3月に発生した東日本大震災から一刻も早い復旧に向けて全力で取り組み、一部の地域を除きほぼ全てのサービスエリアを4月末までに復旧した。また、今回の震災を教訓として、「重要エリアにおける通信の確保」、「被災エリアへの迅速な対応」、「災害時におけるお客様の更なる利便性向上」という3つの方針のもと新たな災害対策を推進し、災害に強いネットワークの実現に向けて取り組んでいる。
(1)ドコモの変革
「新ドコモ宣言」「中期経営ビジョン」発表以降、ドコモ全体で結束し、あらゆるビジネスプロセスにおいて、現場原点主義を徹底し、お客様視点による見直しを行ってきた。
その結果、目標として掲げていた「お客様満足度1位」を2010-2011年度2年連続で、受賞することができた。
(2)中期ビジョン2015
2020年ビジョン「HEART」の実現を目指し、2015年に向けた取り組みを「中期ビジョン2015」として策定した。
「モバイルのサービス進化」と「産業・サービスの融合による新たな価値創造」の取り組みを、「ドコモのクラウド」で加速させ、お客様一人ひとりのスマートライフの実現を目指す。
「モバイルのサービス進化」については、スマートフォンの普及促進に向けて端末ラインナップの更なる充実やサービス・コンテンツへの拡充などを行っており、2011年度第3四半期は553万台を販売することができた。一方スマートフォン普及によるトラフィック増加などの影響で、通信障害が重なり皆さまに大変ご迷惑をおかけした。深くお詫び申しあげたい。再発防止に向け、「ネットワーク基盤対策本部」を中心とした全社体制で、安心安全で高品質なネットワーク構築に努めている。また、増大するトラフィックに対応するために「Xi」(クロッシィ)を展開しており、2015年度スマートフォン4千万契約、Xi3千万契約を目指している。
「産業・サービスの融合による新たな価値創造」については、提携企業との協業により様々な産業・サービスとモバイルとの融合を通じたイノベーションに取り組み、新たな価値創造を目指す。放送・電子書籍などの「メディア・コンテンツ事業」やクレジットや保険などの「金融・決済事業」など、モバイルとの相乗効果の高い8分野の事業領域において、出資・提携を推進していく。
ドコモのクラウドについては、高品質なネットワークと強固なセキュリティを強みに様々なサービス・コンテンツの提供をクラウドで対応していきたい。例えば通訳電話サービスや音声エージェントサービスなど高付加価値の新たなサービスを展開していく予定。
2011年度通期目標である8,700億円に対して順調に進捗しており、2012年度の「営業利益9,000億円達成」に向けて様々な取り組みを行っている。
また、株主還元は重要な経営課題と考えおり、国内トップレベルの配当性向を引き続き維持し、安定的な配当を目指していく。
A1 他社の取り組みとの違いは大きく3つある。まず、1つ目は端末の品揃えである。ドコモは、アンドロイドのオープンOSの環境で、ドコモのサービスを提供していく。おサイフケータイ、防水、ワンセグなどお客様に好評な機能・サービスを提供できる様々な端末を提供していく。2つ目は、ネットワーク品質である。スマートフォンの普及によりネットワーク品質の重要性が高まっているが、この度、一連の通信障害を発せさせてしまい、改めてお詫びを申しあげたい。今後は再発防止に向けて全社一丸となって信頼回復に努め、安心安全で高品質なネットワークを構築していく予定である。
3つ目はサービスの内容である。コンテンツ・サービスを拡充した「dメニュー」・「dマーケット」を昨年11月より提供開始した。また通訳電話や音声エージェントなど今後とも新たなサービスを提供していく予定である。
A2 「Xi」は、「FOMA」に続く次世代通信方式 LTEのサービスブランドである。LTEはドコモが世界に先駆けて開発を進め普及促進を図った技術であり、高速・大容量・低遅延という特長をもっている。
この「Xi」を普及させるためのポイントは3つある。
1つ目は端末である。今年度はPCデータカード・Wi-Fiルーターに加え、タブレット端末2機種、スマートフォン4機種を発売してきた。今年の夏モデルでは6-7割をXi対応の端末にしていきたい。今後もお客様の利便性向上や電波効率の高いXiの端末を提供していく予定である。
2つ目はエリアカバーである。今年度は県庁所在地級の都市までエリアカバーを行う。来年度は全国主要都市70%、2014年度は98%のカバー率を目指し、エリアの拡大を進めていきたいと考えている。
3つ目はサービスである。今後は「Xi」の特徴を活かしたサービスを提供していく予定である。例えば、高速という特長を活かしたモバイルシアターや、低遅延という特長を活かした対戦型のゲームなどを提供する予定である。
A3 直近の株価の動向を見ると、今年度の始めから比べると大きな変動はない。私としては、スマートフォンの拡大や通信以外での新たな事業の成長について当社の株価に織り込まれておらず、一層の上昇余地があると考えている。
ドコモ株を、市場でより高く評価していただくためには、いかにドコモが成長路線を示し、実行していけるかが重要である。そのためにも、スマートフォンの普及拡大などによるパケット収入や新たな収益源の創出など、成長に向けた取り組みを着実に実行していきたい。
また、このようなドコモの取り組みを、投資家の皆様にもっとアピールしていきたいと考えている。その点で、IR活動は重要だと考えており、積極的に取り組んでいる。こうした場で、投資家の皆様と直接コミュニケーションを行い、ドコモの事業活動を知っていただきたいと考えている。