• 2019.10.31
  • 特集

5Gプレサービス発表会「5G OPEN DAY」レポート①

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パートナー企業とひらく、5Gの新たな可能性

2019年9月20日から始まったドコモによる5Gプレサービス。「ラグビーワールドカップ2019™日本大会」での5Gサービス提供に加え、ドコモショップなどの一部店舗に5Gサービス体験コーナーを設置、第32回東京国際映画祭でもドコモの5Gを使ったVR(仮想現実)ライブを行うなど、さまざまなプレサービスを実施・予定しています。そのスタートに先立つ9月18日、5Gプレサービス発表会「5G OPEN DAY」を都内のホールで開催しました。今号から3回に分けてイベントの模様を紹介します。

発表会場の他に、さまざまな5Gサービスを紹介する展示会場も2か所用意しました(写真は地下1階の展示会場)

第1回のテーマは「パートナー企業とひらく、5Gの新たな可能性」。
ドコモは、5Gを幅広いパートナーとともに社会課題の解決や新しい価値の創出につなげるため、2018年2月から「ドコモ5Gオープンパートナープログラム」の提供を開始し、参加企業・団体は現時点で3000超(2019年9月18日現在)。
高速・大容量、低遅延、多数接続が特徴の5Gですが、肝心なのはこの新世代ネットワークを「どう使うか」ということ。パートナー企業との協創を通じて、5Gはどう使われようとしているのか、ご紹介していきます。

世界でも例のない取組み、「ドコモ5Gオープンパートナープログラム」

5Gプレサービスのキーワードは、新しい世界や社会の扉が5Gによってひらかれる、という意味を込め、「5G OPEN」としました。発表会でプレゼンテーションを行った吉澤社長は、来春に迫った5G商用化をにらんだ取組みの中でもきわめて重要な施策として、「ドコモ5Gオープンパートナープログラム」を強くアピールしています。
「ドコモ5Gオープンパートナープログラム」では、パートナーとなる企業・団体に対して、5Gに関するさまざまな情報を提供するとともに、パートナー間の交流、意見交換を促進するためのワークショップを開催するなどの活動を行っています。また、5Gプレサービスの開始に合わせて、プログラムに参加しているパートナー向けに、5Gとクラウドを組み合わせたドコモ独自の協創プラットフォーム、「ドコモオープンイノベーションクラウド™」の提供も開始。ドコモ常設の5G技術検証環境「ドコモ5Gオープンラボ」もこれまでの4拠点から11拠点に拡大します。これにより、全国のパートナーとの協創、社会課題の解決、新たな価値創出に弾みをつける考えです。
「ドコモ5Gオープンパートナープログラム」では、すでに約200件ものトライアルが行われており、吉澤社長は「世界においても例がなく、ドコモならではの取組み」と胸を張ります。

ドコモ5Gオープンパートナープログラムについて説明する吉澤社長

続いて、パートナー企業とドコモの協創の具体例を3つ、ご紹介します。

日本プロゴルフ協会との協創による「遠隔レッスン」でゴルフ業界を活性化

現在ゴルフ業界はプレイヤーの減少に頭を悩ませています。5年に一度実施される総務省統計局による「社会生活基本調査」(平成28年)によると、日本のゴルフ人口は、5年前と比べて28万人も減少しています。公益社団法人日本プロゴルフ協会(PGA)の倉本昌弘会長は、「若者のゴルフ離れとゴルファーの高齢化が業界の問題。ゴルファーをもっと増やしたい」と訴えます。

発表会でドコモとの協創による「遠隔レッスン」を紹介するPGA倉本会長

がっちり握手を交わす倉本会長とドコモ吉澤社長

こうした課題を解決すべくPGAとドコモが進めているのが、5GとAI(人工知能)とを融合した「遠隔レッスン」です。これは、従来PGA公認のティーチングプロが在籍するPGAゴルフアカデミー加盟店でしか受けることのできなかったティーチングプロによる本格的なゴルフレッスンを、5Gならではの高速・大容量、低遅延という特徴を活かし、遠隔地でも受講できるようにするものです。
受講者のスイングを5Gスマホで撮影し、クラウド上のAIで解析、その結果をもとに、離れた場所にいるティーチングプロがリアルタイムで適切な指導を実施します。実証実験の開始を2019年12月に予定しています。
倉本会長は「AIによる遠隔レッスンという発想は、PGAだけではなし得なかった」と、協創の成果を強調します。

展示ブースで行われた「遠隔レッスン」のデモンストレーション。スイングの様子を撮影し、5G通信でクラウドに伝送

クラウド上のAI解析を参考に、遠隔地からティーチングプロが遅延なく適切な指導を行います

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会では,リオデジャネイロに続いて2大会連続でゴルフが競技種目となりました。「これを機に、ゴルフへの興味関心を高め、ゴルフ人口を増やしたい」と倉本会長。「遠隔レッスンを皮切りに、今後はプレーする楽しさ、観戦する楽しさを高めるため、またゴルフ場経営の効率化などにも5Gソリューションを活用したい」と、その可能性に期待を寄せています。5Gによるゴルフ業界活性化に向けた今後の取組みに注目しましょう。

