説明会資料
主なQ&A(営業戦略に関するスモールミーティング )
実施日:2019年12月10日
内容につきましては、ご理解いただきやすいよう部分的に加筆・修正をしております。
-
質問者1
Q1 新料金プランおよび新販売モデル導入後の獲得数の変化などを教えてほしい。
開く
A1 獲得数というのは、新規やMNPのポートインを指していると思うが、ポートインは端末価格の変更があったことで2019年6~7月は落ち込んだ。一方、8~9月は数値が改善しており、10月以降は9月までの激しい競争の反動もあり全体的に数値が下がった。この反動については今後注視していく。11~12月は数値は徐々に回復基調であるものの、2018年と比較するとまだ十分に回復したとは言えない。新規の契約獲得はそういった影響がないため、学割などの施策も活用や法人契約などでしっかり獲得を進めたい。
Q2 2019年11~12月のMNPポートインは前年比減とのことだったが、その下げ幅は大きいのか。
開く
A2 具体的な数値は回答は差し控えさせていただく。MNPの市場自体は縮小している。
Q3 MNPの市場全体が縮小しているということは、MNO間の流出入は相互に減っているという理解で良いか。
開く
A3 MNPについてはポートアウトについても数値は大きく縮小している。したがってMNPという観点で言えば、2019年度2Qと比較し、3Qは大きく改善している。この状況がいつまで継続するかについては不透明であるものの、足元の状況でいえば、MNP市場はかなり沈静化していると言える。
Q4 新料金プランについては、いかにユーザにささるかがポイントであるが、評判や訴求力についてはどう評価しているか。
開く
A4 旧料金プランと新料金プランで比較して申し上げると、新料金プランのお客さまへの説明にはなかなか苦労している。理由のひとつは、まだ月々サポートの適用期間が残っているお客さまが多いからである。月々サポート適用中のお客さまでもご利用状況次第で料金が安くはなるが、それ以上に月々サポートの適用が終了してお支払い料金が上昇しているお客さまの方が他社への流出リスクが高いため、新料金プランに移行していただくよう積極的に働きかけている。かつてないほど個別のお客さまの契約してる料金プラン実績に応じたOne to Oneマーケティングを行っており、対象のお客さまについては、順調に新料金プランへ移行いただいている。一方で、旧料金プランのシェアパックグループ内に月々サポートの適用中のお客さまが残っていると最終的に料金がおトクになるのか否かの判断が複雑となるため、店頭にてしっかり説明し納得の上で移行いただくようにしている。前回の料金プランを導入した際には月々サポートを活用して移行促進を図ったが、今回は月々サポートという移行促進に効く施策がない中では移行数は健闘している。今後も月々サポートが適用終了となるお客さまは順次増えてくるため、着実に新料金プランへの移行は進むと思われる。
加えてAmazonプライムやディズニーデラックスとのバンドル、学割といったおトクな施策についても、施策の適用条件を新料金プランとしているため移行促進の起爆剤となると考えている。Q5 メディアなどにドコモの新料金プランは全く安くないと記事などに書かれている。その結果、ドコモは安くないといった雰囲気が世の中にも蔓延していると考えており、しっかり安さをアピールするためには、新料金プランを他社料金の比較をもっと積極的に行うべきではないか。
開く
A5 メディアに対しては料金比較表などもお見せしながらしっかりPRしているつもりだが、なかなか伝えきれていない様子である。引き続きPR活動には取り組んでいきたい。
Q6 販売関連費用は、実績については端末値引きに適用される手数料などの控除前ベースでは対前年で減少していると思うが、これからの長期的なトレンドはどのように描いているのか。
開く
A6 今までの販売関連経費は、ほぼ端末の販売、特に回線契約維持のためのスマートフォン・タブレット販売と連動するものであったが、月々サポートの新規受付終了に伴い自然体の営業活動に連動した費用発生になると考えている。スマートフォン市場については今後の大きな伸びは期待できず、今後、販売数は減っていくと考えるため、従来のような規模で端末販売に連動した費用が出ていくとは考えにくい。
