地域からのお知らせ(関西)

ドコモと京都海洋高校、
休耕田を活用した養殖ホンモロコの取り上げを開始

2018年10月17日

株式会社NTTドコモ関西支社

株式会社NTTドコモ関西支社(以下、ドコモ)は、京都府立海洋高等学校(以下、京都海洋高校)とともに、2018年4月から、「休耕田を活用したホンモロコ養殖の実証実験」(以下、本実験)に取り組んできましたが、ホンモロコが収穫期に入ったため、2018年10月25日(木曜)より、取り上げを行います。

近年、日本農業を取り巻く環境は、生産者の高齢化、農業就業人口の減少など、厳しさを増しています。各地で耕作放棄地が発生し、農地の荒廃という社会的課題となっています。そんな中、京都海洋高校は、宮津市で休耕田をホンモロコの養殖場に再生し、稲作とホンモロコ養殖の収益性を比較する検証を、2016年から実施しています。

本実験は、ドコモが京都海洋高校の比較検証に協同するもので、ホンモロコ養殖にIoT技術を活用し、養殖作業における労力の省力化、効率化、ひいては、生産量の最大化をめざすものです。

具体的には、休耕田(約333m2)に、水稲向けの水量管理支援システム「Paddy Watch(パディウォッチ)」や、農業用気象センサー「Field Server(フィールドサーバー)」、ICTブイを改良した「陸上養殖用環境計測器」などのシステム(以下、本システム)を設置します。これにより、スマートフォンやタブレットの画面上で、専用アプリ「Field Watch(フィールドウォッチ)」、「ウミミル」を介して、水量、水温、気象状況、溶存酸素量等を可視化します。

ホンモロコは、給餌と溶存酸素量のバランスによって、生産量が現在の最大3倍程度にまで向上するといわれています。本実験では、IoT技術を活用することで、ホンモロコの育成に適した環境値を維持し、質が高く、より大きなホンモロコを育成するとともに、生産量を最大化します。
取り上げ後は、ホンモロコの質や生産量がどれだけ向上したか、本システムの有用性について検証を行います。

また、ICTを活用した人材育成の一環として、2018年9月28日(金曜)、京都海洋高校にて「ICT/IoTの活用による作業の効率化に向けて」と題した課外授業を実施いたしました。
ドコモは、パートナーとともに新たな価値を協創する「+d」の取り組みとして、今後も、京都海洋高校に本システムを提供し、休耕田におけるホンモロコ養殖の生産量増大の実現をサポートしてまいります。また、ICTを活用した人材育成、商品の開発を通じて、社会的課題の解決と地方創生に貢献してまいります。 本実験の概要は、以下のとおりです。

  • ホンモロコは、琵琶湖固有のコイ科の淡水魚です。近年、外来魚の影響で天然物が減っており、高級魚とされています。
  • 「Paddy Watch」「Field Server」は、ベジタリア株式会社の製品です。
  • 「陸上養殖用環境計測器」は、ハードウェアはセナーアンドバーンズ株式会社、ソフトウェアはアンデックス株式会社、全体コーディネート・販売はドコモが手がける製品です。

実証実験概要

1. 実験内容と使用するシステム

「Paddy Watch」、「Field Server」、「陸上養殖用環境計測器」から取得した、水量、水温、気象状況、溶存酸素量等を、専用のアプリ「Field Watch(フィールドウォッチ)」、「ウミミル」を介してスマートフォン、タブレットの画面上で可視化し、ホンモロコ養殖における有用性の検証を行います。

  1. Paddy Watch
    水稲圃場の水温・水位をスマートフォンやタブレットで確認できるセンサーデバイスです。水管理の見回り労力の効率化が図れます。ドコモの通信モジュールを搭載しています。
  2. Field Server
    水稲圃場の気象状況(温度・湿度・照度・降雨量・風向・風速)、土壌環境(土壌温度・含水率・電気伝導率)等をスマートフォンやタブレットで確認できるセンサーデバイスです。ハウス栽培や露地野菜、果樹、茶畑など圃場 環境のモニタリングにより作業の効率化が図れます。ドコモの通信モジュールを搭載しています。
  3. 陸上養殖用環境計測器
    養殖水槽の水質状況(水温、塩分、溶存酸素量、クロロフィル、濁度)を、スマートフォンやケータイで確認できるセンサーデバイスです。ドコモの通信モジュールを搭載しています。

2. 実験期間

2018年4月から2019年3月

3. 実験場所

旧上宮津小学校のプールおよび近隣の休耕田 (京都府宮津市字小田235)

©Google,ZENRIN

4. システム全体イメージ

5. アプリ画面

〈Field Watch〉

〈ウミミル〉

6. 各者の役割

ドコモ ・「Paddy Watch」、「Field Server」、「陸上養殖用環境計測器」の提供
・取得したデータを蓄積するクラウドサーバー環境の提供
・タブレット端末の提供
京都海洋高校 ・ホンモロコの養殖全般
・水量、水温、溶存酸素量の管理
・養殖作業記録

ホンモロコ概要

ホンモロコは、琵琶湖固有のコイ科タモロコ属に属する淡水魚です。普段は水深5m以上の湖沼中層域に生息しており、主に動物プランクトンや水生昆虫、小型甲殻類などを捕食しています。

1. 正式名称

ホンモロコ(本諸子、学名 Gnathopogon caerulescens)
別名はモロコ、ゴマモロコ、ヤナギモロコなど。

2. 生産工程

毎年4月から5月にかけて産卵し、10月から11月には6~7センチに成長し、出荷に適したサイズになります。

3. おもな加工品

旬は10月から翌年の2月までといわれ、関西では、塩焼きやてんぷら、甘露煮や寿司の素材として使われます。近年は、外来魚の影響で天然物が減っており、高級魚とされています。

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