移動無線伝送〜2.移動伝搬の種別
移動伝搬には、陸上移動伝搬、航空移動伝搬、海上移動伝搬、衛星移動伝搬の4つに分けられ、移動体の種類と伝搬路の状態によって伝搬特性が大きく異なります。
陸上移動伝搬では、電波は建物や樹木、地形の起伏など障害物や反射物の影響を絶えず受けて伝搬しています。このため移動によって受信レベルが常に変動し、瞬時値な受信レベルの落ち込みは数十デシベルにもおよびます。
航空、海上移動伝搬に関しては、ほとんど伝搬経路に障害物がなく、自由空間とほぼ同じと考えられます。ただし、航空、海上においては、気象条件によって伝搬経路が屈曲するため、伝搬特性は、大気の屈折率、地球の球体モデルなどを考慮して考える必要があります。
衛星移動伝搬は大気圏外はるか上空の衛星との通信になり、伝搬損失は大変大きいですがほとんど障害物がないため、見通しでは安定した電界の強さを得られます。ただし、海上では海面反射、陸上では建物などによる遮蔽の影響を受けることも考慮しなければなりません。
陸上移動通信における電波伝搬特性と要因 | ||||
電波伝搬特性 | フェージングの形式 | 原因 | 主要パラメータ | |
瞬時値変動特性 | 包絡線フェージング (レイリー分布) |
非選択性 | 多重波干渉 | 短区間中央値 |
ランダム FM雑音 |
時間選択性 | ドップラーシフト | 最大ドップラー周波数 | |
遅延時間分散 | 周波数選択性 | 通路差 | 遅延時間差 | |
場所的特性 (対数正規変動) |
非選択性 | 移動体周辺の地形・建物 | 長区間中央値、標準偏差 | |
距離特性(奥村伝搬曲線) | 非選択性 | 伝搬路のプロフィール | 基地局・移動局 アンテナ高、局間距離、無線周波数 |
電波利用の環境
1999年3月作成