説明会資料
講演要旨・主な質疑応答(個人投資家向けIR説明会)
実施日:2012年9月27日
2012年9月27日に実施した「個人投資家向けIR説明会」の講演の主な内容と質疑応答をテキストでご覧になれます。
内容につきましては、ご理解いただきやすいように加筆・修正をしております。
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講演要旨
1. 市場動向
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当社は、売上高では世界第4位に位置していますが、契約数では第13位程度で、少ない契約数でありながら大きな売上高を生み出している会社です。国内の契約数シェアは、当社は6,040万(46.5%)で第1位となっています。
他の国に比べ、日本ではARPU(通信事業における加入者1人当たりの月間売上高)が急速に伸びています。特にデータ通信料比率が50%を超えており、通話料よりも通信料が上回っているモバイルインターネットの先進国です。
スマートフォン市場は急拡大しており、全世界で4000万契約近くまで拡大しています。当社では1000万契約を超えました。2. ドコモの経営方針
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現在、通信業界は、Apple社、Google社、また全世界で9億人が加入すると言われるFacebookが登場するなど様々な業種が参入し、インターネットと携帯電話の世界が融合してきました。
そのような中、経営方針として、「スピード&チャレンジ」を掲げ、ドコモの夢として、「より便利で充実した暮らし(スマートライフ)の実現」を目指しています。
「手のひらに明日をのせて」をキーワードに、一人ひとりのスマートライフ実現に向けた「ドコモならでは」のサービス開発と価値創造を推進していきます。
当社はオープンなアンドロイドOSを中心に様々なメーカーのスマートフォンを販売し、どの端末でもご利用頂ける多彩なサービス提供を行っています。3. ドコモの総合力
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(1)端末
Xiを中心としたスマートフォン、タブレット端末を始め、らくらくスマートフォンなども取り扱い、豊富なラインナップを揃えています。らくらくスマートフォン向けに月額2,980円のパケット定額サービス、らくらくパケ・ホーダイというお得な料金体系を提供することで、幅広いユーザ層へパケット利用を促進しています。
2012年度のスマートフォン販売台数は1,300万台を目指しています。それにより、スマートフォンの累積契約数は2,000万を達成することになります。その約6割は、Xiによるものと考えています。(2)ネットワーク
スマートフォンの増加により、データトラフィックは年約2倍ずつ増えており、2015年度には約12倍(2011年度比)になると予測されています。増大するトラフィック量に対応するために、ネットワーク容量の拡大、トラフィックコントロール、ネットワーク負荷の軽減、新料金プランの導入等の対策を進めています。
Xiは、高速(通信速度約10倍)、大容量(周波数利用効率約3倍)、低遅延(伝送遅延4分の1)を実現した新通信規格LTEを採用した携帯電話です。
Xiエリアの拡大に向けて、2年半で3,000億円近くを投資する計画です。2012年度末には2万1,000基地局を設置する予定で、Xiの全国のエリアカバー率は約70%となります。2014年度には、基地局約5万局、エリアカバー率約98%を計画しています。
東日本大震災では、約6,000局の基地局が使用不能となりました。また、トラフィックの急増により通信障害が起こり、ご迷惑をおかけしてしまいました。この教訓・経験を踏まえ、災害や障害への対処、スマートフォン5,000万台にも耐え得る基盤の構築など、様々な対策に尽力し、社会インフラを提供する会社としての我々の使命を果たしていきたいと考えています。(3)料金
Xiでは、通話料780円/月に700円プラスするとドコモ同士の国内通話が24時間無料になる「Xiトーク24」を提供しています。データ通信については、高利用者向けXiパケ・ホーダイ フラット、中利用者向けのXiパケ・ホーダイ ダブル、Xiパケ・ホーダイ ライトなどの料金プランをご用意しています。一定のデータ量を超えた場合、スピードを落とすか追加料金をいただき通信速度を維持するなどの新料金体系も導入しています。(4)サービス
クラウドサービスとは、インターネット上のIT機器、データ、ソフトウェアを通信回線を通じて利用できるサービスです。当社はドコモクラウドを使い、「しゃべってコンシェル」「通訳電話」「翻訳コンシェル」などのサービスを提供しています。これらのサービスには、音声認識、位置情報、音声合成、意図解析などの高度な技術を活用しています。
「しゃべってコンシェル」は、声に答えてくれたり声によって携帯電話を操作できたりできるサービスです。「このあたりの天気は?」と言うだけで、GPS機能を使って即座にその地域の天気予報が出てきます。
「通訳電話」は、英語、韓国語、中国語、仏語、独語、伊語、西語、ポルトガル語、タイ語、インドネシア語に対応した通訳電話サービスです。6月1日より試験提供を開始し、2012年秋の商用化を目指しています。
「メール翻訳コンシェル」は、メールのメッセージを自動的に翻訳するサービスです。
スマートフォンやタブレットなどの複数のデバイスから同じサービス、電話帳やメールなどの情報につながるマルチデバイス化を推進しています。
dメニューでは、コンテンツプロバイダ約3,000社による約2万のサイトをラインナップし、多彩なサービスを提供しています。一方、dマーケットでは、当社が自ら映像、書籍、アプリ、音楽などを販売しています。
dマーケットの中には、VIDEOストア、MUSICストア、アニメストア、アプリ&レビュー、BOOKストアがあります。エイベックス・エンタテインメント(株)、(株)レコチョク、(株)角川書店など、各分野の専門企業と協業しています。
