2. 5Gコアネットワーク技術概要
2.1 端末/RAN/コアネットワークの機能分担

「5Gコアネットワーク標準化動向」目次

5Gでは、これまでと同様に端末、RAN(Radio Access Network)※3、コアネットワークと分かれる構成とその機能分担は変わらないが、コアネットワーク内のノード構成が変更される。5Gにおけるコアネットワークアーキテクチャを図1に示す。
まず、U-plane※4機能(UPF:User Plane Function)とC-plane※5機能群が明確に分離されている。これは、EPC(Evolved Packet Core)※6仕様の拡充としてCUPS(Control and User Plane Separation)の項目名で検討されたC/U分離のコンセプトが引き継がれている。

図1 5Gにおけるコアネットワークアーキテクチャ

図1 5Gにおけるコアネットワークアーキテクチャ

  1. UPFの特徴
    5GコアネットワークにおけるUPFは、CUPSにおけるS-GW(Serving GateWay)-U※7、P-GW(Packet data network GateWay)-U※8と同様の、U-plane処理に特化した機能を提供する。

  2. C-plane機能群の特徴

    1. AMFとSMFの分離

      C-plane機能群は、EPCにおけるMME(Mobility Management Entity)※9、S-GW-C※10、P-GW-C※11の機能分担を再整理し、モビリティ管理を司るAMF(Access and Mobility management Function)とセッション※12管理を司るSMF(Session Management Function)に明確に分離した。5Gコアネットワークでは、端末にかかわる管理は一カ所で行い、トラフィックは複数の個別ネットワークスライス※13で扱う、との考えがあるため、従来のEPCのMMEのようにモビリティ管理に加えセッション管理の一部も行うノードは不都合であった。そこでモビリティ管理を一元的に配置し、セッション管理をネットワークスライスごとに配置できるよう、AMFとSMFに機能が再配分された。

    2. 新たなノードの規定

      EPCアーキテクチャにおけるHSS(Home Subscriber Server)※14と同等のUDM(Unified Data Management)では、加入者情報を保持・管理するUDR(User Data Repository)と加入者情報を処理するフロントエンド部を分離する、UDC(User Data Convergence)のコンセプトが導入された。加えてフロントエンド部には、認証処理機能に特化したAUSF(AUthentication Server Function)とEPCにおけるPCRF(Policy and Charging Rule control Function)※15に該当するPCF(Policy Control function)が新たに規定された。さらに、EPCにおけるSCEF(Service Capability Exposure Function)※16と同等の機能を持つNEF(Network Exposure Function)や、アプリケーションサーバとしてAF(Application Function)も規定された。

    なお、図には表れていないが、多様なアクセスの収容をめざし、NG(Next Generation)-RAN※17以外のAN(Access Network)の接続も考慮される。

  1. RAN:コアネットワークと移動端末の間に位置する、無線基地局および無線回線制御装置などで構成されるネットワーク。
  2. U-plane:ユーザプレーン。ユーザデータの送受信処理を指す。
  3. C-plane:制御プレーン。通信の確立などをするためにやり取りされる、一連の制御処理を指す。
  4. EPC:LTEおよび他のアクセス技術向けに3GPPで規定された、IPベースのコアネットワーク。
  5. S-GW-U:3GPPアクセスシステムを収容する在圏パケットゲートウェイのうち、U-Plane機能を切り出したもの。
  6. P-GW-U:PDNとの接続点であり、IPアドレスの割当てや、S-GWへのパケット転送などを行うゲートウェイのうち、U-Plane機能を切り出したもの。
  7. MME:基地局(eNodeB)を収容し、モビリティ制御などを提供する論理ノード。
  8. S-GW-C:3GPPアクセスシステムを収容する在圏パケットゲートウェイのうち、C-Plane機能を切り出したもの。
  9. P-GW-C:PDNとの接続点であり、IPアドレスの割当てや、S-GWへのパケット転送などを行うゲートウェイのうち、C-Plane機能を切り出したもの。
  10. セッション:データのやり取りを行うための仮想的な通信路、またはそのやり取りそのもの。
  11. ネットワークスライス:5G時代の次世代ネットワークの実現形態の1つ。ユースケースやビジネスモデルなどのサービス単位でコアネットワーク分割して最適化するアーキテクチャ。
  12. HSS:3GPP移動通信ネットワークにおける加入者情報データベースであり、認証情報および在圏情報の管理を行う。
  13. PCRF:ユーザデータ転送のQoSおよび課金のための制御を行うノード。
  14. SCEF:3GPP標準のモバイルネットワーク内に設置された、3GPPサービスのいくつかを3rdパーティーのアプリケーションプロバイダに提供するための標準インタフェースを持ち合わせる論理ノード。
  15. NG-RAN:5Gコアネットワークに接続されるRAN。無線アクセス技術としてNR、E-UTRAを用いる。

2.2 サービスベースアーキテクチャ

本記事は、テクニカル・ジャーナルVol.25 No.3(Oct.2017)に掲載されています。

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