4.2 現在の検討事項

「5G時代に向けた将来コアネットワーク」目次

以下に現在の検討状況を示す。

  1. ユースケース
    3GPPでは、地域標準化団体やNGMNなど業界団体の先行検討結果を参照しながら適切なものを取り込む、という手順で検討を進めている。最終的な仕様化要否・優先度付けは今後の議論対象となっているが、現時点では以下のユースケースが挙げられている。

    1. ブロードバンドアクセス(没入型高精細3Dビデオ、ホログラム、仮想現実サービスなど)
    2. IoT(スマートグリッド、スマートシティ、環境制御、医療・健康関連、自動車関連(V2X)ウェアラブル端末など)
    3. 超低遅延リアルタイム通信(拡張現実※30、触覚通信など)
    4. 高信頼性通信(産業・工場自動化、協調ロボット制御など)
    5. ライフラインとしての通信(自然災害対応、警察消防用通信、放送類似通信)

    なお、上記サービスの提供形態として、移動通信事業者が直接ユーザにサービスを提供する場合と、移動通信事業者がサービス提供事業者の要求に応じてネットワークスライスを作成し、当該事業者がユーザにサービスを提供する場合の2通りが考えられている。

  2. サービス要求条件・運用要求条件
    上記のユースケースから今後導出するが、現時点で考えられている要求条件の一部は以下の通りである。

    1. ネットワークスライスを活用できること
    2. ネットワーク資源の動的移動が可能であること、すなわちエラスティックコア※31概念の実現
    3. ネットワークエッジでサービスを実現できること
    4. 5G無線アクセスと4G無線アクセスは同時利用可能であり、サービスやアプリケーションにより選択的に利用できること
    5. 5G無線アクセスに関し、CSFB(Circuit Switched FallBack)※32、SRVCC(Single Radio Voice Call Continuity)※33、3Gとのハンドオーバを要請しない。
  3. アーキテクチャ
    一般的には、SA1の検討後にSA2検討を行うが、ここではSA1とSA2は緩やかに連携しながら平行して検討を進めていく。SA2ですでに検討中であり、将来も有効と考えられているアーキテクチャ拡張の方向性は以下の通りである。

    1. CN内でのC/U-Plane分離。U-Plane装置を安価なSDNスイッチに置き換えることによるコスト削減
    2. スモールデータの転送。IoTの少量データを効率的に転送(一部はRelease 13で実現)

    今後、各社が異なる立場を取ると思われる論点は以下の通りである。

    • RAN側とのインタフェースに関し、既存S1インタフェースを用いて5G無線アクセスを収容する手法、あるいは新規のインタフェースを作成して5G無線アクセスを収容し、加えて既存のLTE/LTE-AdvancedのCN向けのインタフェースをそちらに合わせる手法
    • 固定網やWi-Fiアクセスの移動通信ネットワークへの統合の緊密さの程度
  1. 拡張現実:現実世界を写した映像に,電子的な情報を実際にそこにあるかのように重ねて,ユーザに提示する技術.
  2. エラスティックコア:ステート情報を分離することで,災害等による瞬断に耐えうるネットワークアーキテクチャ.
  3. CSFB:LTE在圏中に音声などの回線交換サービスの発着信があった場合,W-CDMA/GSMなどのCS domainのある無線アクセス方式に切り替える手順.
  4. SRVCC:LTEに在圏し,通話している際にW-CDMA/GSMなどのCS domainにシームレスにハンドオーバする技術.

5. あとがき

本記事は、テクニカル・ジャーナルVol.23 No.4(Jan.2016)に掲載されています。

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