説明会資料
アナリスト向け説明会 質疑応答(2019年度 第3四半期決算説明会)
実施日:2020年1月30日
内容につきましては、ご理解いただきやすいよう部分的に加筆・修正をしております。
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質問者1
Q1 債権流動化について、2019年12月末のdカード債権と端末割賦債権の残高を教えてほしい。また、来年度はどういう考えで流動化していくか教えてほしい。
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A1 2019年12月末のdカード債権残高が7,400億円、端末割賦債権残高もほぼ同じ7,400億円ある。全額が流動化できるわけではないが、少なくとも最大で1兆円程の流動化はできると思っている。来期については成長投資や自己株式の取得も使途の選択肢と思っている。自己株式の取得であれば、その分が資産と資本から消去されるので、資本コストも下がりROICも上がる。来期以降の自己株式取得の金額は現時点では白紙だが、今年度は1年かけて3,000億円の自己株買いを実施しており、当社の株式市場における一日の出来高の10%強を市場で買い続けている。そのため、公開買付けは別として市場買付で自己株買いを実施するには1年間で3,000億円程度が最大と考える。
Q2 4月からの携帯電話新規参入事業者への対策について伺いたい。ギガホ増量キャンペーンを継続することやdポイント進呈を増やす等あると思うが、具体的な対応策があれば教えてほしい。
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A2 楽天の新規参入を問われているかと思うが、まだ料金プラン等もオープンになっていないため、対応策について正面からお答えするのは難しい。しかしながら、我々は既に昨年の6月から新料金プランを導入し、年間申込目標1,700万に向けて着実に積み上げている。これをしっかりと訴求して進めていくことが一つ。様々なキャンペーンも実施しているが、これらも非常にお客さまからご好評いただいており、効果も出ている。これらをいつまで続けるかは、市場環境・競争環境がどうなっていくかを見極めながらの対応となる。さらに、単に料金や端末だけでキャリアを選ぶという時代ではなくなってきているため、ネットワークやアフターサービス等のモバイル競争力の源泉をしっかり磨いていくことに加え、日常的に使っていただける様々なサービス、特に金融・決済系のサービスを伸ばしていき、総合力で選んでいただけるようになりたいと考えている。
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質問者2
Q1 10月以降の販売レギュレーション変更について、結果としてドコモにとって有利だったのか不利だったのか、その考えと理由を教えてほしい。
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A1 10月に改正電気通信事業法が施行されたことにより、携帯3事業者の競争条件が同じになったと考えている。今まで販売店で実施されていたキャッシュバックを含めた販売攻勢が沈静化した。そのなかで他社に先駆けた6月提供開始の新料金プランやその後のAmazonプライムやディズニーデラックスに係るキャンペーン投入により、ハンドセット契約については第3四半期単独では、第2四半期と比べて大きく改善ができた。しかしながら10月以降の改正事業法影響が出てくるのはこれからだと思っている。解約金などキャリア間の流動がしやすくなるようスイッチングコストを下げる制度変更があったが、10月以降、お客さまが申込をされて新たなプランに移っていくことになる。ドコモでは、料金や端末だけでなくネットワークやサービスを組み合わせて日常的に便利にお得に使っていただくことで、顧客基盤の維持・拡大に取り組んでいきたいと思っている。
Q2 営業利益予想への進捗率が非常に良い決算のため、第4四半期の会社予測を変えないということであればどのように着地していくのか、一時的な費用支出やEBITDA予想などの側面からご解説いただきたい。
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A2 昨年度の第4四半期は1,100億円の営業利益であったため、今年もそこまでいくと利益が大きく上振れる。しかしながら前年からの減収要因は、今年度はギガホ・ギガライトが導入されたことで数百億円の減益となる。さらに施策として、顧客基盤強化のためのマイグレ促進、契約の純増をめざしたマイグレ向けの端末値引き、金融決済強化のためのポイント施策・プロモーションがあり、また経常的ではあるが5G関連の費用や減価償却の費用増等が営業利益へのマイナス要因と考えられる。期末予想の営業利益8,300億円の達成は確実であるが、それほど大きく上振れることなく、狙ったところに着地する予定。
