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和歌山県/地方創生セミナー

2019年5月17日(金曜)に実施した、和歌山県における地方創生セミナーの内容を記者目線でお伝えします。

和歌山県/地方創生セミナー 和歌山県/地方創生セミナー

はじめに

今回で「地方創生セミナー」は9回目を迎える。関西地方でははじめてのセミナー開催となった。
新大阪から特急くろしおに揺られて約1時間。和歌山は自然に恵まれた人口約96万人の県だ。会場に向かう途中、海外から来た観光客の姿を何度も見かけた。和歌山は高野山や熊野、白浜などの観光エリアがあることでも知られている。
風光明媚な景観に目を洗われながら、日本最古の英雄譚として知られる「神武東征神話」の舞台のひとつであることに思いを巡らす。
古事記に記された神々たちは千三百年の時を超えた今、最先端の科学技術を前にしてどのような表情を浮かべ、山々の中に鎮座しているのだろうか。
などと他愛もない夢想に耽っていると、パネルとともに陳列されたドコモのICT商材を珍し気に眺め、手に取る来場者の集団に遭遇した。意外なほどの賑わいぶりである。

Society5.0から描かれる「公共サービスの効率化」と「地域産業の高付加価値化」

基調講演のテーマは「Society5.0時代の地方」。WEB2.0だとか、視力1.5は知っているが、「Society5.0」とはいったい何を指すのだろう。
などと初歩的な無知を反省しながら総務省のホームページで事前に調べたところ、「狩猟社会・農耕社会・工業社会・情報社会に次ぐ、第5の社会を意味する」とある。第5の社会――なかなか正体不明な感がある。

登壇者である総務省情報流通行政局の飯倉主税氏も、そのわかりにくさについて触れる。「5番目の社会が具体的に何か、まだ不確かなところがある。だからSociety5.0という言い方をしている」どうやら次なる社会ステージを予測はするが、その具体像はまさに設計段階にあるようだ。「一番わかりやすい説明は何かと言えば、IoT等で集めたビッグデータをAIや5Gを駆使し、人々の暮らしに活用していくデータ思考社会です」なるほど。生活空間のいたるところにある情報が網の目のようにつながりあい、それをヒントに医療や災害対策、公共インフラなどの質的改善に活かしていくという。

飯倉氏の明解な解説は続く。「Society5.0の拡張の鍵となるものが、3つあります。一つ目はIoTデバイス。2020年の予測では350億個のIoTデバイスが世の中に流通すると言われています。そしてもう一つのテーマが5G。超高速、超低遅延、多数同時接続で、大量の情報を瞬時に処理することが可能となります」

肝心なのはその使い先が地域社会に向けられているという視点だ。飯倉氏は「すぐにも導入が可能な技術を検討してください」と力説する。

「多言語音声翻訳システムやセンサー、クラウド、AI。様々な技術が今も各地域で実際に使われています。農業生産の省力化や市民窓口課の業務効率化、建設機器の遠隔操作など、日々導入事例は増えています。話題のキャッシュレス化も、和歌山県はまだ採用に至らない店舗が多い。現在QR・バーコード決済の規格の統一化を進めており、複数の決裁サービスを簡単に導入できるこの仕組みを、消費増税のポイント還元事業への対応の1つとして検討してもらいたい」

「Society5.0」や「地方創生」といった一見抽象度の高い言葉の奥には、人口減や低い経済成長率といった深刻な構造問題に対する危機感と、自律的な地域経済の復興に向けた期待があるようだ。

ここで技術提供者という視点に立ち返り、ドコモはどのようなICTソリューションを活用し、和歌山の地で協創を図ろうとしているのか見ていきたい。

観光振興の現状分析に効果を発揮する「モバイル空間統計」

日本人の国内旅行消費金額は20兆円。近年はほぼ横ばいで推移している。一方で訪日外国人の数はこの7年間で約4.6倍に増えた。政府は2030年の目標として「訪日外国人数6,000万人、消費金額15兆円」という目標を掲げる。それだけ可能性を秘めたマーケットなのだろう。

