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山口県/地方創生セミナー

2019年7月8日(月曜)に実施した、山口県山口市における地方創生セミナーの内容を記者目線でお伝えします。

山口県/地方創生セミナー 山口県/地方創生セミナー

はじめに

北は中国山地、南は瀬戸内海、歴史や文化の魅力あふれる山口県でセミナーが開催された。翠山荘のある湯田温泉は山口県の中央に位置し、豊富な湯量を誇る温泉郷として知られる。県内の主要な観光スポットにもアクセスしやすいため、湯田温泉を宿泊拠点にする人も多いという。今回のセミナーではICTを活用した一次産業や地域交通、働き方改革の事例に注目が集まった。

持続可能な地域社会を実現するために

「5GをはじめIoT、AI、そうしたSociety5.0の実現に向けた新しい技術を活用し、地域課題の解決に取組みたいと考えます」

後援者挨拶に立つ山口県知事 村岡嗣政氏は、買い物弱者のサポートや農業振興、担い手対策、はたまた医療や教育までと、山口県の地域課題は実にさまざまであると話す。その根底にあるのは、やはり「生産年齢人口の減少」と「少子高齢化」だ。

総務省が7月10日に発表した住民基本台帳に基づく人口動態調査によると、今年1月1日時点の国内の日本人の人口は、前年より過去最大の43万人超の減少という。増加した都道府県は東京圏と沖縄に限られる。

急速な地方人口の落ち込みが顕在化するなかで、ICTによる生産性と収益性の向上を期待する動きは山口県も例外ではない。

  • セミナー風景
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「ICTを活用していくことで産業振興、暮らしやすい街づくり、行政サービスの統一化・スマート化をサポートし、持続可能な地域社会を実現していきたいと考えています」
そう語るのはNTTドコモ 執行役員 中国支社長の上野智久氏である。

「地方創生」という政策用語は2014年頃から政府による地方版総合戦略策定などに姿を見せはじめ、やがて「まち・ひと・しごと創生基本方針2019」に引き継がれる。この政策方針が目指すところは、以下の4点に集約される。(出展:内閣官房・内閣府 総合サイト「まち・ひと・しごと創生」)

・地方にしごとをつくり、安心して働けるようにする
・地方への新しいひとの流れをつくる
・若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる
・時代に合った地域をつくり、安心なくらしを守るとともに、地域と地域を連携する


どれも「人」に焦点を当てていることが分かる。短期的な改善ではなく、その後の未来に向けた持続可能な地域の活性化が本旨なのである。

到来する5G時代に向けて

昨今の複雑かつ急進なデジタル社会のトレンドを理解しようとするためには、手始めに言葉の定義や相互の関係性を押さえることがポイントであると考える。

今回のキーワードは「IoT」、「センサー」、「AI」、そして「5G」。順に触れていきたい。

  • セミナー風景

基調講演「到来する5G時代に向けて」の登壇者である電通ビジネス共創ユニット シニア・プランニング・ディレクターの吉田健太郎氏は、IoTを「生活のなかにテクノロジーが当たり前に入ってくるもの」と定義する。より一般的には「あらゆるモノがインターネットに接続され、相互に制御し合う仕組み」と表現されるだろうか。当然そのなかには産業機器も含まれてくるが、マーケッターとしての立ち位置から、吉田氏はあえて消費者の生活環境への影響に焦点を当てる。

ところでトヨタが車会社からモビリティ・カンパニーへの転換を宣言したことについては、記憶の新しい方も多いと思う。いわゆる「MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)」と呼ばれ、バスや地下鉄などの公共交通機関とタクシーやレンタカーなどを継ぎ目なく乗りついで目的地に移動することが可能なサービスが提供されはじめている。そうした車の「所有」から「利用」への消費の移り変わりを受け、自動車産業の巨魁は大いなる脱却を図るよう経営の舵を切ったようだ。

「人」に着目している点は、先の持続可能性とも合致してくる。
IoTも「人」が主軸となる。つい機械と機械が通信しあう様子をイメージしがちであるが、「人にとって意味のあるデータをいかに集められるか」これが重要になる。そこで登場するのが2つ目のキーワード、手段としての「センサー」だ。

まずセンサーといって思い浮かぶものには何があるだろうか。
商店街の防犯装置もしかり、走行中に車間距離を測ってくれるものまで、生活のさまざまな局面で登場する。そのほかにも温度や心拍に反応するものから、超音波や赤外線、水温や気圧を拾うものもある。私たちの日常では、想像以上の情報が知らず知らずのうちに収集されているのが実情だ。