すでに対面の販売チャネルにおいては、前述のような主要な費用が減る一方で、それ以外の費用は増えている。すでにドコモショップでの手続のうち、端末販売は3分の1、故障受付を含めても半分ぐらいの割合しかない。
扱う商品やサービスが多すぎると対面チャネルもオーバーフローしてしまうため、WEBチャネルで手続きできるものは、どんどん取り扱いを増やしていかなければならないと考えている。
その一方で、実際に店頭で商品やサービスを体感したいニーズはあるため、そういった需要動向をみながらチャネルのミックスを考えていきたい。
なお、人手不足の時代でスタッフ確保が難しい点も課題である。代理店の立場も考えるとより一層のデジタル化を促進して業務を効率化し、生産性の向上をしなければならない。その観点では端末だけの取り扱いでは対面チャネルは縮小均衡になるが、前述のような理由からかならずしもそうとは限らないと考えている。Q7 販売費用は、端末販売にかかるものなどすべてを含めれば全体としては少しコストダウンの傾向にあると理解してよいか。
開く
A7 そのとおりである。
-
質問者2
Q1 新料金プランや楽天などの新規参入が落ち着くとして、2020年あたりから何を軸にMNO間での競争は展開されるのか。個人的には金融決済やコマースが気になっている。最近では、ソフトバンク配下でYahoo JapanはLINEと組むなどドラスティックに事業統合が展開されており、KDDIも楽天といつ組むのかとマーケットで噂されている。他キャリアの連合が今後どうなるかは定かではないが、もし通信事業以外が競争の主戦場となった場合、ドコモは何を軸としてどう対抗するのか。
開く
A1 5Gは、むこう10年の競争を大きく左右することはまちがいない。韓国は7月、中国は10月末からすでに商用サービスを開始している。KTやチャイナモバイルとはドコモも頻繁に情報交換をおこなっている。
各社はサービスをスタートする時点で様々な策を講じると思うが、通信エリアそのものの拡大については簡単な話ではない。またネットワーク品質だけでなく料金や端末も競争の軸となる。状況が4Gの時と違うのは、スマートフォンのような不連続な革新があるかがまだわからない点である。そのため、まずはスマホを中心に周辺機器などのデバイスとサービスをセットでどこまで揃えられるかが、通信エリアの構築と平行しながらの重要な競争の軸となる。また、金融決済は他社に勝つべく力を入れているが、ドコモが他社と一線を画しているのは大規模なキャンペーンや加盟店開拓などキャッシュを燃やして場所だけおさえるといった方向性での取り組みはあまり考えていないことである。我々は回線の顧客基盤を持っており、継続性において強みがある。チャレンジングではあるが、データ活用などには積極的に投資をして競合にキャッチアップしていく。まずは、政府の補助金が切れた以降にも、お客さまに普段使いの決済手段として利用していただけるような取り組みをおこなっていくことが重要であると考えている。質問者3
Q1 ドコモはセカンドブランドなどと価格水準を合わせる必要性について、ドコモの顧客層はそこまでに料金に対してセンシティブなのか。現状、ドコモはYモバイルとUQモバイルの価格帯まではカバーできていないと思うが、セカンドブランドの価格帯についてドコモが追随する必要はあるのか。
開く
A1 あえて価格を下げないといけないのかということについては、これまでも色々なお客さま還元として値下げをしてきた。今回はその中でも大きな料金の見直しであり、2014年6月のカケホーダイ&パケあえる以来の5年ぶりの大改訂となった。今回の大改定までの間、様々な施策を既存料金に追加する形で提供してきたが、結果として料金が非常に複雑になり、お客さま目線でもかなり料金が分かりにくいという状況だった。加えて、各方面からの料金に対する批判もあり、この度、料金を思い切ってシンプル化させていただいた。今回の料金見直しは短期的に見たら大きな減収だが、今後は通信事業だけでは成長は難しいこともあり、しっかりと顧客基盤を守りつつ新たな収益源を伸ばしていかないと中長期的な成長の絵を描けないと考えている。なお、セカンドブランドより下の価格帯にもSIMのみ提供するMVNOで端末は中古端末で利用するというサービス形態もある。このように通信業界はサービスの提供形態について非常にすそ野が広いため、どこに焦点をあてるのかは難しいところ。2015年にMVNOが音声プランとのセットを開始したが、これによってMNOから一定数のユーザーが流出した。それに対抗する形でYモバイルやUQモバイルがMVNOへの防波堤という位置付けで他社から登場した。