  • 南紀地方も例外ではない。リゾート海岸や寺社仏閣、温泉といった豊富な観光資源を活かし、国内外問わずより多くの観光客を誘引するために、訪れる人たちのデータの活用が見直されている。そこで登場するのが「モバイル空間統計」だ。
    モバイル空間統計とはドコモの携帯電話ネットワークの仕組みを利用し、人口動態を把握するためのサービスである。観光地がターゲットと見据える商圏においても、いつ・どこに・どんな人が・どれぐらいいるのか、統計情報が手に取るように分かるため、予算や人員に限りのある自治体においても、より効果的なマーケティングが可能となる。

    (参考)モバイル空間統計について
    (参考)モバイル空間統計導入事例【白川村役場様】

  • セミナー風景

「農」「林」「水」の全包囲的活用で地場産業をバックアップ

  • セミナー風景
  • 和歌山東漁業共同組合は頭を悩ませていた。沿岸部の水産資源保護区域に入って漁をする船が後を絶たず、1日2隻の監視船を巡回させていたという。そこで「かんたん位置情報サービス」を使いはじめた。すべての漁船に小型のGPS端末を搭載して、事務所のパソコンやスマートフォンから位置や動きを把握できるようになり、コストや労力の削減につながった。

    (参考)かんたん位置情報について
    (参考)かんたん位置情報導入事例【和歌山東漁業協同組合様】

「AI運行バス」や「公共タクシー配車システム」で交通の課題を解決

  • セミナー風景
  • セミナー風景

今、日本の至るところで交通事業者の経営状況が圧迫され、赤字路線が次々と廃止されている。和歌山も例外ではなく、交通弱者と言われる高齢者の生活の足は年々減っていくばかりだ。ここに目を付けたドコモのソリューションが二つある。


一つ目は「AI運行バス」だ。乗客がスマートフォンから予約すると、AIが目的地への最適なルートを導き出して配車するオンデマンド乗り合い交通である。日本各地で実証実験が行われており、いずれ生活用途や観光用途で活用されそうだ。
(参考)AI運行バスついて

二つ目は「公共タクシー配車システム」だ。利用者からの呼び出しをコールセンターで受け、出発地に近い地元のタクシーを配車する。コールセンターで住民の乗車位置や降車位置を管理するため、タクシーの乗り合いが実現するという。

「d払い」の取扱い店舗を拡大してキャッシュレス化を推進

  • 基調講演でも触れられた通り、キャッシュレス決済の普及が今のトレンドにある。
    「d払い」は店舗やネットショッピングでの支払いを月々のケータイ料金と合算できる便利なスマホ決済サービスだ。クレジットカードや銀行口座を登録する必要はなく、使えば使うほど「dポイント」もたまっていく。
    和歌山県白浜町にある西日本最大級の海鮮マーケット「とれとれ市場」でも「d払い」が利用できる。手軽さとポイント機能が好評で、和歌山市に本社があるチェーンスーパーでも今年10月からの採用が予定されている。
    ドコモは毎年1,800億ポイントをユーザーに還元しているため、提携先企業の商流を加速させることができる。

  • セミナー風景

「5G」を活用して訪問診療の遠隔サポート試験を実施

意外な数字が目に飛び込んできた。「人口当たりの医者の数は全国9位」、「開業医の人口比の数は全国1位」、いずれも和歌山県の医療の現状である。
富山が薬売りであれば医者の和歌山か? あの緒方洪庵が開いた適塾は大阪。ひょっとして近畿地方は医療とゆかりが深いのだろうか、などと呑気に構えていたら現実は厳しかった。

和歌山の医療現場における課題。第一には「医師の地域偏在」であるとのこと。そう語るのは、招待講演で登壇した和歌山県立医科大学地域医療支援センターの上野雅巳教授である。「医師の数だけで言えば和歌山市は恵まれています。和歌山医大も60人定員のところ、100人にしたことによって医師の絶対数は増えたものの、新宮市や橋本市などの周辺の市町村では医師が恒常的に不足し、地域偏在はむしろ拡大しています」さらには「専門医の診療偏在」も深刻だという。

