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3GPP LTE/SAE標準仕様完成における活動と貢献〜2.ドコモの考えるLTE/SAEへのネットワーク進化

現在ドコモがサービスを提供しているFOMAハイスピードの最大データ通信速度は7.2Mbit/sであるが、技術仕様上はHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)/HSUPA(High Speed Uplink Packet Access)を用いて、 最大下り14.4Mbit/s、上り5.7Mbit/sの伝送が可能である。しかしながら、データトラフィック需要の増大、コンテンツの急速な大容量化により、伝送速度や容量の不足が早期に顕在化することは明らかであり、ビットコストの低減が重要課題となっていた。加えて、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)などのデータ伝送を高速に行い、ユーザがストレスなく通信を行うためには、接続遅延、伝送遅延の低減も重要な課題である。また、システム導入にあたり、設備投資や運用コストが安価で適正なものとするために、無線ネットワークと移動端末にかかわるアーキテクチャの単純化も求められていた。

コアネットワークにおいては、今後のサービスのトレンドが従量制から定額制に変わっていくこと、今後のサービス発展のため、サービスの高度化と付加価値化を容易とする仕組みを備えることに加えて、LTE のような新しい無線方式を導入する際に、経済的なネットワークマイグレーションを可能とすることが必要となる。これら双方の要求を満たすために、ドコモはコアネットワークのIP化すなわちAIPN(All-IP Network)を提唱[1]し、段階的な開発を進めてきた。これは、 ネットワークのIP導入(Phase 1)に始まり、IMS(IP Multimedia Subsystem)を核としたFOMA音声ネットワークのIP化(Phase 2)についての提案である[2]。SAEは、その次のフェーズ(Phase 3)であり、LTE導入を主眼に必要な機能を発展させたIPベースネットワークである。

本記事は、テクニカル・ジャーナルVol.17 No.2に、掲載されています。