Q3 ということは、主に営業施策として第4四半期はかなり費用を使っていくということでよいか。来年度はそれほど営業施策をしないタイミングが出てくると考えればよいか。
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A3 第4四半期だから施策をやり、第1四半期だから施策をやめるということはではないが、常に利益の水準を見て余裕があれば将来の増益につながる施策を実施している。この第4四半期は多少それを実施する余裕が大きい。端末購入にかかるダイレクト割は規制もあり強化できないので、マイグレーションとポイント施策等に力を入れてやっていきたい。
質問者3
Q1 新料金プランによるお客さま還元額について。当初計画では2,000億円、中間見直し計画ではそこから100億~200億円程度縮小するという話があった。
第3四半期が終わり、その見通しに変化はあったか。もし変わっているのであれば、どの要因が変わったのか。新料金値下げ自体の影響なのか月々サポートの影響なのか等、想定と変わった要素を教えてほしい。開く
A1 第3四半期までの月々サポート影響を含めたお客さま還元額の実績は900億円程度であり、これは当初の想定通りである。年間でも5月~6月に新料金プランへの移行が遅れた影響により、2,000億円はやや下回るが、それに近い数字にはなると見込んでいる。
新料金プランの影響を除いたモバイル通信サービス収入については、1GB追加購入、アップセル、音声収入など全体的に好調であり、計画よりも上振れて着地できる見込みである。若干の不安点は、旧料金プランの中ではアップセルが想定を少し上回っているものの、新料金プランの中ではアップセルが想定を少し下回っていることである。20年度はこの点が重要になってくるため、注視していきたい。Q2 既存の4G向け周波数帯を5Gへ転用可能になるという話が出ているが、ドコモの考えを教えてほしい。また、5Gの設備投資に対する税制優遇についても対応方針を教えてほしい。来年の春までに10,000局という計画を更に前倒す予定はあるのか。
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A2 既存周波数帯のNR化についての話があるのは認識している。ただし、通信事業者としては新しく割り当てられた周波数帯で5Gのネットワークを構築するということで免許を取得している。従って、まずは開設計画をきちんと履行していきたい。それを踏まえた上での既存周波数帯のNR化検討の話になるが、既存周波数帯については帯域幅があまり多くないため、5Gの特徴である高速・大容量、低遅延をお客さまが体感することができない。そういった有利誤認が起こらないようにすることが大前提だと考えている。優遇税制についてはまだ詳細が決まっていないと思うが、そういった優遇措置があれば最大限活用し、基地局数についても10,000局以上の構築をめざしたい。
質問者4
Q1 解約率が大幅に改善したが、どういったユーザー層の流出が止まったのか。既存プランのアップセルが順調というコメントとの因果関係や、解約率が改善したユーザー層、例えばハイエンド層なのかローエンド層なのかといった点も含め教えていただきたい。
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A1 10月以降は、改正電気通信事業法が施行されたことにより、携帯3事業者の競争条件が同じとなった。我々は先行して6月よりスマホおかえしプログラム含む分離プランを導入した一方、他社は9月末まで販売代理店等による端末キャッシュバック施策を含む様々な販売を行ってきた。そういった背景から第2四半期はかなり防戦に追われたが、第3四半期では法改正の効果もあり解約数が大きく改善した。
Q2 10月以降について、具体的にどの層に最も効果があったのか。ハイエンド層なのかローエンド層なのか。それによって今後のARPUにも影響があると思う。
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A2 競争対抗上あまり詳細にはお答えできないが、他社からの攻勢内容が「高価格端末を安く販売」というものであったため、そういった販売方法に反応する方の解約率がより減少したのではないかと考えている。
Q3 売れ筋の端末ラインナップは、ローエンド端末に移行しているのか。
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A3 端末販売の詳細な内訳についてはコメントを控えさせていただく。6月の分離プラン導入後、GalaxyA20等のスタンダード機種を充実させたことに加え、フィーチャーフォンからスマートフォンへのマイグレ促進などの効果もあり、全体に占めるスタンダードモデルの比率は上昇しているといえる。
質問者5
Q1 債権の流動化の規模は最大1兆円とのことであるが、実現の時間軸について具体的に教えてほしい。
