2020年に向けて、ドコモをはじめとするさまざまな企業が第5世代移動通信システム「5G」の商用化に向けた取組みを進めている。5G時代の到来によって、 通信環境はもちろん、モビリティやエンタテインメントなど、私たちの身のまわりのさまざまな領域にも大きな変革が訪れるといわれている。人やモノ、街の全てがつながりあう世界——。そのとき私たちの暮らしはどう変わるのだろう。そしてそこには、どんな歓びがあるだろうのか。

Perfumeが表現する、テクノロジーがもたらす素敵な出来事

ドコモはPerfumeと実施した”Future Pop” Projectの一環として、「Future Pop Report」というコラボレーションムービーを公開した。動画では、「Future Disco」「Future Home」「Future Traffic」「Future Shooting」という4つの切り口から、5Gのある未来の生活をポップに描いている。これらの未来像を実現するテクノロジーとは、いったいどのようなものなのだろうか。「DOCOMO Open House 2018」に展示された最新技術の中から詳しく紐解いていきたい。

Future Disco: 遠隔地の臨場感を、リアルタイムに楽しめる

海洋生物の3DCGがARグラスに転送されて、自分のまわりを生き生きと泳ぎ回る。生きた姿をみることが難しい古代魚シーラカンスとも、一緒に踊れるかもしれない——Future Pop Reportでは、2万種類もの海洋生物たちと踊れる夢のディスコの様子が描かれていた。

5G時代が到来すると、360度カメラやARを駆使した高臨場映像、4Kをはじめとする高精細映像などをあらゆる場所で視聴する機会が増えるものと考えられている。こうした映像は、大容量のデータ伝送が可能であるという5Gの特長を活かすことで実現される。

福井県立恐竜博物館との取組みでは、会場に5G無線を用いて映像や音声データをリアルタイムで中継することで、遠隔でのリアルタイム博物館訪問が現実のものとなっていた。恐竜の化石や模型といった展示物の360度カメラ映像をヘッドマウントディスプレイに接続することにより、まるで博物館のなかにいるような臨場感のある映像体験を楽しむことができる。

360度映像やAR体験における従来の通信規格と5Gの差は「没入感」にある。5Gは4Kから8K、8Kから12Kと映像が高精細になっても、安定した伝送が実現可能なため、質感やディテールまでリアルに感じられるだろう。

また360度映像やVRの場合には、5Gの「低遅延」という特長も活きてくる。360度映像やVRは自身の動作に応じて映像が切り替わるため、遅滞なくコンテンツを表示させることが求められるためだ。5Gは映像の途切れや乱れを防ぐとともに、再生の遅延を最小化することで、酔いを起こさせずに満足度の高い体験を提供できる。

会場に足を運ぶことなくリアルタイムでその場の臨場感や感動を味わえるということは、コンサートや演劇鑑賞、スポーツ観戦などへの展開も考えられるだろう。チケットが取れなかった人も、来場するのが困難な人も、すべての人がリアルタイムでエンタテインメントを楽しめる時代は、もうすぐそこまで来ている。

Future Home: 快適な環境が自動でつくられる、夢のスマートホーム

あらゆるモノがインターネットに接続される「IoT」という言葉が身近なものになってきた。このIoTの普及をさらに加速させるのが、5Gの多数端末接続性という特長だ。あらゆるモノが5Gを通してつながりあう時代がくれば、Future Pop Reportで紹介されていた、AIによって暮らしがサポートされる家のように、私たちの日常生活の様子も大きく変わるだろう。

IoTスマートホーム®※では、そんな5Gによる新しい暮らしを垣間見ることができた。照明、ベッド、鏡、体重計、カーテンなど合計20種類の家具がIoT化され、インターネットに接続されていた。例えば、ベッドであればマットレスの下に設置したセンサーで寝返りや呼吸、心拍などを測定することで、睡眠状態や在床状況を把握できる。

