地域からのお知らせ(北海道)
十勝農業協同組合連合会とNTTドコモ、構研エンジニアリングの協業によるスマート農業実現に向けた実証実験を実施
~ICT技術を用いて一次産業の課題解決をめざす~
2020年7月13日
十勝農業協同組合連合会
株式会社NTTドコモ北海道支社
株式会社構研エンジニアリング
十勝農業協同組合連合会(代表理事会長 山本 勝博、以下、十勝農協連)、株式会社NTTドコモ北海道支社(執行役員支社長 櫻井 俊明、以下、ドコモ)、株式会社構研エンジニアリング(代表取締役社長 竹田 俊明、以下、構研)は、放牧牛の効率的な個体管理を目的に、十勝農協連湧洞牧場の放牧地においてドコモが構築したLPWA※1通信インフラ網を用いた実証実験(以下、本実証実験)を2020年7月13日(月曜)より開始しました。
本実証実験は総務省の「令和2年度予算 IoTの安心・安全かつ適正な利用環境の構築(IoT利用環境の適正な運用及び整備等に資するガイドライン等策定)」の委託先として採択され取り組むものです。
十勝農協連では本実証実験のフィールドとなる湧洞牧場(公共育成牧場)にて、預託牛※2の放牧を中心とした事業展開を行っておりますが、422ヘクタールの広大な土地(東京ドーム約90個分)であるため、従業員における放牧牛の看視作業(牧区毎の頭数、健康状態、発情牛の確認等)が大きな負担となっておりました。これに対し、これまでも市販のLPWA機器を用いて、放牧牛の動態管理の検証を重ねてきましたが、起伏の多い放牧地環境では電波伝搬※3が不安定となりデータ取得にバラつきがあること、機器の電力消費が大きいことなどの課題が残っておりました。
本実証実験では、LPWA通信の中でも広範囲の通信が可能となるLoRa※4および高スピードの通信が可能となるWi-SUN※5の2種類の通信方式を用いてドコモが通信環境を構築することで、起伏の多い環境における電波伝搬の不安定さ、電力消費の大きさを解消します。これにより、課題であったLPWA機器の電力消費は、電池交換頻度が2カ月から6カ月になるほどまで抑えることができるようになります。
具体的な実証実験内容としては、全国から飼育預託を受けている預託牛の放牧における個々の管理をLPWA/LTE通信インフラ網を用いて、放牧牛の位置情報を中心に行動履歴をデータ化し、構研が構築するクラウドサーバへアップロード・解析することで、これまで人手を介して行っていた放牧牛看視作業の効率化を図れるか検証します。将来的には放牧牛看視作業にかかっていた従業員の稼働時間についてもおおよそ3分の1程度になることが期待されます。
今後も3者は、本実証実験を通じて一次産業における各地域の課題解決をめざし取り組んでまいります。
- 「Low Power Wide Area」の略。低消費電力で低速・長距離伝送を可能にする無線技術。
- 生後6か月齢以上の育成牛を預かり、妊娠牛にして預託元の農家へお返しする。
- 電波が空中を伝わり、離れた場所へ到達すること。電波伝搬の安定性については地形や構造物などの影響により、到達距離が短くなることなどがある。
- LPWAの通信方式の1つで、「Long Range」の略称。
- LPWAの通信方式の1つで、「Wireless Smart Utility Network」の略称。
<別紙>本実証実験概要
1.実証実験期間
2020年7月13日(月曜)~2021年2月(予定)
2.実証実験場所
十勝農業協同組合連合会 畜産事業部 湧洞牧場(北海道広尾郡大樹町字生花181番地1)
3.実証実験内容
本実証実験では十勝農協連の提供する湧洞牧場(公共育成牧場)にて、「LPWAを用いた放牧牛の個体管理」について取り組みます。深刻な労働力不足が課題となっている畜産業において、スマート農業による新たな働き方を示すことで、将来にわたって北海道の畜産業が継続できる仕組み作りをめざしております。
LPWA通信の中でも広範囲の特徴を持つLoRaと高スピードの特徴を持つWi-SUNの2種類の無線通信技術を用いて、起伏の多い丘陵地でも安定した通信インフラ網が構築でき、効率的な放牧牛の個体管理を行えるか検証を行います。具体的には、加速度センサー付省電力LPWA送信機※を放牧牛の首へ装着し、定期的に得られる位置情報データをLPWA受信中継機とLTEの通信が可能な親機を経由して、クラウドサーバへ送信します。クラウドサーバでは行動履歴のデータ解析を行い、放牧牛の現在位置・行動軌跡等の情報サービスを牧場従業員にWeb上で提供することが実現できるか検証を行います。
これにより放牧牛の看視作業を中心とした個体管理にかかっていた従業員の稼働時間がおおよそ3分の1程度まで削減されることが期待されます。
本実証実験では複雑な地形でもLoRaなどの無線通信が円滑に通信できるのかを検証する目的もあり、日本の多様な地形における放牧牛管理の生産性向上、スマート農業のさらなる汎用化をめざしてまいります。
- 加速度センサーが動作した時など条件にあった場合にのみ位置情報を取得するように改良した、省電力LPWA送信機。
4.各者の役割
団体名 | 役割 |
---|---|
十勝農業協同組合連合会 | ・実験フィールドの提供 ・システムの運用 |
株式会社NTTドコモ北海道支社 | ・LPWA通信インフラ網構築 |
株式会社構研エンジニアリング | ・クラウドサーバー構築 |
5.今後のスケジュール(予定)
時期 | 2020年 | 2021年 | |
---|---|---|---|
7~8月 | 9~10月 | 2月 | |
取組内容 | ・LPWA端末・受信機開発 ・LPWA受信機エリア構築 |
・システム運用(実証実験) | ・実証実験の成果とりまとめ、報告 |
記載された情報は、発表日現在のものです。仕様、サービス内容、お問い合わせ先などの内容は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。