2.2 5Gのサービスと要求条件〜5Gの要求条件

「ドコモの5Gに向けた取組み —2020年での5Gサービス実現に向けて—」目次

5Gでは、将来期待されるさまざまなサービスの可能性に対応するため、これまでの移動通信システムに対する普遍的な要求条件に加え、IoTなど近年のトレンドに対応する新しい要求条件も考慮する必要があり、図2に示すような幅広いものが想定されている。

図2 5Gの要求条件

図2 5Gの要求条件

  1. 大容量化
    近年、移動通信のトラフィック量は爆発的に増加しており、2020年代には、2010年比で1,000倍以上に達するとも予測されている。従って、そのような爆発的な増加に対処するためには、システム容量(単位面積当りでの通信速度の総量)の飛躍的な大容量化を実現することが必須であり、これは5Gにおける最も基本的な要求条件であると考えられる。
  2. 高速通信
    将来のリッチコンテンツやクラウドサービスなどの普及を考慮すると、データ通信速度の観点からも5Gは飛躍的な高速化を実現する必要がある。特に、時間帯や場所によらず、サービス提供に必要な通信品質を常に満たすことが重要である。具体的には、LTEと比較して100倍程度のユーザ体感速度(数100Mbps〜1Gbps程度)を移動環境も含めたあらゆる環境で提供し、良好な無線環境でのピーク伝送速度では10Gbps以上の実現が目標である。
  3. 低遅延化・高信頼性
    触覚通信やARなど、従来と異なるレベルの低遅延が要求される新サービスの登場が、5G時代には期待されている。このため具体的には、無線区間での通信遅延をLTEの1/5となる1ms以下にまで低減することが5Gの要求条件である。また、自動運転などのように安全、確実であることが必要なサービスでは、低遅延に加えて高信頼性も要求される。
  4. 超多数端末の同時接続
    IoTによって無線ネットワークに常時接続する端末数が急激に増加することが予想されている。また、スタジアムやイベント会場のように多くのユーザが密集した環境や、災害時のように多数の同時アクセスが想定される状況など、さまざまなシナリオで超多数端末の同時接続をサポートすることが必要とされる。
  5. 低コスト化・省電力化
    より良いサービスをユーザに提供するため、5Gでは高い性能目標を掲げている一方で、ユーザに対して適切なコストでサービスを提供する必要がある。このため、ユーザの通信量当りのネットワークコストを大幅に低減することが必要である。また、自然環境に優しいネットワークを提供するために、これらの高い性能を可能な限り省電力で提供していくことが要求される。さらに、ペットに装着する小型のセンサのようなIoT端末の普及を考慮すると、端末の観点からも低コスト化およびバッテリの長寿命化は重要であり、無線ネットワークがこれらをサポートすることが要求される。

以上のような5Gの要求条件は、ドコモが参加している欧州プロジェクトのMETIS(Mobile and wireless communications Enablers for Twenty-twenty (2020) Information Society)※7や、世界の主要通信事業者のアライアンスであるNGMN(Next Generation Mobile Networks)※8においても同様に検討されている[1] [2]。

  1. METIS:5Gに関するEUの研究プロジェクトで、期間は2012年11月〜2015年4月。通信ベンダ、通信事業者、大学などが参加。
  2. NGMN:モバイルブロードバンドのさらなる発展をめざして要求条件や運用シナリオなどを検討し、産業界に貢献することを目的とした世界主要オペレータが主導する団体。

3. ドコモとしての5Gの定義とコンセプト

本記事は、テクニカル・ジャーナルVol.23 No.4に、掲載されています。

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