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Super 3Gの技術動向 その1 Super 3Gの概要および標準化活動状況〜2.Super 3Gコンセプト

2.1 Super 3Gのねらい

無線技術を標準化するITU-R(International Telecommunication Union-Radiocommunication sector)では、3G以降の将来の移動通信システム、いわゆる「4G」について検討している。現在、利用する周波数帯を特定するための議論の段階にある。

現時点では、4Gは標準化上において具体的な技術標準を議論する段階にないが、フレームワーク勧告注意1で示されている仕様としては、高速移動で100Mbit/s、低速移動で1Gbit/sといった速度が期待されている。ドコモではこの仕様を実現する技術も積極的に研究しており、2010年以降の導入を目指し、屋外実験において高速移動で100Mbit/s、低速移動で1Gbit/s の速度をすでに実証している。さらに低速移動環境において2.5Gbit/sの速度も屋外実験で実証している。

4Gの導入には3つのシナリオが考えられる(図1)。このうち4Gをスムーズに導入するにはまず3Gを発展させて、そのうえに4Gを構築するシナリオ3が最適との結論に達した。この発展させた3Gを「Super 3G」と呼び、2004年初めにそのコンセプトを提案した。

図1 4G 導入シナリオ

HSDPA の導入により、W-CDMA技術を使用した3G移動通信システムは数年にわたって市場の要求を満たし、他のシステムに対する競争力を確保できると考えられる。しかしながら、さらに今後、急速に伸びるマルチメディアトラフィックやユビキタストラフィックに対応するには、長期的に見た技術進化が必要となる。この考え方は、2004年末に3GPPにSuper 3G(標準化上ではLong term EvolutionあるいはEvolved UTRA and UTRAN)を提案した際に多くの通信事業者から共感を得られた。

Super 3Gの目的は4Gへのスムーズな移行だけでなく、W-CDMA方式の3Gを発展させることにより長期的に競争力を維持することにある(図2)。Super 3Gはあくまでも3Gの範囲に含まれ、周波数は現在3Gに割り当てられている帯域と、今後新たに3G用に追加される帯域を使用する。

図2 Super 3G のコンセプト

  • 注意1 フレームワーク勧告:検討を行うための組織構成、手順などを定めたもの。

本記事は、テクニカル・ジャーナルVol.14 No.2に、掲載されています。