2.2 各翻訳サービスの概要

「2020年を見据えた翻訳アプリケーションの開発:てがき翻訳」目次

各翻訳サービスの概要を以下に述べる。各翻訳アプリケーションの画面を図3に示す。なお、てがき翻訳については詳細を後述する。

図3 各翻訳アプリケーションの画面

図3 各翻訳アプリケーションの画面

  1. コンシューマ向け
    1. はなして翻訳

      「はなして翻訳」は、スマートフォンを通じて会話を互いの言語に翻訳し合うアプリケーションであり、1台のスマートフォンを使った対面での会話を翻訳する「音声翻訳機能」と離れた場所にいる相手との通話を翻訳する「電話翻訳機能」を具備する。

    2. Jspeak

      「Jspeak」は、海外からの訪日旅行者をターゲットとし、クーポンや観光地、店舗の情報など、日本の魅力をよく知ることのできる情報提供機能、フレーズ集・音声翻訳によるコミュニケーション支援機能を備え、訪日に関する活動をトータルにサポートするアプリケーションである。はなして翻訳の技術を活用して音声翻訳機能を実現し、加えて会話集を提供している。

    3. メール翻訳

      「メール翻訳」は、他言語ユーザとのメールコミュニケーションを円滑にするアプリケーションである。メール作成時の翻訳、メール受信時の翻訳機能を有する。他アプリケーションとの連携を前提としたUIとなっており、特にドコモメールとの連携を強化している。

    4. うつして翻訳

      「うつして翻訳」は、料理メニューや地名など文字情報が含まれる対象をカメラで撮影すると、翻訳結果をリアルタイムに画面に表示するアプリケーションである。翻訳はアプリケーションに内包された画像文字認識エンジン、翻訳エンジンによって行われる。そのため、利用者はパケット通信を行わずに翻訳機能を利用することができる。

  2. 企業向け(はなして翻訳 for Biz)

    「はなして翻訳 for Biz」は、空港・鉄道などの運輸業、ホテル・旅館などの宿泊業、飲食業、小売業などをターゲットに、訪日外国人の応対を支援するアプリケーションである[2]。

    コンシューマ向け「はなして翻訳」にて培った音声翻訳機能、応対現場で使用頻度の高い文例を収録した会話集の提供、複雑なコミュニケーションにも対応可能なバイリンガルオペレータとのビデオ通話機能を統合して提供している。
    各業界の企業と実証実験を繰り返し、応対者の使いやすさ・お客様の分かりやすさを追求し、カウンター越しの応対に加えて、お客様と横並びの形で画面を見ながらの応対を可能とした。対応言語数は10カ国語(英語・中国語・韓国語・イタリア語・フランス語・ポルトガル語・ドイツ語・スペイン語・タイ語・インドネシア語)である。

    ドコモでは、はなして翻訳 for Bizを含め、多様な利用シーンが想定される話し言葉の翻訳にも力を入れている。現在、ニーズの多い会議内容、SNS投稿の翻訳に適した技術とサービスを開発中である[3]

3.1 てがき翻訳概要

本記事は、テクニカル・ジャーナルVol.24 No.3(Oct.2016)に掲載されています。

このページのトップへ