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車載向けFOMAテレマティクスモジュールの開発とネットワークへの機能追加〜2.FOMAテレマティクスモジュール

2.1 機能概要

ドコモの車載向け通信モジュールとして、初めて開発したテレマティクスモジュールの主な仕様を表1に記載する。通信ベアラとしては、音声、テレビ電話、パケット通信およびSMS(Short Message Service)(ただし、車両制御用SMSの受信のみ)に対応している。また、マルチアクセス機能に対応しているため、車内で通話をしながら、カーナビ上でブラウザによる情報アクセスなどを行うことが可能となっており、ハンズフリー通話を前提とする車内環境では、一般のハンドセット型携帯電話での利用シーンに比べて本機能の優位性が発揮されるものと考えられる。

表1 主な仕様
項目 内容 備考
ベアラ ・音声
・テレビ電話(AV64kbit/s)
・パケット通信(下り384 kbit/s 上り64kbit/s)
・SMS(車両制御用SMS受信のみ)
マルチアクセス機能対応
対応周波数 3GPP BAND Ⅰ(2GHz帯)、BAND Ⅵ(800MHz帯)  
環境条件 ・動作保証温度:−30°C〜+70°C(本装置周囲温度)
・保存温度:−40°C〜+85°C(本装置周囲温度)
・動作保存湿度条件:95%RH以下
 
サイズ 約52.0(W)×約60.0(D)×約8.6(H)mm 高さは、外部接続コネクタ突起部含まず
移動端末質量 約29g  
電源 DC5.0V  
メイン電源消費電流 ・通信時:最大700mA以下
・待受け時:1.5mA以下(省電力モード時)
                 80mA以下(通常モードで送信しない時)
 

対応周波数は、2GHz/800MHzであり、FOMAプラスエリア注意1に対応しているため、車での移動環境においても、広いエリアで利用することができる。外部アンテナについては、自動車メーカと協同で設計・評価を重ね、車両へ搭載した状態でもFOMA移動端末として十分な性能を確保できるものとした。

前述したテレマティクスモジュールとしての大きな特徴の1つである高耐久性・高信頼性において、動作保証/保存温度範囲は非常に重要な要件である。このため、テレマティクスモジュールは、動作保証温度が−30°C〜+70°C、保存温度が−40°C〜+85°Cという、車載用途に十分耐え得る性能を満足している。通常の携帯電話の場合、3GPP(3rd Generation Partnership Project)標準仕様に規定されるとおり、温度範囲について+15°C〜+35°C、−10°C〜+55°Cなどを条件としていることが一般的[1]である。しかし,これに比べてテレマティクスモジュールは、設計段階における1つひとつの部品選定に始まり、各種信頼性試験による評価や量産製造工程内での検査などにより、広範囲な温度での動作を保証している。

  • 注意1 FOMAプラスエリア:800MHz帯の電波を利用するFOMAサービスエリアのこと。

本記事は、テクニカル・ジャーナルVol.16 No.2に、掲載されています。