報道発表資料

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(お知らせ)国内最大規模の交通ビッグデータ「人口流動統計」を開発
-ドコモ、国総研、東京大学による産官学共同開発-
<2018年6月4日>

株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)は、国土交通省 国土技術政策総合研究所(以下、国総研)、および東京大学 空間情報科学研究センター(以下、東京大学)との共同研究により、人の流動を分析することのできる国内最大規模1の交通ビッグデータ「人口流動統計」2(以下、本データ)を開発しました。

ドコモはこれまでに、ドコモの携帯電話ネットワークの運用データを基にした人口分布統計として「モバイル空間統計®2を実用化し、防災分野や観光分野を中心に社会・産業の調査・分析の支援を進めてまいりました。

一方、交通分野では、人の流動・移動手段などの調査の為に、国や自治体による都市交通調査(パーソントリップ調査3など)が現在行われていますが、おおむね、5年または10年に一回のアンケート調査が基本とされており、信頼性が高い統計情報をより短い調査間隔、かつ広い調査エリアで取得できる手段が求められてきました。
本データは、このような背景を受け、ドコモの通信技術やビッグデータの統計処理技術を活用し、交通ビッグデータとして開発したものであり、在圏する基地局を変更した携帯電話を統計処理することで、24時間365日、日本全域にわたり、どこからどこに何人移動したかを推計します。
また、調査対象となるエリアにおける人口流動や、広域エリアにおける移動経路、移動距離、移動速度が推計でき、それらに基づく移動手段(飛行機、新幹線、高速道路)を推定することが可能となります。
さらに、これらの推計値を曜日・週・月・年ごとの変動のデータとして分析できるため、都市圏・地方自治体などにおける新しい都市交通計画への活用が期待されます。

たとえば、地域間を移動する人の数が年代別、移動手段別にわかるため、高齢化社会や観光客の変動に対応した交通網計画に役立てることができます。
また、大規模商業施設など人気スポットへの増便計画や、交通サイネージと連携した周辺地域の活性化に貢献できます。
2020年に向けては、通勤・通学者に加えて観光客が多い時間帯に公共交通機関を支障なく運用するための運行計画、複数のスポーツ施設をつなぐ交通計画、周辺の商業施設の開発に貢献できます。

本データは、国総研の都市交通分野の公的調査および計画立案に関する専門的知識、東京大学の都市交通分野のビッグデータ利活用に関する学術的知見、ドコモの通信技術および統計処理技術を活用し、三者の知見を合わせることで、統計的信頼性が高く、都市交通分野の様々な用途に活用できる交通ビッグデータとなりました。

本共同研究成果については、国総研資料として公開されています4。また、国総研による共同研究の成果報告会を2018年6月11日(月曜)に予定しております。

今後は、実用化に向け本データを生成・提供するためのシステム開発などを進めてまいります。

ドコモは、パートナーとともに新たな価値を協創する「+d」の取り組みとして、都市交通分野における機関、専門家と協創し、ビッグデータを活用したICT化を推進し、社会・産業の取り組みを支援してまいります。

  1. 2018年6月4日(月曜)時点(国総研、ドコモ調べ)。
  2. 「人口流動統計」、および「モバイル空間統計」は、ドコモの携帯電話サービス(2018年3月末時点で約7,637万台)をお客さまに提供する過程で必要となる位置データや属性データなどの運用データを統計処理することによって作成された人口の推計値であり、お客さま個人を特定できない統計情報です。なお、法人名義の運用データなどは除去して推計しています。
    (参考:「モバイル空間統計」に関する情報)
    https://www.nttdocomo.co.jp/corporate/disclosure/mobile_spatial_statistics/index.html
  3. 一定の調査対象地域内において「ある1日の人の動き」を調査するもので、交通に関する実態調査としては最も基本的な調査のひとつです。交通計画や道路計画、防災計画のための基礎資料として活用されています。昭和42年に広島都市圏で大規模に実施されて以来、64都市圏で実施されています。
  4. 国土技術政策総合研究所資料(国総研資料 第1015号)「携帯電話基地局の運用データに基づく人の移動に関する統計情報の交通計画等への適用に関する共同研究」
    別ウインドウが開きますhttp://www.nilim.go.jp/lab/bcg/siryou/tnn/tnn1015.htm

別紙1 共同研究成果の概要

1. 研究の実施期間

2014年7月1日(火曜)〜2017年9月30日(土曜)

2. 共同研究体制と役割

共同研究体制と役割の表
役割
国土交通省 国土技術政策総合研究所 「人口流動統計」の活用シーン毎のデータ仕様案の策定、「人口流動統計」の信頼性および都市交通調査への適用性評価
東京大学 空間情報科学研究センター 「人口流動統計」の活用手法
NTTドコモ 先進技術研究所
同社 プラットフォームビジネス推進部
携帯電話ネットワークの運用データを基にした「人口流動統計」の推計手法・実用化開発

3. 主な共同研究成果(実用化の範囲は別途検討)

(1)トリップ数の推計手法
:どこからどこに何人移動したか、出発地から到着地までの移動(トリップ)の総量がわかります。

(2)移動経路の推計手法
:出発地から到着地までの大まかな経路毎の移動(トリップ)の総量がわかります。

(3)移動手段の推計手法
:長距離を移動した際の移動手段(飛行機・新幹線・高速道路)毎の移動(トリップ)の総量がわかります。

(4)移動目的の推計手法
:出発地から到着地までの移動目的(通学・通勤・私事等)毎の移動(トリップ)の総量がわかります。

画像:主な共同研究成果

共同研究では、都市交通調査(パーソントリップ調査など)に適用することの有用性が確認されました。
「人口流動統計」を活用することで、たとえば、都市・交通計画、道路整備効果の検証、イベント時の交通整備等の取り組みをより効率的・効果的に実施することが可能となります。

別紙2 人口流動統計の概要

1. モバイル空間統計における位置づけ

画像:モバイル空間統計における位置づけ

2. 人口流動統計のアウトプットイメージ

画像:人口流動統計のアウトプットイメージ

  • 「モバイル空間統計」は、株式会社NTTドコモの登録商標です。

報道発表資料に記載された情報は、発表日現在のものです。仕様、サービス内容、お問い合わせ先などの内容は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

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