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さらなるビットコストの低減に向けたSuper 3Gの開発〜4.Super 3G試作装置および実験結果

今回開発したSuper 3G試作装置は3GPP標準仕様に準拠したものであり、3章記載の機能が盛り込まれている。本章では、Super 3G試作装置の概要および無線伝送実験結果について解説する。

4.1 試作装置構成

室内試作装置構成を写真1に示す。eNB、UE、コアネットワークエミュレータから構成され、無線伝搬路を模擬するためにフェージングシミュレータを適用した。コアネットワークエミュレータから転送されてきたデータは、eNBにおいて無線制御用のヘッダなどと多重された後、コードワード(Codeword注意1)ごとの系列に直並列変換される。ここで、コードワードはH-ARQ(Hybrid Automatic Repeat and reQuest)注意2の再送単位のブロックであり、最大2である。その後、コードワードごとに、直並列変換後の情報ビット系列をチャネル符号化し、データ変調マッピングを行い、プリコーディング行列を乗積して各アンテナの送信信号を生成する。チャネル符号化としては、拘束長4、符号化率R=0.16〜0.89のターボ符号を適用し、データ変調にはQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)および64QAMを適用した。ここで最大送信アンテナブランチ数は4である。

写真1 試作装置構成

UE受信では、4受信アンテナブランチで受信した受信信号をAGC(Automatic Gain Control)増幅器による線形増幅および直交検波後、I/Qチャネルの信号を受信デジタル信号へとA/D変換を行う。受信OFDMシンボルタイミングは、FFT前の受信信号とフレーム内に多重した直交参照信号の相互相関を基に検出、更新する。検出した受信OFDMシンボルタイミングを基に、受信デジタル信号のガード区間を除去し、FFTにより各サブキャリアの信号成分に分離する。参照信号を用いて各送受信アンテナブランチ間のチャネル推定値を求め、チャネル推定値を用いて信号分離部においてQRM-MLD(Maximum Likelihood Detection with QR decomposition and M-algorithm)with ASESS(Adaptive SElection of Surviving Symbol replica)法[8]を用いて信号検出を行い、対数尤度比(LLR:Log Likelihood Ratio)計算部において、軟判定ターボ復号のためのビットごとのLLRを計算する。最後に、ビットごとのLLRをターボ復号器(Max-Log-MAP 復号)に入力し、各送信アンテナブランチに対応する復号データを並直列変換して、送信信号系列を再生する。

  • 注意1 Codeword:誤り訂正符号化の単位であり、MIMO 多重伝送適用時、1または複数Codewordの伝送を行う。
  • 注意2 H-ARQ:誤り訂正符号化(FEC:Forward Error Correction)と自動再送要求(ARQ:Automatic Repeat reQuest)を組み合わせたパケット再送制御技術。

本記事は、テクニカル・ジャーナルVol.16 No.2に、掲載されています。