地域からのお知らせ(北海道)

産学官連携によるローカル5Gを用いたスマート農業実証プロジェクトの開始について
~ICT技術を用いた乳牛の効率的な個体管理をめざす~

2021年10月25日
株式会社NTTデータ経営研究所
株式会社NTTドコモ 北海道支社
ホクレン農業協同組合連合会
国立大学法人宮崎大学
北海道イシダ株式会社
きたみらい農業協同組合
訓子府町

株式会社NTTデータ経営研究所を代表機関として、株式会社NTTドコモ北海道支社、ホクレン農業協同組合連合会、国立大学法人宮崎大学、北海道イシダ株式会社、きたみらい農業協同組合、訓子府町の7者は、この度、産学官連携によるローカル5G※1を用いたスマート農業の実現に向けた実証実験(以下、本実証実験)を2021年10月25日(月曜)より開始しました。
本実証実験は、訓子府町内のホクレン訓子府実証農場を実証フィールドとして、フリーストール牛舎※2にローカル5G基地局を設置し、ローカル5G 端末に接続した4Kカメラや3Dカメラで撮影した乳牛の高精細映像画像を分析することで、システムによる乳牛の個体識別、位置検索、健康状態の把握を実現し、一次産業分野の深刻な人手不足の解決につながる酪農従事者の個体管理に係る稼働削減や乳牛の健康異常の早期発見および重症化の未然防止による生産性の向上をめざします。
なお、本実証実験は、総務省の令和3年度「課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」および農林水産省の令和3年度「スマート農業実証プロジェクト(ローカル5G)」の採択を受け取り組むものです。

1.実証実験期間
2021年10月25日(月曜)~2023年3月31日(予定)

2.実証実験実施場所
ホクレン訓子府実証農場(住所:北海道常呂郡訓子府町駒里184-7)

本実証実験に関する取り組み内容については、別紙を参照ください。

今後も7者は、本実証実験を通じて一次産業における各地域の課題解決をめざしていくと共に、「SDGs(持続可能な開発目標)」の「誰一人取り残さない」の基本理念に基づき、今後も様々な社会課題の解決に取り組んでまいります。本実証実験においては、SDGs 17の目標の内、下記5項目に関連する取り組みです。

SDGs図1SDGs1

  1. 通信事業者以外の様々な主体(地域の企業や自治体等)が、自ら5Gシステムを構築するもの
  2. 牛をつながずに、自由に歩き回れるスペースを持った牛舎の形態のこと

<別紙>本実証実験概要

本実証実験では北海道の基幹産業である畜産分野において、フリーストール牛舎の普及に資する活動を目的に取り組みます。具体的にはローカル5GとICT を活用し、酪農従事者の乳牛の個体管理の負担減や適切な健康管理による生産性の向上が可能か検証します。
なお、本実証実験では畜産分野の課題解決をめざすとともに、ローカル5Gの「電波伝搬モデルの精緻化※3」、「準同期TDDの追加パターン開発※4」についても合わせて取り組みます。

1.取り組み内容

本実証実験では訓子府町内のホクレン訓子府実証農場において、3つのテーマについて取り組みます。

(1) 跛行検知(以下、テーマ①)

乳牛の廃用の原因となる三大疾病の1つである蹄病※5は、生乳の品質や生産効率を下げ経済的損失の要因であるとともに、予防には畜産業者に大きな負担がかかり課題となっております。
近年、畜産業においては高齢化が進んでおりますが、1戸当たりの飼育頭数が増加傾向にあり、1頭1頭の健康管理は非常に困難になっております。本実証実験では、フリーストール牛舎内に設置した三次元カメラと4Kカメラにより撮影された画像をAIを用いて解析し、蹄病の予兆である乳牛の跛行※6検知が可能か実証し、人手による牛1頭1頭の健康管理にかかる稼働削減、さらに蹄病の早期発見をめざします。

システム構成図1システム構成図1

(2) 個体識別・位置検索(以下、テーマ②)

牛が自由に動き回るフリーストール牛舎では、個体ごとに乳牛の1頭1頭の状態(異常兆候や発情行動など)を確認するために、生産者は牛舎内で個々の牛を識別する必要がありますが、目視で斑紋や体格で識別することは非常に難しく、1頭ずつ耳標番号※7を頼りに探すため、かなりの時間を要するという課題があります。本実証実験では、複数のカメラとAI技術を用いて個体識別を行い、フリーストール牛舎内の乳牛の動線を追跡し、スマートフォンやタブレット端末上で乳牛の位置検索が可能であることを実証し、乳牛の個体管理に要する管理工数の削減をめざします。

システム構成図2システム構成図2

(3) 遠隔指導(以下、テーマ③)

高い生産性を維持するために乳牛の適切な健康管理は重要ですが、畜産コンサルタントや獣医師による現地訪問は往来距離や人手不足の観点から1日あたりの診療回数が限られてしまう課題があります。本実証実験では、4K カメラとスマートグラスを用いて、畜産コンサルタントや獣医師へ高精細な映像や音声通信、病歴などの乳牛の個体データを提供し、遠隔での技術指導や相談環境を構築することで、技術指導機会の増加、生産性向上をめざします。なお、獣医師においては、獣医師法第18 条により非対面での診断は現在認められていないことから、将来的に遠隔指導体制が整備される可能性を見据え取り組むものです。

システム構成図3システム構成図3

2.各者の役割

各者の役割
団体名 役割
株式会社NTTデータ経営研究所 ・コンソーシアム代表機関
株式会社NTTドコモ 北海道支社 ・ローカル5Gに関する技術実証の実施主体
・課題実証(遠隔指導)の実施主体
ホクレン農業協同組合連合会 ・実証フィールド提供
・生産者の立場からの助言
・実証に関するデータ収集の支援
国立大学法人宮崎大学※8 ・課題実証(跛行検知)の実施主体
北海道イシダ株式会社 ・課題実証(個体識別・個体位置検索)の実施主体
きたみらい農業協同組合 ・生産者の立場からの実証事業への助言
・実証技術の普及啓発活動の支援
訓子府町 ・地域内外の普及啓発活動の支援

3.今後のスケジュール(予定)

今後のスケジュール(予定)
時期 2021年度 2022年度
テーマ①・②・③ ・システム構築および実証実験を実施 ・システム改良および実証実験を実施
統合実証※9 ・テーマ①②③の統合実証を実施

※3・4 総務省|報道資料|「課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」
※5 牛の爪の病気の総称
※6 正常な歩行ができない状態
※7 乳牛の耳につける標識に記載された 10 桁の個体識別番号
※8 実施担当者:工学教育研究部 教授 ティティズイン
※9 テーマ①②③を連携して実証を行う

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