一方、当社はいまだワンブランドで事業運営をしているが、MNOとしてのメリットを訴求しつつ、docomo withなどの割引により、料金を安価に抑えたい方の要望に応えてきた。
このたびの新料金プランの導入により料金をシンプル化したが、お客さまの声にいかに応えていくかは引き続き考えていく。端末販売と通信料金の分離により、MVNOが少し元気になってきた印象だが、その辺りの動きも注視しながら、料金も必要に応じて見直していく。質問者4
Q1 楽天の今後の動きに対する予想と、考え得る対抗策を教えてほしい。現時点で準備をしないと、彼らが発表したときに対応できないと思うが、色々なことを想定しているのか。
開く
A1 その通りである。どのような準備をしているかは手の内を見せることになるのでご容赦いただきたい。
Q2 楽天に対してドコモがアピールできる強みは何か。
開く
A2 なかなか楽天の手の内がわからないというのが正直なところだが、エリア、ネットワークの品質が不十分だということははっきりしている。出足からこうだとマイナスイメージが付いてしまうため、楽天の立場からすると大変だと思う。マイナスイメージを挽回するために思い切った料金を出すのではないかという話もあり、先日インターネットで料金表のイメージがリークされたが、楽天としてはオフィシャルなものではないとのことである。普通に考えれば、彼らがすでに提供しているMVNOの楽天モバイルの料金水準をベースにしながらキャンペーンやポイント還元を組み合わせることが想定される。モバイル通信サービスで儲けなくてもいいという考え方であれば、彼らが得意な自社サービスとのクロスセルを行うことも考えられる。ただ、先ほどお伝えした通り、競争の軸は料金だけではない。
先方の具体的な料金が出てこないと明確にはドコモの対応方針はお伝えできないが、モバイル業界の競争の軸はネットワーク、料金、端末、サポートだ。そうした面でのドコモの強みを最大限活用しながら対抗する。また、様々なパートナーに当社のアセットも提供しつつ、win-winな関係を構築することにより、商流を拡大していくことでも対抗していきたい。Q3 先日インターネット上で出回った楽天の料金表だが、キャンペーン適用後の料金としてはあり得ると思った。もしあの料金水準だった場合、追随するのか。
開く
A3 料金だけではなく、ネットワーク品質とのバランスで考える必要があると思っている。
Q4 MNO3社のネットワーク品質にはほとんど差はないと思っている人が多く、楽天についてもあまり差がないと思っている人は結構いると思っている。例えば、ネットワークスピードを比較するパロディみたいなCMを用意する位しないと、消費者には伝わらないと思うが、どうなのか。
開く
A4 その辺りは楽天の出方次第ではないか。
Q5 スマートライフ領域は成長しているし、セグメントの利益として伸びていることはわかる。一方で、利益が増えると総務省や政府に叩かれて、結局利益が1兆円を超えないところで頭打ちになるのではないかと心配しているが、そうしたリスクはあるのか。
例えば、NTTがドコモとデータを分社化したように、場合によってはスマートライフ領域を分社化する可能性はないのか。通信事業と成長領域を分けて、うまく批判をかわすという選択肢もあると思っている。その点について議論しているのか。開く
A5 営業利益が1兆円を超えていけないという話はないと思っている。ただ、消費者から見たときに、MNOはまだまだ料金が高いという声もある。先ほどもお伝えしたが、お客さま還元は競争の中で行うものであり、今後も実施しないといけないと思っている。スマートライフ領域については、セグメントの分け方も課題だと思っている。従来のスマートライフ事業がある程度の市場サイズに見合った顧客数を獲得したところで、現在は伸び悩んでいるのも事実。新しい分野にも先行投資をしているため、5Gなどとも組み合わせながらサービスとしての収入を伸ばしていきたい。
質問者5
