スポーツ、医療、エンタメ——「docomo Open House 2021」にみる5G活用最新事例【前編】

INDEX目次

  1. VRライブで超一流アスリートの“動き”まで体験!?
  2. いつでもどこでも誰でも高度医療を受けられる未来
  3. 軽量ディスプレイグラスで、場所や時間を選ばずリッチなコンテンツを手軽に楽しむ

NTTドコモの取組みを多彩なプログラムで紹介する展示会「docomo Open House」。今年は完全オンラインでの開催となった。自分の顔写真から生成したマイアバターをスマートフォンアプリ上で動かしてバーチャル空間の各展示ブースを見て回ると、高速・大容量、低遅延という5Gの強みと、さまざまなパートナーのアセットを掛け合わせた数々のソリューションに出会うことができた。

今回は、スポーツから医療支援、エンターテインメントまで、「docomo Open House 2021」に展示されていた5Gと周辺技術の最新活用事例をご紹介しよう。

VRライブで超一流アスリートの“動き”まで体験!?

人々や組織の活動がデジタル化され取得可能なデータが増えたことで、あらゆる分野でデータ活用の試みが進んでいる。スポーツの世界も例外ではない。アスリートやスポーツチームの強化にデータが使われるのはもちろんのこと、スポーツを支えるファンの行動もデータによって大きく変りつつある。

その最新事例が、「シンクロアスリートLive」というシステムだ。このシステムを使えば、これまで超一流のアスリートにしか感じることのできなかった景色や動きを、遠く離れた場所にいる人々とも共有することができる。たとえば、カヌーであれば、激流に乗るときの揺れや船の先端からあがる水しぶきの様子、スピードスケートであれば、人力のみで時速60キロにも達するスピード感や景色を、その場にいなくとも選手と同じ目線・感覚で体験することが可能となる。

「シンクロアスリートLive」では、360度カメラとスマートフォンを使って、競技中の選手の視点から見た360度映像とその場の音、加速度データを取得している。これが、遠隔地のVRヘッドマウントディスプレイとモーションベースが備え付けられた座席に配信されることで、アスリートの視野や動きを全身で体感することができるのだ。

ベースとなる技術は、東京工業高等専門学校が考案・設計・製造を行う「シンクロアスリート」。ここに低遅延で映像を届けるドコモの技術を組み合わせることで、「シンクロアスリートLive」では、事前に収録されたコンテンツだけでなく、リアルタイムでの配信も可能となっている。

従来は360度映像や音声、モーションといった複数の大容量データをリアルタイムで遅延なく届けることは難しかったが、高速・大容量の5G通信を活用することで、低遅延かつリアルタイムで配信できるようになった。

大会に出場しているアスリートの動きを疑似体験できるようなエンターテインメントとしての応用例だけでなく、送り手と受け手のあいだでリアルタイムに双方向のコミュニケーションができるようになることで、受け手側のコーチが選手の動きを体験して、具体的なアドバイスをその場で選手に伝えるなど、指導内容の質を高める取組みにも活用できるだろう。

エンターテイメントから次世代のアスリート育成まで、「シンクロアスリートLive」は未来のスポーツのあり方を大きく変えていく可能性を秘めている。

いつでもどこでも誰でも高度医療を受けられる未来

※東京女子医科大学提供

高齢化に伴う医療機関の利用者の増加、医療における地域格差、大規模災害時の医療対応——日本は現在、医療に関するさまざまな社会課題を抱えている。遠隔手術支援システム「Mobile SCOT」は、そうした課題を解決できる手段のひとつになりえるかもしれない。

東京女子医科大学が主導で開発したスマート治療室「SCOT®」に、ドコモの提供する無線技術を活用してモビリティ性を加えたものが「Mobile SCOT」だ。モバイル治療室とモバイル戦略デスクからなり、遠隔からの高水準な医療診断とあらゆる場所での治療環境を実現する。

モバイル治療室は、ネットワーク化された医療機器などをトラックに搭載したものだ。たとえば、大規模災害にみまわれた地域や、医師・医療施設が不足している地域であっても、モバイル治療室があれば、誰でもどこでも高度な治療を受けることができる。

一方、モバイル戦略デスクでは、スマート治療室やモバイル治療室の医療機器情報・映像などを受信し、いつでもどこでも現場の状況を確認できる。経験豊富な医師が出張で遠隔地にいたり移動していたりする場合でも、モバイル戦略デスクを使えば、現地の手術室内の情報をリアルタイムで確認することができるため、現地の医師と合意形成しながら高度手術を遂行することが可能になる。

そして、5Gを介することで、モバイル治療室や手術室と、モバイル戦略デスクとのスムーズなコミュニケーションが可能になる。精細かつ正確な動作が求められる医療の現場では、5Gの低遅延・高速通信という特徴が大きな役割を持つ。

Mobile SCOTとそれを支える5Gが普及すれば、いつでもどこでも誰もが高度な治療を受けられるようになるだろう。最新テクノロジーが、日本の医療課題解決の糸口となり、未来の新しい医療の形を切り開いていく。

軽量ディスプレイグラスで、場所や時間を選ばずリッチなコンテンツを手軽に楽しむ

ドコモが開発を進める「軽量ディスプレイグラス」は、わずか49gという世界最軽量クラスのグラス型ウェアラブルデバイスだ。昨今ではVRやMRなどのさまざまなコンテンツを楽しめるヘッドマウントディスプレイが続々と登場しているが、今回の試作機では、あえて機能を絞り込むことで、小型化とシンプルな使い勝手を実現している。

機能としては、スマートフォンやPCと接続してレンズ部分にコンテンツを投影するというシンプルなもの。小型ではあるものの、フルHDと高精細な解像度で目の前に表示されるコンテンツを楽しむことができる。いわば、グラス型の外部ディスプレイだ。

軽量ディスプレイグラスのメリットのひとつが、いつでもどこでも気軽に大画面でコンテンツを楽しめることだ。テレビやスマートフォンのように、見る位置が固定されたり、手がふさがったりすることはない。

また、体勢によらず目の前に画面が表示されるので、ヨガやトレーニングの講義動画を見ながら自分の思うままのポーズや動きを取ることもできる。シースルー構造で周囲も見えるようになっているため、動画視聴しながらの作業も可能だ。レシピ動画を見ながら料理をしたり、掃除をしながら音楽ライブを大画面で楽しんだりといった利用方法も考えられる。軽量なので、長時間装着していても疲れにくいこともポイントだ。

自分だけの画面を見ながら作業ができるということは、ビジネス面での活躍も期待できる。たとえば、製造現場で工程を画面で確認しながら作業したり、公共の場で秘匿性の高い情報を閲覧したりといったこともできる。時間や場所を選ばずディスプレイとして使える軽量ディスプレイグラスは、リモートワーク化によって多様化する私たちの働き方を支えるだろう。

そして、軽量ディスプレイグラスに5Gスマホ を接続すれば、高画質の動画ストリーミングやストレスのない双方向コミュニケーションを実現できる。さらにこの先、大容量・多接続・低遅延という5Gのインフラが整備されれば、軽量ディスプレイグラスから取得したデータを使って、その人の状況にあわせた情報を表示させるといったこともできるようになるかもしれない。

VRやMR向けのグラス型デバイスが注目される一方で、XR(AR/VR/MRの総称)の普及にはまだ時間が掛かる。そうしたなか、軽量ディスプレイグラスのような映像出力に特化したシンプルなデバイスの登場は、グラス型デバイスの普及を加速させる契機になるだろう。スマートグラスという文化が根付いた先、私たちの暮らしはどうアップデートされるのか、注目したい。