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フェムトセル用超小型基地局装置の開発〜3.フェムトBTSの適用領域

FOMAの屋内エリアを効率的に拡大するために、設置条件・トラフィック量に合わせたさまざまな装置を開発してきた(図2)[3][4]。

BTSを用いた屋内エリア対策として、光伝送装置を接続する光分配方式、無線信号を分岐して使用する同軸分配方式などが挙げられる。図2に示すとおり、光分配方式は、BTSと光伝送装置(親局)を接続し、その親局から光ファイバで接続された最大256個の子局によりエリア化を行う方式であり、大規模ビルなどに適用される。一方、同軸分配方式は、BTSからの無線信号を単純に同軸ケーブルにて分配して利用するものであり、分配数は無線品質の関係で光分配方式に比べ少ないが、より経済的な展開が可能となっている。ただし、光分配方式または同軸分配方式を用いる場合、BTSとセットで設置する必要があるため、装置コストが高額となり、小規模エリアへは適用できなかった。

図2 屋内をエリア化する装置類

これに対し、ピコBTS注意1、フェムトBTSおよびブースタは、単独でのエリア化が行えるため、数十人規模の小規模オフィスや数人規模の家庭や店舗などへの利用に適している。小規模オフィスへの適用を想定したピコBTSに対し、フェムトBTSは家庭や店舗をターゲットとして設計されている。また、ブースタも家庭内に設置しBTSからの電波を増幅することによりエリアを拡大する装置であるが、BTSからの電波がある程度届いていることが設置の条件であり、設置する際にはアンテナも含めた設置工事が必要となる。これに対してピコBTS、フェムトBTSは、IP伝送路に対応した装置であり、特にフェムトBTSは、各家庭のインターネット回線と同等のブロードバンド回線を用いることも可能である。従来のIP専用線での接続に対し、ブロードバンド回線での接続も可能とすることで、大幅な伝送路ランニングコストの削減を可能にしている。つまり、フェムトBTSは電波の届かない不感地であっても、ブロードバンド回線を利用することでFOMAサービスのエリア化が可能であり、設置工事の面でも電源とブロードバンド回線を接続するのみで、容易かつ経済的なエリア化を可能としている。

  • 注意1 ピコBTS:最大同時接続数32ユーザの小規模オフィスへの適用を想定したFOMA用小型BTS。エントランス回線のIP化に対応し、「OFFICEED」と呼ばれる企業向け構内通話サービスにも利用可能である。

本記事は、テクニカル・ジャーナルVol.16 No.2に、掲載されています。