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メディア系付加価値サービスを提供するメディア処理ノードの開発〜3.システム概要

3.3 メディア処理装置の特徴

メディア処理装置としてサービスの変更を柔軟にするため、VXML(Voice eXtensible Markup Language)注意1を利用したガイダンスシナリオ制御を導入した。

(1)VXMLを利用したガイダンスシナリオ制御手段の実装

MPNにおいて提供するサービスの中には、留守番電話サービスのようにガイダンスシナリオを利用したものが多数ある。ガイダンスシナリオとは、「こちらはNTTドコモです」などの音声をシステムからユーザに送信し、メニューの遷移や最終的なユーザアクションへの誘導を行うために実装されているプログラムのことである。従来システムでは、ガイダンスシナリオはサービス制御装置側のプログラムの一部として、システムに一体化して組み入れられており、ガイダンスシナリオを変更する際には、システムの全ファイルを更新する必要があるため、サービスの迅速な提供を行うことが難しかった。

MPNではこの問題を回避するため、ガイダンスシナリオの制御機能と処理機能の配備見直しを行い、ガイダンスシナリオはメディア処理装置側に配備し、サービス制御装置からの制御に基づいて動作することとした。

サービス制御装置には、呼処理制御やプロファイル管理など、サービスに特化した処理をリアルタイムに行うことが要求されるため、コンパイラ型言語にてプログラムを実装した。一方、メディア処理装置にはサービスの柔軟な変更や拡張に追従することが要求されるため、インタプリタ型言語であるVXMLによりガイダンスシナリオを実装した。

VXMLには汎用的なVoiceXMLタグがすでに用意されており、これらを利用することで、ガイダンスシナリオを作成することが可能となる。ガイダンスシナリオの実行時およびガイダンスシナリオの更新時の動作を図7に示す。

図7 ガイダンスシナリオの実行と更新例

VXMLで記述されたガイダンスシナリオは、サービスごとにあらかじめ作成されDBにファイルとして格納されている。サービス制御装置から実行指示を受けたメディア処理装置は、実行指示の内容に応じたガイダンスシナリオファイルを取得し、メディア制御部のVXMLインタプリタ上で解釈した結果、シナリオに記述された順序に応じてメディア処理部にてガイダンス音を再生する。

ガイダンスシナリオは、DB上のシナリオを新たなシナリオと入れ替えることにより更新される。サービス制御装置は新たなガイダンスシナリオに変更されたことを意識せず、従来どおり実行指示を行う。メディア処理装置も同様に、新たにガイダンスシナリオを変更したことを意識せず、VXMLファイルを取得・解釈する。このとき,メモリに展開されるガイダンスシナリオファイルが変更されるのみで、VXMLインタプリタの動作は変わらない。この動作により、オンラインでのガイダンスシナリオの変更が可能となる。

  • 注意1 VXML:自動応答システムなどで利用されるXMLベースの言語。対話型アプリケーションの構造をXMLで記述することができる。W3C(World Wide Web Consortium)にて規定。

本記事は、テクニカル・ジャーナルVol.17 No.1に、掲載されています。