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3次元地図に航空機で計測した地上情報を加えモバイル端末に送信する技術を開発

-災害発生時の被害状況把握と歩行経路案内を模擬した実証実験を東京丸の内地区で実施-

<2006年1月16日>

三菱電機株式会社
株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ
株式会社パスコ

三菱電機株式会社(以下、「三菱電機」)、株式会社NTTドコモ、株式会社パスコ(以下「パスコ」)の3社は、総務省から3年計画で委託された、立体的でリアルな表現が可能な3次元GIS注意1 の研究開発「次世代GISの実用化に向けた情報通信技術の研究開発」において、3次元地図に航空機で計測したリアルタイムの地上情報を加え、携帯電話やPDA注意2 などのモバイル端末に送信する技術を開発しました。この技術は、災害発生時の被害状況を反映した歩行経路案内などへの活用が期待されます。
開発の成果は、1月31日の「GISフォーラム」(東京都千代田区「東京會舘」、主催:総務省、独立行政法人情報通信研究機構(NICT))で紹介し、1月31日〜2月2日に「実証実験」(東京都千代田区丸の内地区、主催:三菱電機、NTTドコモ、パスコ、協力:三菱地所株式会社)を行います。

  • 注意1 GIS:
    Geographic Information System(地理情報システム)。
  • 注意2 PDA:
    Personal Digital Assistance(個人用携帯情報端末)。

開発の背景と概要

災害時などにおいては、航空機計測などで得た建物や道路の被害状況など最新の情報を、携帯電話やPDAを用いてできるだけ早く入手したいというニーズがあります。携帯電話やPDA向けに地図を用いたサービスを行う場合、平面地図よりも3次元地図の方がわかりやすく、視認性に優れています。
本研究開発は、3次元地図に航空機計測などで得た最新情報を加えたものを、携帯電話やPDA等のモバイル端末に伝送するための技術を確立することを目的としています。

主な研究開発成果

災害情報の早期取得のため、通信衛星の利用を想定し、航空機で計測した3次元データを、地上へリアルタイムに伝送可能とする圧縮技術を開発しました。
航空機で計測した3次元データを地上に伝送する場合、膨大な容量となりそのまま伝送することは困難でした。この圧縮技術の開発により、航空機計測を継続しながらデータ通信を行い、地上サーバーへリアルタイムに伝送を行うことが可能となります。
こうして航空機計測による最新情報を3次元地図に加え、サーバーからモバイル端末へ最適化して伝送し、表示する技術を開発しました。
さらに今回は、経路の早期理解を深め、常時端末を凝視することなく安全に経路案内することを目指したガイド情報挿入技術を実現しました。

今後の展開

災害時の歩行経路案内や、広域設備の巡回点検業務などへの実用化を目指します。

研究開発成果の詳細

1. 航空機計測データをリアルタイム伝送可能な圧縮技術を開発(パスコ担当)

航空機で計測したレーザ測量(3次元点群)データの情報量は10km四方あたり約12GBと膨大な量になり、情報を収集しながらリアルタイムで地上に伝送することは困難です。今回、航空機計測を継続しながらインターネット通信衛星を利用してデータを送ることを想定し、10km四方で1GB程度に圧縮する技術を開発しました。
航空機計測では地物の高さを表すレーザ測量データと、写真撮影で地上を表す画像データを取得します。この2つのデータに以下のような圧縮手法を用いることで、リアルタイム伝送を可能にしました。

  • レーザ測量データはレーザパルス注意1 の発射時間や発射角度など複数の要素から構成されていることから、要素毎に分類を行った後、それぞれに対して最適な可逆圧縮形式の圧縮手法を適用し、10分の1以下の容量に削減しました。
  • 画像データは輪郭部分を抽出し、輪郭を構成するデータに対して非可逆圧縮形式の独自手法で圧縮した結果、90分の1以下の容量に削減しました。

2. モバイル端末に表示可能な3次元地図データを圧縮伝送(三菱電機担当)

モバイル端末はデータの保存量や画面の表示量に制限があるため、サーバーなどから送信するデータは極力少なくする必要があります。今回、2km四方で200MB程度にした3次元地図データをさらに500分の1程度に圧縮してモバイル端末に送信する技術を開発し、モバイル端末での3次元地図の表示を可能にしました。
端末に配信するデータの圧縮は以下の2つの手法を組み合わせて可能にしました。