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A1 まず今年の3月末に500億円規模の債権流動化を実施したいと考えている。金融機関や監査法人とは入念に打ち合わせを行っているが、実際に決算を締めて監査証明を受けてオフバランス処理ができるのかを確認したい。それが確認できれば割賦債権以外の流動化については資金需要次第であり、財務的な準備はできているという認識。株主還元について、増配や自己株式の取得については、通常通り早ければ本決算発表の折に申し上げたい。
Q2 設備投資の進捗について対前年比で10%程度下回っているが、残り2~3か月で計画を達成できるのか。部品不足等は大丈夫なのか。
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A2 設備投資については、今年度上期はG20の開催や天皇陛下の即位等の国家的行事のため工事ができない期間が多々あったため、もともと第4四半期に多く計画していた。したがって第4四半期の計画が履行できれば当初予定通り5,700億円の設備投資は実施可能と考えている。なお、台風の影響による部品不足や高力ボルト不足についても状況は順調に回復しており、達成は可能と考える。
Q3 5G関連の設備投資について、足元の状況はどうか。
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A3 5Gについても2020年春の商用開始に向け、開発・ネットワークの構築等順調に進捗している。
質問者6
Q1 ギガホが新料金プランに占める契約割合と、ギガホ増量キャンペーンによりそのトレンドに変化があれば教えてほしい。
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A1 ギガホ増量キャンペーンについてはまだ始まったばかりであり、今期末の見通しを申し上げることはできない。実際に60GBまでデータを利用するお客さまはそれほど多くはないが、データを十分に使える安心感でお客さまからは好評を得ている。他社に対する競争力も劣っていた部分が改善したと考えており、今後新規獲得の増やポートアウトの抑止に効果があると考えている。
なお、12月末までの状況についてはギガホの選択率が若干当初想定を下回っていたが、データ量の増量キャンペーンを受けて、ギガホ選択率は計画を上回る水準に上がってきている。今回の増量キャンペーンによる減収影響として、ギガホユーザーの1GBの追加データ購入の減少があるためバランスを見極めて今後の対策を考える必要はあるが、このままギガホ選択率が高く推移すれば全体の影響としてはポジティブなのではないかと考えている。質問者7
Q1 最近、競合各社ではペイメントを軸としてオープン化の加速やグルーピングがはっきりと起こってきていると思うが、その競合を含めた動きの中で、ドコモの経済圏やスマートライフの将来利益へどのように影響があるのか整理してご説明いただきたい。
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A1 会員基盤の強化という点でdポイント会員を増やしている。ここがマネタイズできる要因として、まずは決済で手数料をいただく部分と、広告収入があると思う。また、トランザクションのデータ解析をして、ビジネスパートナーの商流を拡大することで、マーケティングの部分で収入をいただく。さらにdポイントについては、我々自身も費用を出していろいろなキャンペーンで使っているが、加盟店にもdポイントをお買い上げいただいており、ここも利益に効いている。この通り、決済、広告収入、送客CRM、dポイント外販の4つで将来の収入拡大につなげていきたい。現在何をやっているかというと、トランザクションを上げるための利用者拡大のため、dポイントクラブの会員数拡大とd払いのユーザー拡大に努めている。ポイント創出という点では、dカード、特にdカードゴールドは大きな効果がある。dカードゴールドは携帯の解約防止という点でも囲い込みには効いている。また、基本的に会員基盤を今後もしっかり増やしてく中で、今回リクルートと提携を結んだが、これからもこのような提携先を増やしていきたい。dポイント会員はかなり速いペースで増えていて、第3四半期末では7,300万人を超えた。時期は言えないが、一億人規模をめざして早期に拡大していきたいと思っている。このようにユーザーを増やしつつ、お客さまには便益・サービスを提供しながら、あわせてビジネスパートナーを増やし、商流も拡大しながらエコシステムを大きくし、そのなかで我々も利益を拡大していく。大きな戦略はそのように考えている。
Q2 では、この3か月くらいでおこっているペイメントを軸とした再編は、ドコモにはそれほどダイレクトには影響せず、今まで通りの戦略を続けていけばよいということか。
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A2 基本的にはその通り。