3.3 仮想化によるスライス制御技術

「5G時代に向けた将来コアネットワーク」目次

図6に、NFVおよびSDNを活用したスライス制御アーキテクチャを示す。本アーキテクチャは、物理/仮想資源層、仮想ネットワーク層、サービスインスタンス層の3層からなる。

図6 NFV/SDNを活用したスライス制御アーキテクチャ

図6 NFV/SDNを活用したスライス制御アーキテクチャ

  1. 物理/仮想資源層
    最下層の仮想資源層は、物理サーバやトランスポートスイッチなどのネットワークを構成する物理/仮想資源からなり、これらはネットワーク全体における共有資源としておよびSDN-C(SDN Controller)を含むVIM(Virtualized Infrastructure Manager)※23によって管理される。これらの資源の管理はETSI NFV MANO(European Telecommunications Standards Institute Network Functions Virtualisation Management And Orchestration)※24 [7]において検討されている管理手法を用いることができる。資源の集合は上位の仮想ネットワーク層で使用される資源スライスとして切り出される。

  2. 仮想ネットワーク層
    上位の仮想ネットワーク層では、切り出された物理/仮想資源上に、サービスを提供するために必要な通信機能やサービスアプリケーション機能、データを転送するための転送プロトコルなどのネットワーク機能セットを配置し、ネットワークスライスを構成する。この機能セットの配置、管理はネットワークスライスごとにVNFM(Virtual Network Function Manager)※25、NFVO(NFV Orchestrator)が行う。

  3. サービスインスタンス層
    最上位層のサービスインスタンス層では、ネットワークスライス上で提供されるMBBサービスや電力管理、ITS(Intelligent Transport System)※26や遠隔手術などのエンドユーザに提供されるサービスがそれぞれサービスインスタンスとして管理される。各サービスインスタンスのサービス要求条件はOSS(Operation Support System)※27/BSS(Business Support System)※28により常に満たされているかどうか監視され、保証される。
    ネットワークスライス上で実現されるサービスは、前述したように従来のフィーチャーフォン、スマートフォンで提供されるサービスに限らず、IoTサービスやさまざまな産業、社会インフラサービスを含み、そのために利用される無線技術やネットワークの仕組みについては、それぞれのネットワークスライスを自由な機能の組合せにより構成することで実現される。
    サービスインスタンスをどのネットワークスライスに所属させるべきかの判断は、配置初期にOSS/BSSまたはNFVOにより行われるとともに、サービスの要求量やネットワークスライスの利用状況により動的にメンテナンスされる。このように、将来のCNでは、柔軟な資源管理技術に基づき個々のサービスがサービスインスタンスとして管理され、サービス要求条件を満たしつつ経済的に提供されることをめざしている。

  1. VIM:物理マシン・仮想マシンをネットワーク資源として管理するシステム。
  2. ETSI NFV MANO:欧州電気通信標準化機構によって定められた仮想資源マネジメント機能の総称。
  3. VNFM:仮想資源上の機能管理を行うシステム。
  4. ITS:通信技術を用いて、車両管理や道路交通などを快適にする交通システム全体の総称。
  5. OSS:事業者の運用支援システム。通信事業者の場合、提供しているサービスを運用するために、ネットワークやシステムの「障害管理」「構成管理」「課金管理」「性能管理」「セキュリティ管理」のすべて、もしくは一部を行う。
  6. BSS:サービス事業者の運用支援システム。

4. 将来ネットワークの標準化動向

本記事は、テクニカル・ジャーナルVol.23 No.4(Jan.2016)に掲載されています。

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