受賞の概要

NTTドコモ(以下ドコモ)無線アクセス開発部の大野 公士氏、同研究開発推進部の東 明洋氏らが発明した特許、「移動通信システムにおける信号の伝送方法,送信機,受信機および拡散符号同期法」(特許第3214860号)が、2010年6月に平成22年度全国発明表彰特別賞「内閣総理大臣発明賞」に選考されました。また、7月30日にホテルオークラにおいて社団法人発明協会総裁常陸宮同妃両殿下ご臨席の下に行われた表彰式において同賞を受賞するとともに、ドコモ代表取締役社長 やまだ りゅうじ氏が「発明実施功績賞」を受賞しました。

本発明表彰は、日本の科学技術の向上と産業の発展に寄与することを目的として大正8年に始まり、多大の功績をあげた発明・創作を表彰するものです。特別賞「内閣総理大臣発明賞」は、恩賜発明賞に次ぐ特に優秀と認められる発明等に対して授与されます。

表彰を受けた特許は、1997年ドコモがW-CDMA方式の研究開発を行う中で発明したものであり、セル間非同期システムにおける高速同期確立法に関するものです。発明に至った経緯は、次のとおりです。

(1)非同期システムの課題

W-CDMA方式は、基地局間の同期が不要で、屋外のみならず建物内や地下街などへのサービスエリア拡大が容易なシステムです。しかし、非同期のCDMAシステムにおいて、各基地局を拡散符号により識別するためには、周期の長い拡散符号(ロングコード)とチャネルを識別するための周期の短い拡散符号(ショートコード)を使用して二重に拡散する必要がありますが、ロングコードの同期には長い時間が必要であるという欠点がありました。

(2)高速同期方法の実現(図1図2参照)

各基地局からの信号はロングコードおよびショートコードにより拡散されていますが、同期用のチャネルの一部に、周期の短いショートコードのみの拡散とするマスクシンボルを周期的に挿入することにより、同期に必要な時間が短いショートコードによる同期を可能としました。また、判別しなければならないロングコードの数を少数に限定するために、マスクシンボル部にロングコードのグループ識別情報を多重することにより、種類が多いロングコードの判別を、さらに高速化することができました。

本発明をW-CDMA方式に適用することにより、基地局からの信号を短時間で受信可能となるため、携帯電話機の電源を入れてから待受け状態(発信・着信が行える状態)になるまでの所要時間、ハンドオーバーのための周辺基地局の検出時間などを大幅に短縮することができました。

本発明は、日本のみならず米国、欧州各国、中国や韓国などの諸外国でも特許として登録され、また本発明の技術はITUの国際標準規格にも採用されています。

図1 基地局側の二重拡散符号の工夫


図2 携帯局側の同期確立イメージ

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