集められた情報はその後どうなるのだろうか。そこで登場するのが「AI」である。大量のデータを解析し、一定のモデルに基づき経験化された答えを瞬時に導く。

吉田氏は続ける。
「IBMの技術ですら2016年の時点では音声認識と画像認識に留まっていました。ところがここにきて、単純な数値やテキストに限らず、自然言語、画像、音声、表情などへ解析範囲が広がり、自ら仮説立てて推論し、結果から機械が自動的に学習を重ねるようになりました。これをコグニティブ・システムと呼んでいます」

さて、最後に4つ目のキーワード、「5G」について。
IoTとAI。この双方を結びつける通信規格が現行の4Gでは十分といえない理由は、とりもなおさず今後生じてくる圧倒的なデータ量と、その要求速度にある。2020年の予測では350億個のIoTデバイスが世の中に流通するといわれている。そのことは以前、和歌山県の地方創生セミナーレポートでも触れた通りだ。 (参照)【和歌山県/地方創生セミナー】

途方もない数である。日常の至るところでこうした機器からさまざまなデータが日夜飛び交うとなると、ほんのふとした拍子に通信が混み合い、データのズレが生じたりしないだろうか。情報の欠落や遅延が医療事故や勘定系システムの誤計算、混雑する空港での発着トラブルを招かないか、考え出すとあまりいい気持ちがしない。

ところが5G(第5世代移動通信システム)がそれらを解決してくれる。

ドコモの5G特設ページを見ると、5Gの特長が3つ挙げられている。「高速・大容量」「低遅延」「多数端末との同時接続」だ。

(参照)【ドコモの5G】

長野県の地方創生セミナーレポートで紹介した5Gデモバスのように、高解像度の重い映像データも瞬時に伝送可能となる。

(参照)【長野県/地方創生セミナー】

中でもより注目したいのは「多数端末との同時接続」だ。人口が過密する都心の通勤・通学時や渋滞中でも通信キャパシティからあふれることがないとされ、すでにドコモもさまざまな実証実験をクリアしている。

以上、吉田氏の講演を筆者なりに要約してみたが、想像以上に今、時代の変革を迎えようとしていることが窺える。吉田氏の語る「ITシステムの崖」がまさに目の前にあり、迫る2020年から2025年にかけてさまざまなハード・ソフト・モデルがリプレイスされていくのだ。旅行がてらふらりと立ち寄った名の知れぬ田舎町を、マイカーが「ここは、あなたと相性のよい土地よ」などと教えてくれれば、自己流で地方創生を体現してみたくもある。

スマート農業の実証事業でドコモの「ドローン農業支援システム」を活用

続いて、ドコモの山口県における活動をご案内したい。

今、日本の一次産業は大きな課題を抱えている。農業従事者の高齢化が急速に進み、その内65%は65歳以上となっているそうだ。山口県の一次産業従事者は全国で2番目に高齢化が進んでいるというデータもあるという。

今年6月、山口県とドコモは中山間地域における集落営農の課題解決に向けたスマート農業の実証実験を開始した。水稲の生育状況をドローンで撮影して分析することで、生育予測や栽培管理を実証し、収穫量増をめざす。

  • セミナー風景
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従来は水稲の生育状況を目で確認していたため、確かめる人によって判断にばらつきが生じていた。そこで、ドコモの「ドローン農業支援システム」を活用し、自動飛行により取得したデータを一元管理。山口県農林総合技術センターが持つノウハウを用い、蓄積したデータの分析と合わせ、より科学的な営農法に切り替える。

山口市阿東地域で「公共タクシー配車システム」を導入

ドコモはICTを活用して、一次産業だけでなく地域交通の課題解決にも積極的に取組んでいる。近年は都市部から離れた地域で、車を運転しない、もしくは運転できない交通弱者の増加が著しい。そのような社会環境の変化に伴い、昨年3月、山口市阿東地域においてドコモ、電脳交通、徳佐タクシー、地福タクシーが公共タクシー運行実証実験を試みた。

地域の住民や訪問者を対象に利用データを分析し、実際の公共交通ニーズを把握した。配車にあたっては電脳交通が提供する「クラウド型タクシー配車システム」「クラウド型タクシーコールセンター」を活用し、2つのタクシー会社における業務の効率化も図ったそうだ。

  • セミナー風景

「公共タクシー配車システム」を導入したことにより、住民や訪問者の移動がデータとして蓄積されていく。自治体やタクシー事業者、地域住民が抱える難題を解決できるようになった。そこで得られた知見を全国へ展開し、タクシーを活用した新たな地方公共交通の枠組みづくりを推進していくそうだ。

