説明会資料
講演要旨・主な質疑応答(個人投資家向けIR説明会)
実施日:2013年2月19日
2013年2月19日に実施した「個人投資家向けIR説明会」の講演の主な内容と質疑応答をテキストでご覧になれます。
内容につきましては、ご理解いただきやすいように加筆・修正をしております。
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講演要旨
1. 市場動向
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当社は世界の主な通信事業者の中で、売上高では世界第4位に位置していますが、契約数では第13位程度で、少ない契約数でありながら大きな売上高を生み出している会社です。国内の契約数シェアは、当社は6,099万(45.7%)で第1位となっていますが、昨今の厳しい競争状況で少し減少傾向にあります。
ポケットベルから始まり、ショルダーフォン、アナログ電話を経て現在のスマートフォンやタブレット端末へと端末が進化するに伴い、サービスについても初期の"コミュニケーションの手段"をご提供するという時代から、"生活支援"という側面を経て、今はお客様一人ひとりの"行動支援"という発展をとげています。私個人もこのショルダーフォンの開発に携わり、以降一貫してこの携帯電話の発展に関わってきました。いまやスマートフォンは、手のひらのコンピューターとも言われています。
携帯電話の加入者数は、2G、iモードの時代の急速な増加を経て、段々と飽和状態になってきています。2Gの時代には年間500万という純増がありましたが、今は純増の伸びが年々と低下傾向にあります。
そのような普及率の飽和に伴い、またモバイルデータ通信の発展に伴い、音声収入は減少傾向にあり、それをパケット収入、またドコモクラウド等の最新サービスによる収益や端末販売の収益等を含むその他収入の増で補っていく、という構造へと変化してきています。一方で日本のスマートフォン市場は急拡大しており、もはやスマートフォンの出荷台数が従来型の携帯電話を超過し、今後更に拡大していく傾向にあります。2. お客様満足度向上に向けた取り組み
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ご存知の通り、他社のiPhone販売による影響等を受け、今年度の当社の純増数の推移は大変厳しい状況にありますが、真摯に受け止め、できるだけ早く回復して行きたいと思います。また、携帯電話サービス顧客満足度調査においても2010年、2011年度2年連続1位の評価を頂戴していましたが、2012年は2位という評価を受けました。スマートフォンの急激な増加により、昨年来頻発したネットワーク故障が大きく影響していると思います。今、その状況を至急立て直すべく努力しています。
我々は2020年ビジョン、スマートイノベーションへの挑戦"HEART"というビジョンを掲げています。この2020年ビジョンに至るまでの10年、我々は"モバイルキャリア"としてモバイルの可能性を追求してきました。これからの10年は"パーソナルライフエージェント"として、手のひらのコンピューターの向こうにはあらゆる可能性と夢を実現することで、お客様一人ひとりの生活のエージェント、執事のような役割を果たしたいと考えています。そのために、ドコモの「使命」を果たし、「夢」を実現したいと考えています。「使命」とは、エリア、サービス・端末・販売拠点という我々の事業の基本において、お客様の声に耳を傾け、満足度の向上に努めること。そして「夢」とは、安心安全で、楽しみと喜びにあふれ、便利で充実した効率的な暮らしを進化したモバイル技術の提供によって実現すること、つまりお客様の"スマートライフ"を実現したい、ということです。3. モバイルのサービス進化
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これからの戦略として、競争力を磨きなおします。具体的には、今現在かなりの数をご提供している携帯電話の機種数の最適化、他社に勝るLTEネットワークの効率化、基本サービスの強化と新領域の着実な拡大、これらを総合的に実現することにより、携帯電話事業者としての競争力を磨き上げます。
この春ご紹介させていただいた春モデルは、高精細・高速通信・高速処理が可能なハイスペックの端末をそろえました。特にお勧めのXperia Zは、このように薄型、クオリティの高いデザインが特徴で、これからの春商戦で売り勝って行きたいと思います。
