これは会話じゃない──
勘違いしている自分が怖くなったんです。
- 堤幼い娘がいるんです。技術的なことはわかりませんが、SNSが絡む事件が増えていると聞くと、娘には将来そういうものに関わってほしくないと思います。もちろんSNSは便利ですが、犯罪の入口になる可能性もありますから。
- 加藤不適切なサイトやサービスを閲覧できないようにするフィルタリングという仕組みもありますが、残念ながら完全にブロックするのは難しいのが現状です。
- 堤ネットでは誰もが匿名で発信できるので、誰が発言しているのかを見極めるのはとても難しいですね。
- 加藤匿名性により事件が起こるのは情報化の影の部分です。関係者全員で事件が起きないよう努力し続けるしかありません。
- 堤いつかネット上では嘘がつけない何か、嘘を見極められる何かができればいいなと願っています。それでもゼロにはならないでしょうけど……。ネットの会話は会話ではない、本当のコミュニケーションではないということを一人ひとりが肝に銘じるしかないですね。
- 加藤匿名の関係は、本当の人間関係ではないですからね。
- 堤本当のコミュニケーションは、会話しながら相手を想うことじゃないですか。会話を通じて相手を想いやることが基本ですよね。私も以前はSNSのチャットを使っていましたが、いまはやめました。知人とやり取りをしていて「これは会話じゃないのに、俺は会話が成立しているような気になっている」と思って怖くなったんです。勘違いしては駄目だと思い、それ以来SNSの類は一切やりません。
- 加藤そのお話は、コミュニケーションの本質を突いていますね。本日は堤さんとお話させていただき、改めて会話とは何か、また本来のコミュニケーションとは何かを考えるいい機会になりました。まだまだ私たちの果たすべき役割はたくさんあると気づかされましたし、そこが今後の課題解決に向けたドコモのスタートになるとも思います。どうもありがとうございました。
対談を終えて
加藤社長とは、5月の「新サービス・新製品発表会」の時に初めてお会いしました。大きい会社の社長さんということで、バシッとして、キリッとして……と勝手に想像していたのですが、実際は、ものすごく気さくで、しゃべりやすい方でした。だから、知らないうちに失礼な態度をとってしまい、後から矢が飛んできたらヤバイなぁと(笑)。今回も、とても楽しい対談でした。いつか綾野くん、高畑さんたちCM共演者と一緒に、加藤社長を囲んでお酒でも飲みたいですね。
堤 真一〈つつみ しんいち〉
◎俳優 1964(昭和39)年7月7日生まれ 兵庫県西宮市出身
1987年NHKドラマ「橋の上においでよ」で、主演デビュー。舞台・映像と幅広く活躍を続ける。映画「ALWAYS 三丁目の夕日」(2005)で、日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞。近年の出演作品は、舞台「ロンサム・ウエスト」(2014)、映画「神様はバリにいる」「日本のいちばん長い日」(2015)、NHK連続ドラマ 小説「マッサン」(2014~2015)、ドラマ「リスクの神様」(2015、フジテレビ)など。
2015年5月から、NTTドコモ新CMキャラクターを務めている。
弱かった阪神球団──
自分だけは応援しようとファン宣言したんです。
- 堤CM撮影で特に楽しかったのが「シニアはじめてスマホ割編」です。「バース、掛布、岡田」という台詞があって……。CMのなかで往年の阪神クリーンアップをこんなに公にいってもいいんだなぁと感激しました、阪神ファンですから。
- 加藤阪神ファンなんですね。関西ご出身だからですか?
- 堤そうです。ただ以前は関西でも巨人ファンが多かったんですよ。私は兵庫県出身で、実家が甲子園球場から歩いて2キロぐらいの距離にあったんですが、子供の頃は「巨人の星」が人気だったり、阪神がメチャメチャ弱かったりで……
- 加藤そうでしたね。そんな中で何かきっかけがあったんですか?
- 堤実は……私も野球を教えてくれるお兄ちゃんがみんな巨人ファンだったので、やはり巨人ファンでした。でも小学校2年生の時、こんなに甲子園球場に近い所に住んでいる僕が応援しないで誰が阪神を応援するんだと思い、お兄ちゃんたちに「僕、今日から阪神ファンになる」と宣言したんです。めちゃくちゃ怒られました(笑)
- 加藤それは、すごい勇気ですね。
- 堤親父が川上監督と同じ熊本出身だったので、家族もみんな巨人ファンでした。それから私が阪神ファンになり、姉が阪神電鉄に就職して甲子園球場のウグイス嬢になって……そのうち親父も阪神ファンになりました。
- 加藤堤さんは誰のファンですか?
- 堤江夏です。今はたまに試合を見る程度ですが、今回のCM撮影は懐かしさもあり本当に楽しかったです。