dマーケットの取扱高は、現在、40億円を超えています。さらに、今年度末には約200億円を目指しています。
従来のデジタルコンテンツの他に、お茶や水など、リアルな物品の販売も始める予定です。何でも手に入るコンビニ機能を目指し、総合サービス企業へ進化していきたいと考えています。
このような取り組みを通じ、2015年、スマートフォン契約数4,000万、内Xi契約数は3,000万を目指しています。パケット収入は、2015年度には約2.7兆円(2011年度比約1.5倍)を目指しています。4. モバイルを核とする総合サービス企業への進化
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スマートフォンは手のひらの上のスーパーコンピューターです。イノベーションによって、モバイルと様々な産業・サービスとを掛け算し、新しい市場を創出して、お客様の生活の利便性や効率性の向上、さらには幸せにつながっていくことを願っています。
モバイル事業の特性を活かし、コマース事業、アグリゲーション・プラットフォーム事業、金融・決済事業、メディア・コンテンツ事業、M2M事業、環境・エコロジー事業、安心・安全事業、メディカル・ヘルスケア事業、この8分野の事業を展開していきます。
メディカル・ヘルスケア事業では、オムロンヘルスケア(株)と会社を設立し、体重、基礎体温、血糖値、睡眠、運動量などのデータを日々クラウド上に蓄積していくことにより健康を管理する健康支援サービスを立ち上げています。
メディア・コンテンツ事業では、日本初のスマートフォン向け放送サービス「NOTTV」を開始しました。「NOTTV」は、月額420円で高画質・高音質の番組が視聴できるサービスです。
コマース事業では、通販会社の(株)オークローンマーケティングを買収しました。3期連続増収となっており、モバイル経由の売上にも貢献しています。また、食品宅配会社のらでぃっしゅぼーや(株)を買収しました。安心・安全で栄養のあるものを提供していきたいと考えています。その他、タワーレコード(株)の子会社化によるdマーケットでのCD・DVDの販売強化、(株)インテージとの合弁によるモバイルリサーチ&マーケティング支援事業の新規展開などを進めています。8分野で様々な事業を展開していき、「ドコモは、携帯電話だけの会社ではなくて、サービスや物も売っている会社だ」と認識していただきたいと思っています。
金融・決済事業では、クレジット事業、ケータイ補償お届けサービスを展開しています。クレジット事業では、iD(クレジットブランド)、DCMX(クレジットサービス)ともに1,000万を超える会員数となっています。ケータイ補償お届けサービスは、3,000万以上の方が加入しています。
M2M事業では、産業機器、自動車、情報家電など、様々な機器や市場とモバイルを融合させる事業をおこなっています。
アグリゲーション・プラットフォーム事業では、世界に通用するアニメなどのコンテンツをグローバル規模で配信するプラットフォームを構築しています。
環境・エコロジー事業では、環境センサーネットワーク、サイクルシェアリングなどを展開しています。5. 財務の状況
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2012年度の営業利益は9,000億円以上を目指しています。
キャッシュフローは、基地局増設などの設備投資、M&Aなどの成長投資、株主還元に活用してきたいと考えています。
設備投資は、2010年度までは減少傾向でしたが、災害対策などにより2011年度は7,268億円に増えています。2012年度も、重要設備の分散化、ネットワーク高度化対応などに7,350億円を予定しています。将来のネットワークの足腰を強化するため、投資を増やしています。
2011年度の配当金は1株当たり5,600円でした。2012年度の配当金は、400円増配し、1株当たり6,000円を予定しています。主な質疑応答
Q1 なぜiPhoneを出さないのか?
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A1 iPhoneは優れた携帯電話だと認識していますが、当社は様々な端末を揃え、多くのサービスを自社で展開しておりますので、iPhoneという端末が馴染まない側面があります。当社としては、今後もドコモ独自のサービスをあらゆる端末の上で実現し、皆様の生活をできるだけ効率よく豊かにしていくという方針の下、iPhoneも含め、端末のラインナップを検討していきます。
Q2 株価低迷の要因について
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A2 このように会社を伸ばしていきたいという計画の結果はすぐには出てきませんので、短いスパンで見ていただくと株価は下がってくるかもしれません。中長期的な会社の成長戦略を訴えてご理解頂く、また実際にサービスを使っていただいて評価して頂く、この両輪を回しながら株価を回復していきたいと思っています。
Q3 M&A戦略について
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A3 2015年を一つの区切りにして、新しい分野での売上を1兆円にしたいと思います。自分たちでできる分野は限られていますので、M&Aは、積極的に友好的に実施していきたいと考えています。国内を中心にと思っていますが、海外も視野に入れています。
Q4 使い放題・定額サービスの料金が上昇する恐れはあるか?
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A4 設備投資を回収する必要はあるので、将来的に料金が上がる可能性はあります。また世界においても、定額制の場合は一部の契約者が大量のトラフィック量を使うということが発生しますので、不公平感を払拭するため従量制の料金体系が増える傾向にあります。当社も、世界のケースを研究しながら、最適な料金プランを提案していきたいと考えています。