ドコモによる地域協創~沖縄でのIoT利活用~

ドコモによる地域協創~沖縄でのIoT利活用~

豊かな自然と独自の文化を持ち、人口が増加していて人材成長率が高いという日本でも数少ない地域性を持ち合わせる沖縄。そんな沖縄とドコモはIoT利活用し、地域協創の先進事例を全国に広げている。

地域協創の先進事例

地域協創の先進事例

2018年7月策定の「沖縄振興推進重点取組み6分野」とは

ドコモでは、沖縄振興推進の取組みについて「沖縄振興推進重点取組み6分野」を2018年7月に策定。沖縄県での持続的発展に貢献する取組みを行っている。

①自然・文化保護推進
②観光・インバウンド推進
③暮らしやすさ・働きやすさ向上
④モビリティ向上
⑤教育革命推進
⑥産業振興

特に「⑥産業振興」においては、沖縄の持続的発展の基礎となる地域産業の振興、という課題に対し、ICT技術を活用した産業振興を推進している。

一次産業におけるIoT利活用実証事業の成果

ドコモはICTを活用したさまざまな実証実験を行ってきたが、2019年度からスタートした沖縄県の「平成31年度IoT利活用促進ネットワーク基盤構築・実証事業」では、佐敷中城漁業協同組合北中城支所と連携して実証事業に取組んだ。

ドコモは本実証事業で「佐敷中城漁業協同組合北中城支所」とコンソーシアムを結び、「アーサ(ヒトエグサ)の生産性向上のためのICT推進事業」を行った。

左からドコモ法人ビジネス戦略部・木村洋史氏/佐敷中城漁業協同組合 北中城支所 支所長・岩元清一氏/ドコモ法人ビジネス戦略部 担当部長・田場洋哉氏

左からドコモ法人ビジネス戦略部・木村洋史氏/佐敷中城漁業協同組合 北中城支所 支所長・岩元清一氏/ドコモ法人ビジネス戦略部 担当部長・田場洋哉氏

アーサ生産の現状と課題をIoTで解消に導く

沖縄特産品の一つであるアーサは、近年健康食材として需要は増加傾向にあるものの、収穫量は年々減少傾向にある。また平成27年から平成28年にかけては沖縄県の収穫量が増えたが、北中城の生産量が減少していることも課題となっていた。

アーサ収穫量

(出典)沖縄総合事務局 沖縄農林水産統計年報より作成

佐敷中城漁業協同組合北中城支所は以下の課題がある。

課題:アーサ収穫量が年々減少傾向にあり、生産者収入の減少と加工業者設備の稼働が非効率であること

また北中城村は「北中城村まち・ひと・しごと創生総合戦略」(H31年3月改定)において、アーサの生産量を27.0tから30.2tへ増やすよう重要業績評価指標(KPI)(*)として計画している。

*参考:北中城村まち・ひと・しごと創生総合戦略(北中城村)

沖縄県水産海洋技術センター、佐敷中城漁業協同組合北中城支所、ドコモの3者で議論し、アーサ栽培の収穫量に大きく影響すると考えられている3つの課題に本実証事業では取組んだ。

課題1:採苗時期把握
課題2:成長要因把握
課題3:雑藻(ざつも)発生要因把握

浮かび上がった課題に対し、まずはアーサ栽培に関する生態を確認するため、北中城村沿岸のアーサ圃場で海中環境の異なる最大4か所にICTブイを、近隣の陸上にFieldServerを設置して環境データを取得した。

北中城村沿岸のアーサ圃場

北中城村沿岸のアーサ圃場

ICTブイで海水温(海底・水面)と塩分濃度、FieldServerで圃場の環境状況(気温・湿度・風向・風速・降雨量・日射量)を取得。取得したデータとアーサ栽培との関連性を分析した。

データ分析により環境要因と収穫量、作業内容の関連が明らかになれば、次年度以降はデータに基づいた最適な栽培方法が期待できる。

また、スマートフォンからICTブイとFieldServerのデータをいつでも確認できるため、圃場環境をリアルタイムに把握し、必要に応じて圃場へ行くなど効率的な生産に取組める。

ICTブイとFieldServerのデータ

ICTブイとFieldServerのデータ

「アーサの生産性向上のためのICT推進事業」成果報告

2020年2月6日(木)、本事業の成果報告会が実施され「アーサ(ヒトエグサ)の生産性向上のためのICT推進事業」では佐敷中城漁業協同組合北中城支所支所長・岩元清一氏、ドコモ法人ビジネス戦略部・木村洋史氏より発表があった。

