お客様の設定により、お客様情報が「非表示」となっております。お客様情報を表示するにはdアカウントでログインしてください。
お客様情報表示について

メディア系付加価値サービスを提供するメディア処理ノードの開発〜3.システム概要

MPNは、汎用製品を導入するために、サービス制御を担うサービス制御装置とメディア処理を担うメディア処理装置という階層構造をとっている。サービス制御装置はサービス制御を行うことから信頼性、冗長性を考慮し、ATCA(Advanced Telecom Computing Architecture)注意1基盤を採用した。また、メディア処理装置は、市場に流通する優れた汎用ソリューションを提案募集(RFP:Request For Proposal)にて採用した。

MPNはこの階層構造をもつシステムアーキテクチャの特徴と、サービス制御装置、メディア処理装置の各々において機能拡張性を備えるための特徴をもつ。MPNシステム概要および特徴点を図315に示す。

図3 MPNシステム概要

3.1 システムアーキテクチャの特徴

メディア処理装置として、汎用ソリューションを容易に導入するために実現した、サービス制御装置とメディア処理装置との間における汎用インタフェースの採用および保守基盤の階層化は次のとおりである。

(1)汎用インタフェースの採用

市販の汎用ソリューションは、基本的に標準プロトコルを適用した汎用インタフェースを用いて提供されている。サービス制御装置が汎用ソリューションを取り込むためには、汎用インタフェースをサポートする必要がある。メロディコールや留守番電話といった、リアルタイム通信で利用されるメディア処理用汎用ソリューションの大多数が、SIPを呼制御用プロトコルとして採用していることを考慮し、SIPを採用することとした。

今後は、追加されるサービスに応じた汎用ソリューションを追加することで、異なる機能をもったメディア処理の適用が可能となる。

(2)保守基盤の階層化

ドコモのコアネットワーク内の装置は、NW-OPS(NetWork OPeration System)注意2と呼ばれる統合オペレーションシステムにて保守監視が実施されている。NW-OPSと監視対象装置との間の通信制御には、SNMP(Simple Network Management Protocol)注意3やtelnet注意4などの汎用的な通信プロトコルが採用されているが、それらプロトコルの利用方法は独自仕様となっているため、NW-OPSにて保守監視を行うには、これらの機能を実装する必要がある。

NW-OPSは、複数のATCA基盤をベースとしたノードの監視を実施しており、ATCA基盤との親和性が非常に高い。さらに、MPNはサービス制御装置にATCA基盤を採用しているため、NW-OPSとの保守機能をもつATCA共通保守基盤を利用することが可能であった。

一方、MPNのように汎用製品の導入を意識してシステム設計を行う際には新たな製品を追加するたびに機能追加を行うのは非効率であるため、機能追加を最小限に抑えるような工夫が必要であった(図4(a))。

図4 汎用ソリューション装置の保守実施例

今回、MPNではこの問題点を解決するために、汎用ソリューションを一元的に管理するための保守基盤を導入した。さらに、NW-OPSへの保守インタフェースをATCA保守監視基盤にて一元的に提供することとした(図4(b))。このように機能分担することで、ATCA共通保守基盤および汎用ソリューション用保守基盤は階層化され、汎用ソリューションを取り込む際のATCA共通保守基盤への影響を最小限に抑えることが可能となった。

  • 注意1 ATCA:PICMG(PCI Industrial Computer Manufactures Group)が策定した通信事業者向け次世代通信機器の業界標準規格。
  • 注意2 NW-OPS:ドコモのコアネットワーク内の装置に対する保守監視を行うためのシステム。
  • 注意3 SNMP:TCP/IPネットワーク上の通信機器(ルータやコンピュータ、端末など)を監視・制御するプロトコル。
  • 注意4 telnet:TCP/IPネットワークにおいて、遠隔地にあるサーバを手元のコンピュータから遠隔操作できるようにする仮想端末ソフトウェア、またはそれを可能にするプロトコル。

本記事は、テクニカル・ジャーナルVol.17 No.1に、掲載されています。