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容量/エリア拡大・国際ローミングを実現する携帯電話無線回路技術〜1.まえがき

第3世代携帯電話サービスのFOMAは、まず2GHz帯で2001年10月に始まった。その後、山間部などで効率的なエリア展開を行うため、2005年6月より800MHz帯を利用したサービス(FOMAプラスエリア)を開始した。さらに最近では、FOMAサービスの加入者増加による都心部でのトラフィック集中や、定額制への移行によるユーザ当りのトラフィック増加に対応するため、1.7GHz帯を利用したサービスを2006年6月より新たに開始した。また、2003年6月からは、海外渡航者への国際ローミングサービスを開始した。

これらのFOMA サービス拡充において、ユーザの利便性を考慮すると、1つの移動端末ですべてのFOMAエリアにおいて通信ができ、かつ海外にも自分の移動端末を持って行けるようにすることが望ましい。そこでこれまでに、周波数追加に対しては、FOMA 901iSシリーズにおいてデュアルバンド(2GHz/800MHz)移動端末を、FOMA 902iSシリーズにおいてトリプルバンド(2GHz/1.7GHz/800MHz)移動端末を順次開発し、発売した[1]。さらに、国際ローミングに関しては、FOMA N900iGでGSM(Global System for Mobile communications)機能を搭載した移動端末[2]を発売して以来機種数を増やしていき、FOMA 905iシリーズよりデュアルモード(W-CDMA/GSM)機能を標準搭載するに至った。

このような移動端末開発の過程において、新規機能追加が移動端末のサイズトレンドや連続使用時間に影響を与えないように、無線送受信回路には常に最新技術を導入してきた。今後もSuper 3G(LTE)[3]方式の導入と早期普及を達成するために、さらなる進化が必要となる。

これらの点から本稿では、まず、現在の無線周波数を取り巻く環境を説明したうえで、FOMAサービス開始から現状までの無線送受信回路技術の変遷を解説する。そして、今後のSuper 3G搭載に向けた移動端末向け無線送受信回路技術の技術課題とその開発動向を解説する。

本記事は、テクニカル・ジャーナルVol.16 No.2に、掲載されています。