アーサの栽培は採苗→本養殖→収穫の工程となっており、通例では「旧暦の8月15日前後」に採苗を行う。採苗とは、遊走子と呼ばれるアーサの種子が放出されるタイミングを狙って網に取り付ける種付け作業である。採苗のタイミングが早いと遊走子以外の雑藻が付いてしまい、逆に遅すぎると遊走子が出ていないため網に付かなくなってしまう。これまで遊走子が出るタイミングが明確にわかっておらず、先人の経験や勘により「旧暦の8月15日前後」と伝えられていた。

これに対して遊走子放出量・時期と海水温、潮位などのデータをICT機器で調査を実施。今回は2つの場所で採苗実験を行った。種付けがよいと言われる場所、遊走子が多いと思われる場所2か所に機器を設置しデータを取得した。

実証実験による成果

これまで採苗時期は「旧暦の8月15日前後」と言われていたが、データによると8月15日以外にもさまざまな時期に遊走子が出ると判明。また、時期だけでなく場所によっても変わると明らかになった。

これに対し岩元氏は「父親(先代)から旧暦の8月15日に絶対に採苗をしろと伝えられてきた。けれどうちで働く漁協には兼業の人が多く、仕事の都合により8月15日を外してしまうこともあった。そのときでも採苗すると遊走子が付くこともあり『8月15日以外でも、放出ピークは実は複数回あるのでは?』と考えるようになった。けれど先代からの言い伝えを覆す根拠がなく、8月15日にこだわり続けていた。今回の実証実験で遊走子の放出ピークが複数回あるとハッキリ分かって良かった。」と語った。

アーサ養殖は兼業で行う人も多い。採苗時期が不明なことなどにより兼業のハードルが高くなっていた。後継者不足や生産者の減少はここにも原因があると考える岩元氏は、「この実証実験が立証され、実装につながることで、収穫量が少量の生産者や兼業の方、高齢者に対してもアーサ作りのハードルを下げられるのでは」と期待を示した。

佐敷中城漁業協同組合北中城支所支所長・岩元清一氏

実証結果がもたらした可能性と今後の発展

今回の実証事業ではほかにも多くの可能性が明らかとなった。これまでは海の状態を目視で確認していたが、スマホで確認できるようになれば時短が期待できる。

また、今まで1回だけだと思っていた採苗のタイミングが複数回あると分かったことで、収穫期間内に2度3度の採苗が可能となるため、おのずと収穫量も増える。それにより収穫量増加、生産者の収穫向上にもつながる有意義な実験結果となった。

現在は2つの実験を継続している。1つは本養殖期の成長要因を把握するアーサの成長状況と海水温、栄養などのデータ調査。もう1つは収穫期に発生する雑藻(ざつも)の発生要因を把握する調査をしている。この2つは目下分析段階にあり、今後データを活用した収穫量増加に繋げていきたいと田場氏は語った。

データを活用した収穫量増加に繋げていきたいと田場氏

ICTブイを活用した今後の展開

本実験により、これまであらゆる課題に頭を悩ませていた岩元氏は「今後のアーサ生産業に期待が持てるようになった」と今回の実験への期待を語る。

実験結果をもとに、ドコモとしての今後の展望について木村氏は「アーサに関しては北中城村だけでなく、ほかのエリアでもICTを活用していきたい。ドコモにはICTブイを活用した牡蠣養殖など県外での実績がある。他の水産事業者からも『アーサ以外の水産業でもやってほしい』とご要望いただいているので、ぜひアーサ以外にも挑戦し、売り上げ増加に貢献したい」と話した。

アーサでの実証実験のように、ICTを活用すると課題解消や産業活性化が叶う。沖縄を含め、さまざまな人のもとに技術が届くことで、ありとあらゆる課題解決につながっていく。今後はより必要な人や企業のもとに技術が届き、活用幅が広がっていくことに期待したい。

(本内容は2020年2月6日取材時点のものです。)

「沖縄振興推進重点取組み6分野」を策定

ドコモのIoT

ICTブイ

一次産業を支えるドコモのICT

ICTブイ導入事例
(沖縄県もずく養殖業振興協議会様)

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