親のための子どもスマホ'必修'講座 親のための子どもスマホ'必修'講座

INTERVIEW
2018.03.09
尾木先生に聞く!
なくてはならないスマホと子どもが上手に付き合うために

後編では、前編で取り上げた問題をふまえ、今後ますます普及、活用が広まる子どものスマホ利用について、参考になる取り組みや、親子で上手に利用するヒントなどをお話しいただきました。

尾木先生に聞く! なくてはならないスマホと子どもが上手に付き合うために
大人も子どももテクノロジーを使いこなす時代へ

「今回、このインタビューのために改めてドコモのホームページなどを見たんですが、今は子どもを守るための情報やトラブル対策など、本当によく考えられているんですね。とても勉強になりました。年齢ごとのフィルタリングをはじめ、考えつくあらゆる心配事への対策が網羅されていていることには、びっくりしました。一方で、どれだけの保護者の方が、これらの対策を認識していらっしゃるのかな、とも思いました」

たしかに、各通信事業者のサイトを確認するとさまざまな対策があり、詳しい説明もあります。また、便利なアプリなどもたくさん出ているようです。ただ、日進月歩のこの分野について、大人も子どももなかなか最新の情報をキャッチするのは難しいのも現実です。それでも、感覚的にどんどん新しいものを取り入れて使いこなせる今どきの子どもたちより、遅れているのは大人のほうだと尾木先生は指摘しています。

各通信事業者が、子ども向けはもちろん、大人向けにも講習会などを開催している例もありますし、依頼すれば講師を派遣してもらえる例もあるようです。

また、スマホの使い方というピンポイントな知識だけではなく、急速にIT化が進む時代の変化についても情報の収集、知識、そして認識の上書きが大切。子どもたちに置いて行かれないよう、大人もしっかりリサーチや勉強をする必要がありそうです。

AIが普及し、どんどん実用化されていく中、これからを生きていく子どもたちはテクノロジーを使いこなす力を身につけていかなくてはなりません。かつて技術的に先進的といわれた日本ですが、世界各国のIT教育のレベルが上っている昨今、教育面においてはもはや先進国とは言えない部分もあります。IT化との関わりの中で、子どもたちにとってその入口ともいえるスマホとの関わりは必須となってきます。ですから、問題点ばかりを気にしてむやみに遠ざけるのではなく、メリット、デメリットについて親子でしっかり話し合って確認、認識した上で、成長や能力を伸ばしていかれるように上手に利用することを意識していく時代になってきているのです。

スマホ漬けにならないためには

依存は子どもだけでなく、大人でも問題になります。発達段階にある子どもは判断力や自制心が大人に比べて十分ではありませんから、この面においては、大人がしっかりケアしてあげる必要があります。

「残念ながら、日本はこの分野においては対策が非常に遅れています。日本では、ネット依存について相談をできるところも少なく、ネット依存から抜け出すために入院できる施設は全国に数か所しかありません。一方、早くから政策としてネットのインフラ構築を進めてきた韓国では、青少年向けの「ネット依存」の予防・相談・治療施設が全国に100か所以上あり、ネット依存が深刻な子ども向けの「レスキュースクール」という合宿形式の治療プログラムもあるほどです。この分野については、韓国から学ぶべきことがたくさんあると思います」

グローバルにつながれるスマホだからこそ、世界でのスマホとの取り組みにも目を向けたいものです。

「アメリカで、あるお母さんが13歳の息子にスマホを持たせるにあたって『18の約束』を作ったことが話題になりましたね。スマホを持たせる上で、そういうルール決めはやはり大事なんですよ」

これは、ネット上でも広く拡散した、『スマホ18の約束』で、スマホを買ったのは親なので所有権は親にあること、パスワードを親に知らせることをはじめ、やってはいけないことが細かく記されているもので、守れないようなら没収するといった約束事が書かれています。依存のみならず、子どもにスマホを持たせるにあたって、特に年齢の小さいうちは親子でしっかり話し合い、ルールを決めてから、というのが大切です。参考にしてみるのも良いかもしれません。

信じて伸ばそう!“スマホ世代”の子どもたちならではの考える力

「子どもたちの目覚ましい力にあらためて気付かされるような動きも出てきています。スマホがあって当たり前のライフスタイルになってきたからこそ、自分たちが主体となって、困ったことや問題に対する取り組みも進んでいるんですよ」

2017年10月に発覚した座間市のアパートで若い男女の複数遺体が発見された痛ましい事件は記憶に新しいことでしょう。この被害者の中に、福島県内の女子高生がSNSを通じて巻き込まれた可能性があることを知り、福島県では2017年11月27日に、県内全校の生徒代表が集まり「ふくしま高校生スマホサミット」が開催されました。サミットに先駆けて1年生を中心とした各校を代表する96人が話し合い、さらに当日の協議内容も加味して、次の3つの標語が決められました。

