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第4世代移動通信システムに向けた実験において、1Gbit/sリアルタイムパケット信号伝送の屋外実験に成功

<2005年6月23日>

NTTドコモ(以下ドコモ)は、2005年4月25日に取得した無線局実験免許により、第4世代移動通信システムに向けた無線アクセス実験装置を用いた屋外実験を開始し、2005年5月9日に、下り最大1Gbit/sのリアルタイムパケット信号伝送実験に成功しました。

今回の屋外実験は、神奈川県横須賀市の市街地において、基地局装置と、時速約20kmで移動する移動局装置とを用いて実施しました。無線アクセス方式として「VSF-Spread OFDM注意1」を適用したことに加え、「MIMO多重注意2」技術においてはドコモが独自に開発した信号分離技術を適用することにより、100MHzの周波数帯域幅を用いて、1Gbit/sのリアルタイムパケット信号伝送を実現できることが実証できました。周波数利用の効率を示す指標である周波数利用効率注意3 は、10ビット/秒/Hzとなります。

第4世代移動通信システムについては、国際電気通信連合無線通信部門(ITU-R)において周波数に関する議論が進められており、国内でも総務省情報通信審議会答申において、2005年中までの要素技術の確立および2010年の実用化を目指した取り組みが期待されているところです。
ドコモでは、今回の屋外実験の成功を踏まえ、第4世代移動通信システムの無線アクセス方式の研究開発を引き続き推進し、国際標準化にも積極的に協力していく予定です。

  • 注意1 VSF-Spread OFDM (Variable Spreading Factor-Spread Orthogonal Frequency Division Multiplexing):
    可変拡散率-拡散直交周波数分割多重。拡散率の可変制御を行うことにより、屋内・屋外などのエリア環境や、その時々の通信条件に応じて、同一の無線インタフェースで高速パケット通信を可能にする。
  • 注意2 MIMO (Multiple-Input-Multiple-Output)多重技術:
    複数のアンテナから異なる情報信号を、同時に同じ周波数を用いて送信し、無線伝搬路において空間的に多重して信号伝送する技術。
  • 注意3 周波数利用効率:
    単位時間、単位周波数帯域当たりに送信することができる情報ビット数(1Gbit/s÷100MHz=10ビット/秒/Hz)。

概要

1. 本実験装置の無線アクセス方式の特長

本実験装置では、VSF-Spread OFDM無線アクセス方式を用いて、100MHzの周波数帯域幅で、近距離・低速移動時における下り最大1Gbit/sのリアルタイム信号伝送を実現しました(周波数利用効率10ビット/秒/Hz)。
ドコモでは、2002年10月に、今回と同じ100MHzの周波数帯域幅を用いて、高速移動時の室内実験において100Mbit/sの信号伝送を実現しており、さらに、2003年5月から開始した屋外実験においても100Mbit/sの信号伝送を実証しております。今回の実験成功は、これらの成果を踏まえたものです。

2. 本実験装置のMIMO多重技術の特長

本実験では、4つの送信アンテナと4つの受信アンテナ、16QAMデータ変調注意1、符号化率8/9のターボ符号化注意2 を用いて信号を伝送しています。受信側での信号分離法には、最尤(さいゆう)判定法注意3 を用いておりますが、本実験においては、最尤判定法において、ドコモ独自の信号分離法を適用することにより、従来の課題であった大規模な処理量を大幅に削減しました。
また、本実験における信号分離法は、従来の信号分離法と比較して1Gbit/s信号伝送を実現するために必要な受信電波強度を、1/10程度に低減することができます。

1Gbit/sリアルタイムパケット信号伝送実験の解説図

  • 注意1 QAM(キュー・エー・エム:Quadrature Amplitude Modulation):
    無線等で用いられるデジタル変調方式の一つ。変換された後の波の振幅と位相の両方を使って情報を表現するため、限られた帯域幅で効率よくデータを転送することができる。16QAMでは振幅と位相の16通りの状態を用いて、1回の送信で4ビットの情報を送ることができる。
  • 注意2 ターボ符号化:
    無線伝搬路で生じたビット誤りを受信側で訂正する誤り訂正符号化技術の一つ。符号化率とは、「情報ビット数」に対する「誤り訂正符号化後のビット数」の比(符号化率8/9では、8ビットの「情報ビット」に対して、誤り訂正符号化処理を行い、9ビットにする)。第3世代移動通信方式のFOMAでも採用されている。
  • 注意3 最尤判定法(MLD:Maximum Likelihood Detection):
    受信した信号と送信される可能性のある全ての信号の比較を行い、最も確からしい信号を判定する方法。最も性能の良い信号分離法であるが、大規模な処理量を必要とする。

[参考]第4世代移動通信システムの実現に向けた、これまでの実験取り組み状況

取り組み状況図

  • 2002年3月

    第4世代移動通信システムにおける実験装置の試作を開始(2002年3月18日報道発表)

  • 2002年10月

    屋外環境を模擬した室内実験において、下り100Mbit/s、上り20Mbit/sの信号伝送に成功(2002年10月9日報道発表)

  • 2003年5月

    下り100Mbit/s、上り20Mbit/sの信号伝送及び高速パケット通信を実現する各種要素技術の検証を行う屋外実験を開始(2003年5月28日報道発表)

  • 2004年8月

    屋外環境を模擬した室内実験において、低速移動時を想定した移動フェージング環境における下り最大1Gbit/sのリアルタイム信号伝送に成功(2004年12月17日報道発表)

  • 2005年5月

    低速移動時における下り最大1Gbit/sのリアルタイム信号伝送の屋外実験に成功(今回の報道発表)

報道発表資料に記載された情報は、発表日現在のものです。仕様、サービス内容、お問い合わせ先などの内容は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。なお最新のお問い合わせ先は、お問い合わせをご覧ください。

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