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フェムトセル用超小型基地局装置の開発〜2.フェムトBTSの概要

通常、鉄塔上やビルの屋上などに設置され、半径数百メートルから数十キロメートル(マクロセル)の通話エリアをカバーする屋外BTSに対して、家庭内や小規模店舗をカバーする半径数十メートル程度の限られた範囲(フェムトセル)を通話エリアとする超小型BTSがフェムトBTSである。マクロセルに比べて通話エリアをカバーする範囲が非常に小さく、対象とするユーザ数が非常に少ないことから、フェムト(10の15乗分の1の意)という接頭語を用いて表現されている。

屋外BTSを用いて通話エリアを確保するためにはBTS以外にも大規模な装置(鉄塔、屋外収容箱、アンテナなど)を設置する必要があり、設置可能となる場所が限定されるため、ビルの狭間、屋内、高層階エリアや地下街など、電波が微弱で完全な通話エリアの構築ができない場合がある。このような状況に対応するためにさまざまな屋内システムを開発し、その適用により多数の不感地に対してエリア化を進めているが、今回新たに開発したフェムトBTSをそのラインナップに加えることで、エリア構築の柔軟性や効率化、経済化を図ることが可能となる(図1)。また、屋外BTSのエリアにおけるデータ通信については多数のユーザでBTSを共有するため、その通信速度は他ユーザの通信による影響を受ける。一方、フェムトBTSを設置した場合には限定された数のユーザでBTSを占有することが可能であり、また、屋内環境では見通し通信となり伝搬環境が向上することから、屋外BTSでの通信に比べてスループットの向上が図られ、大容量のデータ通信が容易になるというメリットもある。

図1 フェムトBTSの適用例

本記事は、テクニカル・ジャーナルVol.16 No.2に、掲載されています。