2018年度 総務省「5G総合実証試験」の成果について
~5Gを活用したSL大樹への超高精細映像伝送に関する実証試験(1-1-①)~
取組み概要
ドコモは、総務省の「第5世代移動通信方式の実現による新たな市場の創出に向けた総合的な実証試験」の取り組みにおいて、2018年10月から2019年3月の期間に、26の自治体、企業、大学などの各パートナーと協力し、5Gを活用した13の実証試験を実施しました。
ドコモが実施主体となり総務省より請け負った試験グループGⅠ「屋外環境において平均4-8Gbpsの超高速通信を可能とする第5世代移動通信システムの技術的条件等に関する調査検討」では、4.5GHz帯および28GHz帯の5G無線装置を用いた「エンターテインメント」「スマートシティ/スマートエリア」「医療」「オフィス/ワークプレイス」の4つの応用分野におけるサービス・アプリケーションの実証試験を全国各地で実施しました。
また、NTTコミュニケーションズが実施主体となった試験グループGⅡ「高速移動時において平均1Gbpsの高速通信を可能とする第5世代移動通信システムの技術的条件等に関する調査検討」にも参画し、28GHz帯の5G無線装置を用いて、電車や高速バスなどを想定した時速60~120㎞で移動する高速移動体に対する無線アクセスに関する試験を行い、「エンターテイメント」「交通」の2つの応用分野における実証試験に成功しました。

全国各地で実施された5G総合実証試験
実証試験概要(1-1-①)
2018年11月12日(月)及び16日(金)に栃木県日光市において、東武鉄道の協力のもと、SL大樹の営業列車の一部を利用して、観光地における新たな観光コンテンツの創出をめざした実証試験を実施しました。 日本電気の協力により、東武鬼怒川線鬼怒川橋梁上に4.5GHz帯および28GHz帯の両周波数帯の5G通信エリアを構築し、以下の超高精細映像伝送試験を実施しました。

試験風景
シャープの協力では、 8Kカムコーダで撮影したSLのライブ映像を5Gを用いて客車に伝送することに成功し、SLの走行風景を車内から楽しむ新しい観光体験を実現しました。この8K映像伝送には平均約80Mbpsのデータレートが必要となりますが、5Gの超高速通信により安定した映像伝送を実現しました。SL客車内では最新鋭の60インチ8Kディスプレイを設置し、5G通信エリアにおいて途切れることなく受信した8Kライブ映像を表示することができました。

SLの勇姿を捉えた8Kライブ映像を5Gを介してSL車内へ伝送し表示
また、インフォシティの協力では、4K映像コンテンツ配信システムを用いて、多数の4K映像ファイルを5Gをバックホールとして用いて客車内へ一括伝送し、複数のスマートフォンやノートPCに配信する試験にも成功しました。SL客車内に設置したキャッシュサーバにおいて5Gで伝送された映像コンテンツを蓄積し、無線LANにより複数の携帯端末に配信しました。4.5GHz帯では橋梁付近を通過する47秒の間に、最大1.3GBの映像コンテンツ(30秒の4K映像クリップ11個分相当)を、28GHz帯では同じく58秒の間に、最大1.9GBの映像コンテンツ(30秒の4K映像クリップ17個分相当)を伝送し、車両内で配信できることを確認しました。

4K映像コンテンツ配信システムを用いたコンテンツ一括伝送の様子
日本電気の提供する5G基地局は、ビームフォーミング機能およびビーム追従機能を備えており、走行中の「SL大樹」に対する5G伝送において、4.5GHz帯では600Mbps超、28GHz帯では2Gbps超の最大スループットを観測しました。4.5GHz帯では1局の基地局で橋梁付近全体を5G通信エリア化することができました。一方、28GHz帯では、コアネットワーク装置を介した複数基地局の連携により、3局間のハンドオーバに成功しました。
実証試験のシステム構成

試験構成

試験に使用した5G装置
実証実験装置・機器の主な仕様