「医療は進化しており、病気は専門医に診てもらうことが大事。その上で数年前より県下全域を網羅した、遠隔医療システムの構築に取組んでいます」

和歌山県内の公的な診療所と公的な病院全部をネットワーク化し、各医療施設の費用負担なしに診療支援、生涯教育に活用できるシステムであると話す。

「たとえば地域の診療所に勤務する医師が、自分の専門外の診察を患者から求められた際に、このシステムをハブとして和歌山医大に勤務する専門医に診療依頼することが可能です。さらに救急外来においても、まず患者の症状を心電図やエコー画像で遠隔確認し、転院の適正具合と転院先を判断することにも活用できます」

全国的に病床数を減らす動きがある中で、真に必要な医療をより効率的に提供するための取組みともいえる。

また大学で行われる講義、講演会、その他の会議もこの遠隔医療システムを使うことで、県内各地の医療従事者と共有が可能となっている。そうした経緯を受け、ドコモとの5Gを活用した遠隔診療に関する実証実験が和歌山県立医科大学で始まった。

「今年1月、和歌山日高川町で訪問診療の遠隔サポート試験が行われました。診療所の医師が心疾患の既往歴のある患者を診療します。その際、5Gを活用してエコーの鮮明な映像がおよそ40km離れた和歌山医大にリアルタイムで送られ、そこに待機していた専門医が弁の形動き、心臓の動きを確認し、診察を進めました」

その他にも、「モバイル診療所」と称し、医療設備を揃えたトラックを県内に走らせ、和歌山県立医科大学からの遠隔サポートを受けながら、限界地域も含めた各村、集落の患者の診察にあたる取組みにも臨んでいるという。

  • セミナー風景
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医療分野における5Gの具体的な活用事例にリアリティがあり、大変興味深かった。

「公共的サービスの効率化」と「地域産業の高付加価値化」、日本の社会構造が抱える課題に向き合うために、テクノロジーは日々進化しつつある。その活用の場は地方に広がる。

まずは目の前にある技術に触れ、実際に試しながら、次に各地域の個別的課題にフォーカスした内容に昇華していく。その積み重ねが地方創生に具体度を増し、やがて各自治体で集積された知財や事例を他の自治体でも応用していく発散的な枠組みが求められると思われる。その意味でも、今日のようなセミナーの「場」が今後ますます開かれていくと、Society5.0がむしろ楽しみにすら思えてくると感じた。

セミナー詳細

名称 地方創生セミナー in 和歌山
開催日時 2019年5月17日(金曜)13:00~16:35
会場 別ウインドウが開きます和歌山県民文化会館 2F 小ホール
主催 株式会社NTTドコモ
後援 和歌山県/株式会社紀陽銀行

プログラム

時間 講演タイトル
12:00~13:00 受付開始・展示観覧
【主催者挨拶 / 後援者挨拶】
13:00~13:15
株式会社NTTドコモ 執行役員 関西支社長 高原 幸一 / 和歌山県
【基調講演】
13:15~13:55
「Society5.0時代の地方」
総務省 情報流通行政局 情報通信政策課 調査官 飯倉 主税 様
【一般講演】
13:55~14:15
NTTドコモの災害対策の取組み
14:15~14:25 休憩
【一般講演】
14:25~14:30
和歌山県におけるNTTドコモの取組み
【一般講演】
14:30~15:50
観光分野の取組み
教育分野の取組み
一次産業分野の取組み
交通・モビリティ分野の取組み
15:50~16:00 休憩
【基調講演3】
16:00~16:30
「5Gを活用した高精細映像による遠隔診療」
和歌山県立医科大学 地域医療支援センター 教授 上野 雅巳 様
【閉会挨拶】
16:30~16:40
株式会社NTTドコモ 関西支社 和歌山支店長 隠岐 昌平

  • 掲載内容は2019年5月17日時点の情報です。
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