5GとXR技術を活用し、まったく新しいクリエイティブ環境を創出

5Gはクリエイターの創作環境にも大きな変化を与えます。
イラストレーターやデザイナー、設計者、アニメーター、漫画家などプロフェッショナル向けにペンタブレットなどのデジタルツールを提供する株式会社ワコムとドコモは、5GとXR(※1)を活用した新しいクリエイティブ環境の創出に取り組んでいます。
プレサービス発表会で壇上に上ったワコム代表取締役社長兼CEOの井出信孝氏は、「近年、3D環境で創作したい、遠隔地で複数のデザイナーとコラボしたい、自分の作品をセキュアにネット上で提供したい、などの新しい要望が生まれている」としたうえで、「5Gを使って、空間や場所、時間に縛られない創作環境を提供したい」と話します。ソリューションのひとつが、「5G通信を通じて、XR空間上で複数のデザイナーが同時にデザインできるシステム」の開発です。

  1. VR(仮想現実)やAR(拡張現実)、MR(複合現実)など仮想的空間技術の総称

「5Gを活用した新しい創作環境を提供する」と熱く語るワコムの井出CEO

たとえばクルマのデザインの場合、これまではペンタブレットなどで描いたデザインを、複数のデザイナーたちが何度も協議しながらクレイモデル(粘土による立体造形)にし、さらに何度も修正を施して完成形に近づけるため、かなり時間と労力のかかる作業になります。
一方開発中のシステムでは、5G通信で構築された仮想空間に複数のデザイナーが集合し、ひとつのデザインを一気に完成させていきます。外装と内装デザインを同時に進めることも可能ですし、「ここの色は薄めで」「もう少しソリッドなシルエットが好ましい」などディスカッションしながら、リアルタイムで修正を加えていくこともできます。また、3Dで描画していくため、わざわざクレイモデルを制作する必要もなくなります。

ヘッドセットとデジタルペン、マイクを使い、離れた場所にいる複数のデザイナーと仮想空間上で、アイデアを出し合いながら同時にデザインできます(写真はモニター上に見える遠隔地のデザイナーとの共同作業です)

井出CEOは、「ドコモの遅延のない、安定した5G通信で、より自由な創作環境を提供します」と力強く語りました。

Magic Leap社の空間コンピューティング技術で5Gの世界を疑似体験!

ドコモは2019年4月、最先端の空間コンピューティング技術を有するMagic Leap Inc.(以下ML社)と資本・業務提携をし、5G時代を見据えたMRサービスの創出とマーケットの拡大に取り組んでいます。
5Gプレサービス発表会でも、ML社のデバイス「Magic Leap One」のデモンストレーションが行われ、参加者は5Gの世界を疑似体験することができました。

改めてMRとはどんなものか、ここで説明しておきましょう。VR(Virtual Reality:仮想現実)とは、CGなどで作った仮想空間のことで、ゴーグルなどを装着して別世界に実際に入り込んだかのような錯覚を楽しめるものです。AR(Augmented Reality:拡張現実)とは、目に見える現実の世界の一部にCGなどによる仮想世界を組み込んだものです。MRは、現実世界と仮想世界の情報を組み合わせる技術であり、現実世界の壁や机などのモノや空間を認識した状態でCGキャラクターなどが登場し、仮想世界をよりリアルに体験できるのが特徴です。

百聞は一見にしかず。
シューティングゲームの「Dr. Grordbort’s Invaders(Dr. G)」を見てみましょう。
ML社製のヘッドセット「Magic Leap One」を装着すると、突如、現実世界の壁に穴が開き、そこからロボット軍団が出現、あなたに襲いかかってきます。あなたはロボットの攻撃から身を守りながら(手を前にかざすと敵の攻撃を封じるシールドが出てきます)、コントローラーを使ってロボットたちを打ち倒していきます。3DCGで作られたロボットも、迫力あるサウンドも、そのリアリティは非常にハイレベルです。

実際にMRゲームを体験。周りの人から見るとユーザーは普通の部屋の中でただ動き回っているだけのようですが……

ヘッドセット越しに見ると、部屋の壁に突如穴があき、ロボットたちがそこから続々侵入しています。
まさに現実と仮想とが高次に融合されたMRゲーム。迫り来るロボットのリアリティは抜群です

「Undersea」は、その名の通り部屋の中で潜水体験ができるMRコンテンツ。2019年8月、ロサンゼルスで開催された「SIGGRAPH 2019」で公開されたばかりの新作です。
「Dr. G」と同じくMagic Leap Oneのヘッドセットを装着してアプリを起動すると、美しい珊瑚礁や魚の群れが眼前に現れ、不思議な海中散歩を楽しむことができます。

部屋がいきなり海中に! 魚の群れと戯れたり、海中を歩き回ったり。現実では決してできない体験ができます

MRと5Gの融合により、これからのゲームやエンターテインメントの世界はよりリアルに、創造的に進化を遂げそうです。

別ウインドウが開きます※一部のドコモショップでMagic Leapを体験することが可能です。

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