下関農業協同組合がドコモの「WinActor」を導入し従来の業務を効率化

新たなシステムの導入によりタクシー会社の業務が効率化できたように、ICTの活用は業界を問わず従来の働き方を大きく変える。2017年3月に働き方改革実現会議で決定した働き方改革実行計画では9つのテーマが掲げられ、それらは「制度改革」「空間制約からの解放」「人手制約からの解放」という項目に分類できる。なかでもICTと密接に関連するのが「空間制約からの解放」と「人手制約からの解放」だ。

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セミナー会場では下関農業協同組合によるRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)ツールの導入事例がスクリーンに映し出された。ドコモが提供する「WinActor」は、Windows端末におけるパソコン操作をシナリオとして記録させ、パソコン操作を自動化するソフトウェア型ロボットだ。

  • セミナー風景

下関農業協同組合は「WinActor」を導入したことで、注文内容の読み取りや商品ごとの集計、組合員の購買記録作成などを自動処理できるようになった。業務の効率化が図れて人的ミスも減少したそうだ。

(参照)【WinActor】

アウトプットを増やす授業にはテクノロジーが必要

「日本の経済はずっと右肩下がりです。何もしなければジリ貧のままです。だから今、教育を変えて、これからの世の中を支えていく子どもたちが自信を持てるように育てなければならない」と話すのは、特別講演に登壇した情報通信総合研究所の平井聡一郎氏だ。

生産年齢人口が急激に減ると子どもたちを取り巻く環境も大きく変わる。学校や会社で外国人の比率が増え、共通言語は英語になるかもしれない。新学習指導要領では外国語活動の授業を小学3・4年生で行うと記されている。平井氏は、「今の日本なら、英語を完璧にマスターした上で、中国語も自分で身に付けなければいけません」と主張する。

  • セミナー風景
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さらに平井氏は仕事で必要な力についても言及する。「今後なくなる仕事と残る仕事があるなかで、残った仕事に就くにはどのような力が必要なのか? コミュニケーション、クリエイティブ、スペシャリティ……。今までの授業はインプットが9割、アウトプットが1割でした。でもこれからは、話したり書いたりするアウトプットを7割ぐらいまでに増やす授業にしないといけない。そのためにはテクノロジーが必要になってきます」。

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実際に教育ICTに力を入れる自治体は増えている。前回のレポートでご案内した熊本市の取組みも好例だ。

(参照)【熊本県/地方創生セミナー】

(参照)【熊本市が挑む大規模教育ICTプロジェクト 特集ページ】

おわりに

人生100年とは最近の流行言葉のようであるけれども、人間100歳にもなれば曾孫を持つ人もいるだろう。当の本人はすっかり忘れてしまった過去の何かしらのデータを社会が記憶し、子や孫、曾孫たちの世代に作用することもありえる話だ。血縁関係を超越した社会的遺伝子たちは、人々の手によって人々の生活のために役立てられ、国家や地域社会の在り方さえもリ・デザインしていくと思われる。

セミナー詳細

名称 地方創生セミナー in 山口
開催日時 2019年7月8日(月曜)13:00~17:15
会場 別ウインドウが開きます翠山荘
主催 株式会社NTTドコモ
後援 山口県/山口大学/株式会社山口フィナンシャルグループ

プログラム

時間 講演タイトル
12:00~13:00 受付開始・展示観覧
【主催者挨拶】
13:00~13:15
株式会社NTTドコモ
執行役員 中国支社長 上野 智久
【後援者挨拶】
13:15~13:20
山口県知事
村岡 嗣政 様
【基調講演】
13:20~14:00
到来する5G時代に向けて
株式会社電通 ビジネス共創ユニット シニア・プランニング・ディレクター 兼 IOTNEWS生活環境創造室長 吉田 健太郎 様
【特別講演 1】
14:00~14:30
山口大学における地方創生に関する活動
山口大学 副学長 田中 和広 様
14:30~14:50 休憩・展示観覧
【一般講演】
14:50~15:50
一次産業
地域交通
働き方改革
15:50~16:10 休憩・展示観覧
【特別講演 2】
16:10~16:40
未来の学びを支えるICT
情報通信研究所 平井 聡一郎 様
【閉会挨拶】
16:40~16:45
株式会社NTTドコモ
執行役員 法人ビジネス本部 第一法人営業部長 齋藤 武

  • 掲載内容は2019年7月8日時点の情報です。
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