3.1 5G無線アクセス収容方式

「5G時代に向けた将来コアネットワーク」目次

  1. LTE/LTE-AdvancedとNew RATの同時接続
    5G無線アクセスは、既存周波数帯に展開されているLTE/LTE-Advancedシステムの継続的発展と、これまでよりも高い周波数帯を用いて広帯域化をサポートすることが可能な新たなRAT(Radio Access Technology)※9との組合せによって構成されるものとドコモでは考えている[1]

    2015年9月に開催された3GPP TSG RAN(3rd Generation Partnership Project Technical Specification Group Radio Access Network)の5Gワークショップにおいても、5G無線アクセスでは無線アクセスネットワーク(RAN)※10と端末間でキャリアアグリゲーション(CA:Carrier Aggregation)※11やDC(Dual Connectivity)※12といった技術を用いて、LTE/LTE-Advancedや新たなRAT(以下、New RAT)に同時接続することをドコモは提案している(図4)。

    図4 ドコモの提案によるCA/DCを用いた接続案

    図4 ドコモの提案によるCA/DCを用いた接続案

    CAはLTE-Advancedの主要技術として3GPP Release 10にて仕様化され、DCはLTE/LTE-Advancedのさらなる発展技術としてRelease 12で仕様化されているが、どちらも複数の周波数を同時に用いることで広帯域伝送を可能とする技術である[5] [6]

    5G無線アクセスをLTE/LTE-AdvancedとNew RATの同時接続で実現することにより、エリア品質(カバレッジとモビリティ含む接続品質)は拡充が進み、安定化しているLTE/LTE-Advancedネットワークのサービスレベルを引き継いだまま、ユーザデータの伝送品質(データ伝送の速度/遅延)などについてはNew RAT導入により改善が見込めるため、5G無線アクセスを円滑に導入することが期待できる。

    5Gワークショップでは、5G無線アクセスにおいてLTE/LTE-AdvancedとNew RATとが密接に連携することがドコモ以外の多くのベンダやオペレータからも提案されたが、詳細は2016年3月から3GPP RAN Working Groupsによる5G技術検討にて議論される予定である。

  2. CNおよびRAN-CN間インタフェース

    1. 既存EPCとS1インタフェースの流用

      5GのRANを収容するコアネットワーク(CN:Core Network)※13インタフェースとして、eUTRAN(LTE/LTE-AdvancedのRAN)を収容する既存CNであるEPC、およびRAN-CN間のインタフェースとして、eUTRAN-EPC間のS1インタフェース※14を流用する構成が考えられる(図4)。

      もともとeUTRANとEPCによるネットワークはモバイルブロードバンド(MBB:Mobile Broad Band)のサポートを念頭に設計されており、EPCおよびS1インタフェースの流用は5Gのユースケースの1つでもあるeMBB(enhanced MBB)の実現に適している。また、既存のEPCとS1インタフェースを流用することで5G無線アクセス導入時における新規設計事項や試験項数が膨大になることを回避できるため、5G無線アクセスの導入ハードルを下げる効果が期待できる。

    2. システムアーキテクチャの再考

      5GではeMBB以外にもIoTや低遅延・高信頼性通信などの多様なユースケースへの対応と各種運用要件を満たすことが求められており、既存のRAN-CN構成が常に最適とは限らない。そのため、RAN-CN間の機能分担変更、CN側の能力拡張、およびそれらに伴うRAN-CN間のインタフェースの拡張などについても検討すべきであり、5Gワークショップにおいてもシステムアーキテクチャ全体について再考する必要性が認められた。具体的には後述する3GPP SA(Service and System Aspects)2におけるアーキテクチャ検討と連携した、RAN-CN間の機能分担・インタフェースの修正・拡張の是非についての議論が想定される。

      5Gワークショップでは3GPP RANにおける5G無線アクセスの仕様化を、2020年頃のマーケット要望に応えるためのサブセットを提供するPhase 1と、5Gのすべてのユースケースと要求条件に応えるためのPhase 2の2段階に分けて行うことがコンセンサスとしてまとめられたが、システムアーキテクチャ検討においてもマーケット要望への柔軟な対応とスムーズなマイグレーションを意識すべきと考える。

  1. RAT:LTE、3G、GSMなどの無線アクセス技術のこと。
  2. 無線アクセスネットワーク(RAN):CNと端末の間に位置する、無線基地局および無線回線制御装置などで構成されるネットワーク。
  3. キャリアアグリゲーション(CA):複数のキャリアを用いて同時に送受信することにより既存のLTEとのbackward compatibilityを保ちながら帯域拡大により高速伝送を実現する技術。LTE-Advancedで使用されている技術の1つ。
  4. DC:1つの端末が複数の基地局に異なる周波数帯を用いて接続する技術。
  5. コアネットワーク(CN):交換機、加入者情報管理装置などで構成されるネットワーク。移動端末は無線アクセスネットワークを経由してコアネットワークとの通信を行う。
  6. S1インタフェース:MMEやS-GWとeNBとをつなぐインタフェース。

3.2 DCNを活用したネットワークスライス選択技術

本記事は、テクニカル・ジャーナルVol.23 No.4(Jan.2016)に掲載されています。

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