焼失した首里城~5G×ARで歴史学習を支援~

焼失した首里城~5G×ARで歴史学習を支援~

焼失した首里城 5G×ARで歴史学習を支援

目の前にない建物の歴史・文化をどうやって伝えればいいのだろうー。正殿を含む主要な建物8棟が焼失・焼損した、沖縄県那覇市にある首里城の関係者は頭を抱えた。首里城公園を管理運営する「沖縄美ら島財団」はドコモと連携するなかで「5G×AR」に光を見出した。観光客や修学旅行生、沖縄の子どもたちは失われた首里城をどう感じ、どう学んでいけるのか。

沖縄の心の支え失った

その日、沖縄中で多くの涙が流れた。2019年10月31日未明、首里城正殿から火が上がった。またたく間に燃え広がり、正殿や北殿、南殿など計6棟が全焼し、奉神門など2棟が焼損した。首里城がパチパチと音を立てて焼け落ちていくさまを、近所の住民たちは夜通し、泣きながら見守ることしかできなかった。地元紙や地元テレビ局はインパクトの大きさをこう表現した。「沖縄の心の支えを失った」

沖縄の心の支え失った

琉球王国の発祥は15世紀までさかのぼる。首里城は政治、経済、文化の中心地だった。正殿は1925年に国宝に指定されたが、そのわずか20年後、沖縄戦の激しい戦火で焼失した。1992年、日本復帰20周年を記念し正殿などの主要部分が復元され、2019年の火災直前まで「女官居室」や「世誇殿」などの復元作業が続いていた。

失われたのは建物だけではない。絵画「雪中花鳥図」や第18代琉球国王尚育の書「地静春」といった王国時代の貴重な資料や、製作段階から忠実に再現した復元品など琉球王国の文化や技術を学ぶことができる400点弱の歴史資料も火の手から逃れられなかった。

沖縄の心の支え失った

2010年度以降、ほぼ毎年、右肩上がりで推移してきた公園入場者にも影響が出ている。2018年度の有料区域の入場者数は約177万人を記録していたが、10月末に火災があった2019年度は約105万人と前年度比59%に落ち込んだ。

実物がないなか、どう伝えられるか

2019年、沖縄美ら島財団とドコモは5Gを活用した首里城の観光振興に向けて、連携して取組もうとしていた。5G基地局の建設に向けて準備を進めていた矢先、火災が発生した。事業中止が検討されたが、双方の関係者は踏みとどまった。「このような状況だからこそ情報通信技術(ICT)を駆使して、首里城の素晴らしさや沖縄の歴史を伝えられないか」。関係者の強い思いで、事業は再び前に進み始める。

火災から1年後の2020年10月30日、思いは一つの形になった。ドコモは5GとAR(拡張現実)を組み合わせたシステムを沖縄美ら島財団に提供した。4か月後の2021年2月、同システムを活用した遠隔授業の実証実験が首里城公園で行われ、関係者はシステムを使ってできることを目の当たりにする。

5G活用し遠隔講義 ARで臨場感も

実証実験のやり方はこうだ。沖縄美ら島財団の学芸員が首里城公園の管理事務所にいたまま、公園内にいる受講者にリモートで首里城の歴史や文化を講義する。講義の際に受講者が参照する資料は火災以前に撮影してあった建物や収蔵品のアーカイブデータだ。ドコモのクラウドサービス「ドコモオープンイノベーションクラウド(dOIC)」を通じて講師の4K映像や音声、アーカイブデータの制御信号など送受信しながら講師、受講者ともタブレット端末で見ていく。5Gを使用しているため、高精度画像で低遅延、多数接続が可能になる。ARと呼ばれる、目の前の風景にデジタルデータや映像を重ねる技術も活用している。

5G活用し遠隔講義 ARで臨場感も

「首里城の映像が見えますか。今からご案内しましょう」。管理事務所にいる上江州氏はタブレット端末越しに受講者に話しかける。「ここが正殿です。西向きに建てられた特徴的な造りの宮殿です」。映し出される焼損前の建物群を示しながら、首里城の歴史を詳細に説明していく。

5G活用し遠隔講義 ARで臨場感も

公園内の受講者は案内に従って「ARマーカー」と呼ばれる拡張現実のコンテンツを読み込む専用小型パネルにタブレット端末をかざす。AR技術によって、端末上では目の前の風景に、在りし日の首里城の映像が重なり、受講者が臨場感を感じられるようになっている。「光や風など園内の雰囲気を感じながら、今は見られない建物の様子を学ぶことができて有意義だった」「リモート講義だけどスムーズに説明を聞くことができた」。受講者からはシステムを使った講義を評価する声が上がっていた。

リモート講師を務めた上江州氏も手応えを感じていた。「首里城の映像を使いながら説明することで『ここにこういう城が建っていたんだ』と理解してもらえるなと思いました。あと、首里城が復興していく間も『ここにこういう建物ができるんだ』とみなさんに期待感を持ってもらえるという点でも、このツールの存在は重要だと思います」

5G活用し遠隔講義 ARで臨場感も

観光客や子どもたちに 
歴史伝える新ツール

実証実験は「5G」「ドコモオープンイノベーションクラウド(dOIC)」「タブレット端末」の三つを使っていることが特長だ。5Gにより高速・大容量通信、低遅延、多数接続を実現。dOICは、ドコモのネットワーク内に構築され、インターネットなど他網を介さずドコモ端末と直接結ぶことができるため、高いセキュリティが確保できる。また、専用端末ではなく、タブレット端末向けにシステムを構築したため、汎用性が高いのも強みだ。これらのソリューションがそろえば、沖縄県内だけでなく、県外などの遠隔地と結びコミュニケーションを取ることができる。

観光客や子どもたちに歴史伝える新ツール

実証実験の技術を活用すれば、首里城を訪れた修学旅行生や観光客などに体験型の”遠隔授業”を行うことができる。上江州氏はさらに応用した使い方も見えてきている。「県外からの観光客、修学旅行生にとどまらず、沖縄県内の子どもたちに、首里城をはじめ沖縄の歴史を伝える新しいツールになるのではないか」。島しょ県の沖縄では移動するだけでも他府県以上に時間的、経済的な制約が伴うことが多い。今帰仁城跡や勝連城跡など県内にあるさまざまな史跡を5Gで結ぶことができれば可能性が広がる。「地域の歴史を学ぶ新しい方法が開発されていくかもしれない」。上江州氏はそう期待を寄せる。

観光客や子どもたちに歴史伝える新ツール

私たちの暮らしがニューノーマル(新しい生活様式)に移行していくのと同じように、足元の歴史や文化の学び方も、ドコモの技術によって「新しい様式」に移行していくのかもしれない。

(本内容は2021年2月4日取材時点のものです。)

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