  • 3次元地図の構成要素の中から、人が景観を把握する上で重要度の高いもの(例えば、視野の中に占める面積の大きいものや、視野の中に入っている時間の長いもの)だけを選択的に抽出することにより、データ量を10分の1程度に削減します。
  • 建物の壁面や窓など、外観の画像を予め用意した典型的なパターンに置き換えて、その種類を示すコード情報のみを送ることにより、データ量を50分の1程度に削減します。

3. モバイル端末を使って短時間で経路を把握可能にするガイド情報の自動挿入(NTTドコモ担当)

災害発生時などの緊急時において、被災者が安全かつ迅速に避難するためには、被災情報や安全経路に関する情報を正確に理解することが必要です。そこで、携帯電話を利用して、避難経路の状況を短時間に理解し、安全な経路をたどって避難場所に到達するための3次元歩行経路案内を生成、挿入する方式を開発しました。

  • 歩行可能な経路(歩行者ネットワーク)に沿った3次元動画ガイドと、歩行者の場所に対応した被災情報等の案内テロップを表示する方式を開発しました。これにより利用者が短時間で経路の理解を深めることが可能になります。
  • 3次元地図から360度パノラマ動画を生成する方式を開発しました。これにより利用者が交差点で正しい進路方向を確認することが可能になります。

図1 研究開発の概要

図2 画面表示例

  • 注意1 レーザパルス:
    航空機に搭載された距離計測装置から発射されるレーザ光。

お問い合わせ先

■三菱電機株式会社

<報道関係からのお問い合わせ先>
広報部  電話: 03-3218-2333、FAX: 03-3218-2431
<開発内容に関するお問い合わせ先>
情報技術総合研究所 計画部 業務グループ  FAX: 0467-41-2142
〒247-8501 神奈川県鎌倉市大船5-1-1
(別ウインドウが開きます)http://www.mitsubishielectric.co.jp/corporate/randd/inquiry/index_it.html

■株式会社パスコ

<報道関係からのお問い合わせ先>
広報宣伝グループ  電話: 03-3715-1048、FAX: 03-3715-6600
<開発内容に関するお問い合わせ先>
モバイル事業部  電話: 03-6412-2400、FAX: 03-6412-2534
〒153-0043 東京都目黒区東山1-1-2 東山ビル
(別ウインドウが開きます)http://www.pasco.co.jp/

実証実験の内容

【実施日】
2006年1月31日、2月1日、2月2日の3日間
【場所】
東京都千代田区丸の内地区
【内容】
地震災害発生を想定した歩行経路案内において、「速く」「安全に」「確実に」を評価指標とし、研究開発の到達度を確認します。また、被験者の利用体験を、実用化に向けたユーザーニーズの抽出に役立てます。
【背景】
地震や豪雨災害が頻発する中、国民の防災に対する意識が向上するとともに、行政や企業においても災害に対する危機管理体制の構築が進んでいます。しかし、新潟県中越地震をはじめ、インドネシア・スマトラ沖地震やインド・パキスタン地震などにおいても明らかになったように、災害発生直後の広範囲にわたる的確な被害状況把握と情報伝達を、いかに迅速に実施するかが大きな課題となっています。今回の実証実験では、地震災害発生から2時間後を想定し、被災者に対して被害状況に応じた歩行経路などの情報を提供することを想定して技術検証を行います。
【想定状況】
日中に東京周辺で大地震が発生し、徒歩で避難を行うシーンを想定します。この環境下で、航空機計測により被害状況を把握し、地上の災害センターから被災者のモバイル端末へ歩行経路案内情報を配信することを想定して実験を行います。
【実験概要】
地震発生後に仮想的に航空機から計測したデータと、発生前の3次元地図との比較から、倒壊建物を特定し、安全な避難経路の抽出を行います。避難経路に従い作成されるデータは、ビジュアルで見やすい3次元地図として構築され、被験者が持つ実験用携帯電話やPDAの通信速度や端末の表示性能に合わせた形式に変換され配信されます。この経路案内に沿って実際に利用者に歩いてもらうことで、表示速度、視認性、操作性などを検証します。

図3 実験区域

報道発表資料に記載された情報は、発表日現在のものです。仕様、サービス内容、お問い合わせ先などの内容は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。なお最新のお問い合わせ先は、お問い合わせをご覧ください。

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