さらに、ジュニアも安心して利用できるスマートフォン for ジュニアも発売いたしました。発売に合わせ、お安くご利用頂ける専用の料金プランもご用意しています。また、ドコモスマートホームという、携帯電話で見ているコンテンツを家のテレビやタブレットでみることができ、また家のテレビなどでためたコンテンツをスマートフォンなどで見られる新しいサービスをご提供します。小さなスティック型端末をご家庭のテレビに挿して、あるいはこのタブレットをご家庭のWi-Fiに接続すれば、追加料金無しで、携帯で見ているコンテンツをご家庭でも楽しむことができます。
今後の端末戦略について、これまでは10数機種、という多くの種類をご提供してきましたが、これからはお勧めの機種に絞り込む、より良いものを選び抜いて他社より早くお届けする、ジュニアフォンやらくらくスマホなどの特定のニーズにお答えする、とメリハリをつけて、より良いものをご提供していきたいと考えています。
料金については、現在学生の方とそのご家族を対象としたお得な割引プランや、長い間お使い頂いたお客様へのお得なプランなどをご提供しています。
Xiという通信速度の速い通信サービス、これは動画などを見やすい高速・大容量・低遅延を特長とした通信方式です。これまでの3Gエリアに重ねて、よりご利用の多いエリアを中心に構築しています。
Xiのスピードは、光ファイバーとかわらない150Mbpsが見えてきました。アンテナを増やし、エリアを急ピッチで拡大していると共に、空港、新幹線等でもエリアを広げています。
Xiの料金は、4,935円というLTEで一番安いライトプランをご提供しています。4. 新たな価値創造に向けて
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もしもし・はいはいという通話以外の分野に価値創造を広げて行きたいと思っています。キーワードのひとつが"クラウド"。雲の向こうにいる賢い端末が、あらゆることをしてくれるというイメージです。写真などをお預かりし、整理してくれたり、物が買えたり、携帯電話が声で答えてくれたり、通訳や翻訳をしてくれる、という世界です。
dマーケットにおいては、7,000タイトルの映画やドラマが見放題のdビデオはもう400万加入に近づいています。dゲームは、他社のお客様にもご利用いただけ、対戦などができます。dショッピングについては水、米、ファッションに至るまであらゆるものを販売いたします。
dクリエイターズという新たなサービス、これはたとえば個人の方で自分の作ったぬいぐるみを売りたい、そういう人と買いたい人をつなげる場を提供します。小説や漫画などのデジタルコンテンツにおいては、既にE★エブリスタというサービスで素人の方が投稿した作品が世にでるという仕組みをご提供しており、個人の方が何億円という報酬を得たケースもありますが、このdクリエイターズではそれをリアルの世界にまで広げます。
このような取り組みにより、ドコモは単にプラットフォームにとどまらず、自らサービスを提供するサービサーとなって、お客様のニーズにあったサービスをご提供する、これもドコモの強みのひとつだと思っています。
新領域というのは大きく8つに分けて考えています。これらの8事業を根幹とし、端末・ネットワーク・サービスの中で活用し、お客様の生活に役に立つより良いサービスをご提供していきたいと考えています。
今後、"健康"というキーワードを軸に、運動、睡眠、食事、保険というあらゆるサービスを総合的にご提供していきたいと思います。
この8つの新領域において、今年度5,200億円、2015年には約1兆円の収入を目指していきたいと思います。
5. 競争力強化に向けて
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無駄なものは徹底的に省き、コストは最小限にしていきます。2011年度に比較し、2015年においては、2,000億円のコスト削減を目指します。
設備投資は、7,000億円を目安に、大きく超えないが、ネットワークの品質を損ねるほど小さくなりすぎないよう、バランスさせていきます。
配当は、これまでに減配をしたことがありません。配当性向も比較的高めです。6,000円の配当はお約束どおりお支払していきたいと思います。
今後、スマートフォンへのシフトを加速させながら、コア事業の足腰を鍛え、コスト削減も着実に実行し、競争力の強化を図ります。そして中期的にはスマートフォン4,000万加入、パケット収入の増加、新領域収益を1兆円以上、スマートARPUを2倍にして行きたいと思っています。通信だけではなく、あらゆるサービスで価値をお届けする会社になっていきたいと思います。主な質疑応答
Q1 【経営・事業戦略】他社の追い上げが激しい中、競合他社との差別化戦略は?