尾木先生に聞く!なくてはならないスマホと上手に付き合うために
ふくしま高校生スマホ宣言
考えて 直接話す 大切さ
いい写真 それはのせても いい写真?
Myスマホ 親にあずけて NO!スマホ
SNS 出会いの裏側 SOS

ゲストアドバイザーとしてサミットに出席した尾木先生は、実際に利用する高校生たちが、肌身で危機感を持ち、自分たちの頭で考えたことに重要な意味があると考えます。

「なかなかセンスある標語でしょう? ぜひこれを実践につなげてほしいですよね。そして、全国的に広まっていけばさらにいいと思います」

他にも、高校生の取り組みがハンドブックとして出版にまで至った例もあるそうです。
「名古屋の金城学院中学校 高等学校では、有志の生徒らが主体となって、自分たちの身は自分たちで守ろうと中高生向けのハンドブックを作ったんです。それが、出版社の目に留まって、販売までされるようになったんですよ」

中高生のためのケータイ・スマホハンドブック (学事出版)
今津孝次郎 監修/金城学院中学校 高等学校 編著
A5判 96ページ
定価(本体600円+税)
ISBN978-4-7619-1999-3

この学校では高校生が中学生にケータイやスマホの使い方を教える活動もあり、先生や保護者の言うことにはなかなか耳を貸さない年代の子どもたちも、実際に使っている先輩の意見は聞き入れるなどのメリットもあるようです。また、アメリカでは、もっと先進的で画期的なスマホ問題との取り組みが話題になりました。

「13歳のトリーシャ・プラブさんという少女が、ネットいじめを防止するためのアプリを開発して高い評価を受けたんですよ」

Re Think(リシンク=考え直す)というこのアプリは、ソーシャルメディア上に誹謗中傷などのネガティブな言葉を書き込むと、画面に「このメッセージは誰かを傷つける可能性があります。本当に投稿しますか?」という警告が現れるというもので、1500名を対象とした調査ではなんと93%もの若者がネガティブな投稿を取りやめたとの結果が出ています。

Rethink(英語版のみ)
【Android】
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.rethink.app.rethinkkeyboard&hl=ja
【iPhone】
https://itunes.apple.com/jp/app/rethink-stop-cyberbullying/id1035161775?mt=8

子どもたちも、年齢が高くなれば自ら考えて取り組む例もみられるのは喜ばしいことです。スマホを上手に活用し、ポジティブな行動を起こせる子どもたちが増えてくれればいいですね。

ネットにつながっていない時間やコミュニケーションを大切に

スマホ利用も含め広い意味でのコミュニケーションについて、重要なポイントをうかがいました。

「会話の中で、人は60%以上も非言語、つまり言葉以外の態度や表情、口調などから情報を得ているとされているんです。だから、スマホやSNSを使うようになっても、直接会って話すことの大切さを忘れないでほしいですね」

スマホ上での文字だけでのやりとりばかりでは、相手の表情を読み取る、気持ちを汲み取るといった共感力、人間ならではのコミュニケーション力が育たなくなってしまいます。家族や友人と離れているときなど便利に使う分には問題ないですが、近くにいるときはリアルなコミュニケーションを心がけましょう。あたりまえのようですが、実際には、隣に座っているのに、あるいは家族で一緒にいるのにSNSでやりとりすることが少なからず行われるようになってしまっているのが現実です。

また、新聞や本を読むことも大切とのこと。

「ニュースはスマホでも読めますが、自分が興味のあるニュースだけピンポイントで読むことが多いと思います。その点新聞は、一面や社会面だけでなく、広告やテレビ・ラジオ番組欄などさまざまな情報があって、捲っていくと自然とそれが目に入るんです。新しい言葉に触れた場合も、単語をスマホで検索して調べるのと、紙の辞書を引くのでは違います。紙の辞書では、その単語を探すうちについつい前後の単語の説明等も読んでしまう、ということがありますよね。特に子どもが小さい内は、そういう“余分な”情報が学びになるんです」

以上、尾木先生からのお話をお届けしました。子どもの成長を促すツールであるとともに、それを阻害する部分も併せ持つのがスマホの特徴と言えます。子どもたちの生活になくてはならないツールになっていく今後、親子での上手なスマホとの付き合い方を学んでいく際に、参考にしてください。

  • スマホで変わった?家族とのコミュニケーション
  • 決めておくべき!家庭のスマホルールトップ5
  • 学校でのスマホルールってどうなってるの?
  • (前編)尾木先生に聞く!なくてはならないスマホと上手に付き合うために
トップページに戻る