4.1 5Gの標準化戦略〜段階的な標準化アプローチ

「ドコモの5Gに向けた取組み —2020年での5Gサービス実現に向けて—」目次

図5に示すように、ドコモでは2020年での5Gの初期導入をめざしているが、それ以降においても5G+として継続的に進化していくものと考えられる。2020年の5Gでは、既存周波数帯、それまでに利用可能となる新周波数帯、およびアンライセンスバンドが適用周波数帯の候補として考えられる。一方、その先の5G+においては、ITU-R(International Telecommunication Union-Radiocommunication sector)※13におけるWRC(World Radiocommunication Conference)※14-19の議論結果などに応じて新周波数帯が追加され、それに対応して無線やネットワークに適用する技術も拡張されていくことが想定される。

図5 5Gの初期導入と継続的な進化

図5 5Gの初期導入と継続的な進化

  1. 階的な標準化
    New RATの導入を2020年に実現するためには、3GPPにおける最初の規格の標準化を2018年末頃までに完了する必要があると考えられる。一方、ITU-Rの5G(IMT-2020)の要求条件を満たす無線インタフェース規格の標準化は、ITU-Rのスケジュールに沿って3GPPでは2019年末頃までに完了しておけばよい。従って、段階的な標準化(前者が5G、後者が5G+に相当)が有効である。このような段階的なNew RATの標準化において、限られた時間で2020年の導入に向けた最初の規格を完成させるためには、最初から多くの機能を盛り込むことよりも、将来的な拡張性(フォワードコンパチビリティ)を重視した基礎設計をしっかり行うことを優先する必要がある。図6に示すように、5GはeLTEとNew RATの組合せによって構成されるとともに、5G+は5Gとの互換性を保持しながら連続的に進化する。これは4GにおけるLTEとLTE-Advancedの互換性の関係と同様である。

    図6 4Gと5Gおよび5G+との関係

    図6 4Gと5Gおよび5G+との関係

  2. 5G、5G+におけるeLTEとNew RATの役割
    前述したように、5GではMBBの拡張とIoTの双方がサービスのトレンドとして考えられている。また、5Gは大容量化が必要な都市部などから順次エリアを拡大していく展開となることが想定される。従って、2020年の初期導入の段階では、図7に示すように、New RATは都市部などで要求される高速・大容量といったMBBの拡張を優先的にサポートし、それを補う形で、面的なカバレッジを有するeLTEがさまざまなIoTに関する機能、たとえば低コストなM2M端末をサポートするための機能や、高信頼性が要求されるM2M通信などの機能をサポートする。一方、将来的な5G+においては、New RATにも多くの機能が盛り込まれ、5G時代の未知のサービスを含むさまざまなサービスやシナリオを順次サポートしていくことが予想される。

    図7 eLTEとNew RATによる5Gサービスのサポート

    図7 eLTEとNew RATによる5Gサービスのサポート

    すなわち、2020年における5GのサービスはeLTEとNew RATの技術の組合せによって実現されるとドコモは考えている。図8に、2020年の初期導入をターゲットとした無線アクセス技術の候補を示す。これら技術の詳細は本特集記事にて解説する。

    図8 2020年の5Gにおける候補技術

    図8 2020年の5Gにおける候補技術

  1. ITU-R:ITUの無線通信部門で、無線通信に関する国際的な管理調整業務のほかに、映像の主観品質評価にかかわる方法論の勧告化を行っている。
  2. WRC:各周波数帯の利用方法、衛星軌道の利用方法、無線局の運用に関する各種規定、技術基準などをはじめとする国際的な電波秩序を規律する無線通信規則の改正を行うための会議で、各国主管庁およびITUに登録している事業者などの関係団体が出席し、通常3〜4年ごとに開催される。

4.2 5Gの標準化戦略〜3GPP Workshop on 5G

本記事は、テクニカル・ジャーナルVol.23 No.4に、掲載されています。

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