【基調講演 2】
16:55~17:25
北陸銀行における地方創生への取組
株式会社北陸銀行 代表取締役会長 麦野 英順 様
【閉会挨拶】
17:25~17:30
株式会社NTTドコモ
北陸支社 富山支店長 浪方 竹葉

  • 掲載内容は2019年7月11日時点の情報です。
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