Q1 来年以降も総務省による儲け過ぎ批判は継続するのではないかと考えている。5G時代となる今後10年において、通信事業の収益は横ばいで維持し、非通信事業で収益を確保するという認識でよいか。
開く
A1 横ばいになるかどうかは競争環境にもよる。総務省が5G時代における通信料金の水準までも視野に入れて議論しているかは定かではない。コンシューマ向けの5Gサービスでは高速・大容量が1つの特徴となり、ライブ映像やクラウド型ゲームなどを組み合わせながらアップセルを狙っていくことになる。それらのサービスにおける収入はお客さまが新サービスに満足いただくことで得られる対価になるため、それらの収益を拡大することに躊躇する必要はないと思っている。
一方で、スマートフォンは生活のインフラとして支払額がリーズナブルなサービスも求められていくので、低利用で使いやすい料金も当然考えていく。ユーザーが二極化するかどうかはまだ分からないが、それぞれのセグメントに応じた対応をしたい。
国内のスマートフォンユーザーは3キャリアだけでも1億数千万という規模であり、法人やIoTの市場とは異なり、コンシューマユーザーは今後そこまで増えない状況であるため、今後は自社だけでなく他社のサービスも組み合わせて提供したい。パートナーにとっては送客効果が期待できるため、お互いに成長することが可能だと考えている。そのための入り口となる金融・決済サービスでは他社に劣後しないよう先行投資を進めている。質問者6
Q1 向こう10年の競争力を左右するのは5Gということだが、10年後はどのような想像をすればよいのか。コンシューマからほとんどの収益を得ている状況は変わらないのか、もしくは法人からの収益がかなりのウエイトを占めるのか。
開く
A1 5Gの特徴である低遅延や多数端末接続といった特徴は、法人分野で大きな可能性があると考えている。海外キャリアもそこに注力しており、AIも組み合わせていくような戦略はドコモも同様である。オープンパートナープログラムで3,000社以上、ユースケースで200以上という取り組みをしているが、5Gは新しい組み合わせによってイノベーションが起こると思っている。従来のような通信とサービスを分ける形ではない、新しい収益モデルを増やしたい。
Q2 海外事業についての考え方はどうか。ドコモが5Gのネットワークを海外に展開する事は無いため、海外事業にはあまり期待はできないのか。
開く
A2 従来のようなキャリアへの投資は日本での知見やビジネスモデルが必ずしも活かせるわけではない為、考えていない。一方で、法人のお客さまについては、国内だけでビジネスをするとは限らず、海外に進出していくような企業をローミングも含めてケアしていきたいと考えている。IoTを考えると、回線そのものは現地のキャリアを使うかもしれないが、回線管理をプラットフォーム化するような相談は出てきており、こういった話は法人ビジネスの中では欠かせない。ドコモはグローバルなフットプリントや人材が取り立てて強いわけではないが、NTTグループの他の会社とは現地で昔から協力し合っている関係などもある。無理に海外事業をおし進めるつもりはないが、我々のリソースが生かせる領域には取り組んでいく。なお、海外キャリアには会員サービスという概念や仕組みがないが、dポイントの海外展開などにも取り組み始めている。
質問者7
Q1 マーケットのコンセンサスの数字は、ドコモが元の姿に戻ると見ていない。ドコモがコントロールできることとできないことは種々あるかと思うが、辻上副社長の目で見た時に、マーケットはドコモのどんな底力を見過ごしているのか教えてほしい。
開く
A1 まずは、ドコモが変化していく上で足りないリソース、人材を外部から獲得しないといけない。もしくは欠けているパーツを提携などで組みあわせていく。その上で、パートナーからのドコモにご期待いただいていることはいくつかあるが、1つは5G。エリア展開やNW構築力、企業の要望に応える姿勢は評価していただけると思う。研究開発部門の社員も実際にお客さまのところへ行き、迅速に応用開発を行う「トップガン」の取組みも期待していただいている。加えて、会員基盤を活用したデジタルマーケティングでも、パートナーと組むことで売上増やロイヤリティ向上につなげていきたい。5Gが始まれば、このあたりの可能性について少し具体的に見えてくると思っている。