報道発表資料

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5Gの屋外実験において通信速度27Gbpsに成功
-5Gで要求される移動端末への通信速度20Gbpsを超える大容量通信を実現-
<2018年11月22日>

三菱電機株式会社
株式会社NTTドコモ

三菱電機株式会社(以下、三菱電機)と株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)は、第5世代移動通信方式(以下、5G)において、28GHzを用いて5G向けに開発した超多素子アンテナシステムによる16ビーム空間多重処理1を行うことで、世界で初めて2屋外実験において通信距離10mで端末1台の通信速度27Gbps、100mで通信速度25Gbpsに成功しました。
本実験は500MHz帯域を用いて16ビーム空間多重処理を行うことで実現し、2018年9月10日(月曜)~9月28日(金曜)に神奈川県鎌倉市で実施しました。

イメージ画像:屋外実験の様子
屋外実験の様子(通信距離10m時)

実験の特長

16ビームを移動端末に指向させた空間多重技術により、最大通信速度27Gbpsを実証

  • 今回三菱電機が「16ビーム空間多重技術」1を用いたアンテナシステムを採用。基地局を建物壁面に設置、端末を自動車に搭載して28GHz帯屋外実験を実施。
  • 通信距離10mで端末1台の最大通信速度27Gbps、100mで最大通信速度25Gbpsを世界で初めて実証。

実験の概要

実験の概要
機能 最大通信速度
今回(5G) 500MHz帯域16×16MIMO 通信距離10m/27Gbps
通信距離100m/25Gbps
従来(4G) 60MHz帯域4×4MIMO 988Mbps3

今後の展開

壁面などによる多重反射を想定した28GHz帯屋内実験を2018年度内に実施する予定です。

  1. 2018年2月14日 三菱電機が広報発表した技術。2ビーム超多素子アンテナRFユニット8台で16ビームを形成しMIMO(Multiple-Input Multiple-Output)処理でビーム間干渉を低減させる。

    広報発表資料URL:別ウインドウが開きますhttp://www.MitsubishiElectric.co.jp/news/2018/0214-e.html

  2. 2018年11月22日現在(三菱電機調べ)
  3. 2018年11月時点での日本における理論上の最大通信速度

別紙 本実証実験概要

実験の背景

5Gは通信速度20Gbpsの実現が期待されており、異なるデータを並列に伝送するマルチビーム空間多重を行う超多素子アンテナシステム技術の採用が有望視されています。しかし、このシステムの実現に向けては、数百を超えるアンテナ素子によるビーム形成とビーム間の干渉低減が課題でした。
三菱電機とドコモは共同で、500MHz帯域を用いて通信速度20Gbpsを達成することを目標とした、電波資源拡大のための研究開発「第5世代移動通信システム実現に向けた研究開発~高周波数帯・広帯域超多素子アンテナによる高速・低消費電力無線アクセス技術の研究開発~」を受託し、16ビーム空間多重を実現する超多素子アンテナシステムを開発、実験を進めてきました。
4Gでは、1台の端末に向けて4並列伝送を超える超高速通信を行うことは困難でしたが、今回、開発した基地局を建物壁面に設置、端末を自動車に搭載し、基地局から距離10m、100mの道路に沿って移動する端末に対して、見通し条件1において16ビーム空間多重伝送を行う28GHz帯屋外実験を実施しました(図1)。

特長の詳細

移動端末へ大容量通信を可能とする16ビーム空間多重技術

これまで4Gでは実現できなかった16ビーム空間多重を実現するために、超多素子アンテナによるビーム形成技術とビームの重複によるビーム間の干渉低減技術を開発しました。
開発したビーム形成技術では、アナログ回路により、あらかじめ設定したビームを切替えることで端末の移動に追随します(図2)。ビーム間の干渉低減技術では、刻々と変化する伝搬環境を基地局側で測定し、信号を制御することで、干渉を低減します。これらの開発技術により、屋外移動環境における16ビーム空間多重を実現しました。
屋外実験を実施した結果、基地局から端末間距離10mで通信速度27Gbps、100mで25Gbpsの伝送実験に世界で初めて成功しました。これは、28GHz帯における移動通信方式において、世界最高の周波数利用効率である1Hzあたり67bps2の実現に相当します。
本実験により、電波資源拡大のための研究開発「第5世代移動通信システム実現に向けた研究開発~高周波数帯・広帯域超多素子アンテナによる高速・低消費電力無線アクセス技術の研究開発~」における目標値を達成しました。この技術により、例えばバスなどの大勢の人が乗車して移動する乗り物において、20Gbpsを超える超高速通信の実現が期待できます。

イメージ画像:図1 屋外実験環境と各端末位置における通信速度
図1 屋外実験環境と各端末位置における通信速度
図2 超多素子アンテナによる端末の追随(基地局からの視点)図2 超多素子アンテナによる端末の追随(基地局からの視点)
図2 超多素子アンテナによる端末の追随(基地局からの視点)
実験の概要
実験環境 実験実施日:2018年9月10日(月曜)~9月28日(金曜)
実験場所:神奈川県鎌倉市
使用周波数帯:28GHz帯(帯域幅:500MHz)
基地局
  • 超多素子アンテナ:最大256素子フェーズドアレー×16(4096素子)
  • 空間多重数:16
端末 端末アンテナ:パッチアンテナ×16

各社の役割

各社の役割
三菱電機
  • 28GHz実験装置の開発・提供
  • 16ビーム空間多重技術の屋外実験の実施
NTTドコモ
  • 28GHz実験装置の仕様策定
  • 実験企画の推進

本成果には、総務省からの委託を受けて実施した「第5世代移動通信システム実現に向けた研究開発」の成果の一部が含まれています。

  1. 基地局と端末のアンテナ間に障害物がない並列伝送が難しい条件
  2. 2018年11月22日現在(三菱電機調べ)下りリンク時間占有率0.8(下りリンク:上りリンク=4:1)の場合

報道発表資料に記載された情報は、発表日現在のものです。仕様、サービス内容、お問い合わせ先などの内容は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

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