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A1 できるだけ自前で、お客様の生活を便利に楽しく、快適にできるサービスを提供していきます。自前といってもドコモ一社だけではなく、後ろ側には色々とお手伝い頂けるあらゆる企業様から協力を仰いでいきます。単なる携帯電話の会社ではなく、それを使ってどう生活を便利にできるのか、そういうことを考えていける会社になりたいと思っています。
Q2 【経営・事業戦略】海外戦略は?
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A2 直近ではイタリアのボンジョルノ、という会社を買収しました。この会社はインターネットを通じ、携帯電話に対してコンテンツを配信するというヨーロッパでは大手の会社です。その少し前に買収した、携帯電話事業者に対しデジタルコンテンツ配信の仕組みを提供するドイツのネットモバイルという会社と共に、欧州・全世界を相手に、アニメなどのコンテンツを配信するビジネスを進めたいと考えています。10年ほど前、iモードの時代にフランスなどで同じような試みを行いましたが、少し早すぎました。今、スマートフォンの時代がきて、端末上であらゆるコンテンツを楽しめるようになった今、まだ挑戦してみたいと思っています。
また、インドのタタグループなど、携帯電話事業者にも出資しています。現地のカントリーリスクなどにも配慮しながら、高いインドの成長を取り込んで行きたいと思います。また同じくフィリピン、バングラディシュ、韓国、台湾等、これまでに出資してきた会社ともあらゆる連携をしていきたいと思います。Q3 【その他】株価についてのお考えをお聞かせください。
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A3 9,000億円を目指しながら、8,200億円に下方修正した際は、株価も下がりました。今はアベノミクスの影響による株高の恩恵も受けているかと思いますが、もっと株価が高くてもいい、というのを実績でお見せしたいと思っています。ですから、是非長期で持って見守って頂きたいと思います。また、企業価値が最大になっても持続しないと意味がない、持続する会社でありたいと常々後輩たちにも言っています。そのような考えでいますが、ぜひご理解頂ければと思います。
Q4 【製品・サービス】au、ソフトバンクに比べて料金が高い。これからもその高品質路線でいくのか。
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A4 お客様満足度が2位になってしまいました。その評価軸のひとつに料金、というのがあります。その中で、いつもドコモは料金が高い、と言われていますが、実はドコモの料金は決して高くありません。お伝えし切れていないのは我々の努力不足かもしれません。しかし、LTEのライトプランはLTEの料金としては他社に比べて一番安くなっています。
ドコモを解約される方の理由のひとつが、"料金が高い"ということがあります。しかし、ドコモに再契約される方の中には"他社も高かった"とおっしゃる方もいらっしゃいます。お近くのドコモショップで、お客様に最適な料金プランをお調べ、お勧めすることができます。ぜひ一度、お試し頂ければと思います。Q5 【その他】ユーザ転出防止のための具体的な戦略は?
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A5 新規・取替えも含めた総販売数は50%程度のシェアを持っており好調です。これを維持しながら、ドコモをやめて他にいきたい、というお客様にいかに留まってもらうかという努力をしていきます。iPhoneがないから、という方も少なからずいらっしゃいます。他社への転出の手続きをされる方に対し、ドコモの良さや魅力を改めてご説明しており、2割くらいの方に留まっていただいているという実績もあります。しかし、何につけても端末・サービス・ネットワークをきっちり作る、これを愚直につづけることで、足腰を鍛えていきたい。すぐに解約率が下がる特効薬はないので、通信障害だけには注意しながら、今後も努力していきたいと思います。