これらはすべて、クラウド上のIoTアクセス制御エンジンによって連携しているため、例えば、ベッドによって検知された前日の睡眠時間や、体重計で計測した体重の変化などを、鏡の表面に映し出すといったようなことも可能となる。データを一元管理・分析することで、様々な生活情報を掛けあわせて、より快適な室内環境の提供や健康改善の提案につなげることができるのだ。

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現状では、スマートフォンアプリ上で各デバイスのON/OFFや設定値などを指定する必要があるが、将来的にデータが十分に集まってくれば、住む人のライフスタイルをAIに学習させることで、室温やBGM、トーストの”こんがり具合”まで、住む人の好みや状態に合わせた最適な環境を自動でつくりだしてくれるようなスマートホームへと進化していくかもしれない。

※IoTスマートホームはドコモの登録商標です。

Future Traffic: 5Gによる大容量通信でスムーズな自動運転を支援

自動運転社会の実現をめざして、世界各国で自動車メーカーをはじめとするさまざまな企業が技術開発にしのぎを削っている。例えば、AIやセンサ等を活用した車両の自律制御技術や、5G などの無線通信を用いた運転支援技術は、完全自動運転において期待されている技術だ。

通信を用いた運転支援技術の一例として、NTTドコモと住友電気工業と共同で進めている5Gと車載・路側センサを用い、交通状況の収集と解析を行い、車への運転支援情報を配信するという技術がある。

この技術は、走行している車両のカメラやインフラカメラなど複数のセンサ情報を5G で収集し、サーバ上でセンサの情報を解析することで交通状況を把握するというものだ。例えば、交差点付近において、歩行者の横断状況を考慮して複数の車両の交差点への進入タイミングを調整するなど、把握した交通状況を元に、安全運転を支援する推奨行動を配信することができる。

5Gによる大容量通信で、高精細なセンサ情報の収集だけでなく、車載センサでは得られないような遠方や見通し外の情報も含めた交通状況の解析が可能になり、歩行者や他の車両の状態、行動を予測できるようになる。さらに5Gには低遅延という特長もあるため、例えば交通状況の変化の情報をいち早く入手することで、余裕を持って制動をかけるなどの効果も見込まれる。

Future Pop Reportでは、自動車や歩行者がお互いの状況や道路情報を把握し、安心、安全、そしてスムーズに行き交える交通の世界観が描かれていた。交通事故は、ちょっとした見落としやタイミングのずれによって発生するが、大容量という5Gの特長によりスムーズな自動運転の実現が期待できる。WHOの調査によると、世界全体での交通事故の死者は約125万人にものぼるという。世界的な社会課題の解決にも、5Gはこれから貢献していくだろう。

Future Shooting: 高品質な映像制作を、離れた場所でも

5Gを活用すれば、離れた場所へ高品質な映像を伝送し、リアルタイムで編集や確認をすることもできる。Future Pop Reportによると、Perfumeの「Future Pop」のミュージックビデオの制作にも、実際に5Gが利用されているのだという。

DOCOMO Open House 2018では、2拠点間での4K映像を用いた生中継番組制作が実演されていた。5Gを使えば、離れた場所にいるコンビがリアルタイムで漫才をして同時に番組編集作業までをリアルタイムでする、といったことも可能になるのだ。

想像した以上に新しい未来が、私たちを待っている

アナログ方式の通信規格である1Gから、デジタル方式でメールやインターネットの利用に対応した2G、より高速化された3G、そして現在の主役となっている4Gへとモバイル通信の規格は移り変わってきた。今では、電車内でスマートフォンを使って動画を視聴するという光景も日常的に目にするようになったが、これは1Gの時代には考えられなかったことだ。5Gでも、きっと同じ。今回紹介したような未来だけでなく、もっと想像もできないような世界がこれから生まれてくるだろう。

Photos : Tadayuki Uemura
Text:Hitomi Suto