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さらなるビットコストの低減に向けたSuper 3Gの開発〜3.Super 3G(LTE)無線方式概要

Super 3G試作装置の基本仕様を表1に示す[5]〜[7]。これらの仕様は3GPP標準化におけるLTEの仕様と一致している。無線アクセス方式として、下りリンクにはマルチパス干渉に対する耐性が高く、サブキャリア数を変更することで広範囲な周波数帯域幅に柔軟に対応ができるOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)を、上りリンクには移動端末(UE:User Equipment)のピーク電力対平均電力比(PAPR:Peak-to-Average Power Ratio)注意1の低減により低消費電力化が実現でき、ユーザ間の信号の直交化により干渉低減が図れるSC-FDMA(Single Carrier-FrequencyDivision Multiple Access)注意2を用いている。以下に無線方式の概要について説明する。

表1 Super 3G試作装置の基本仕様
周波数 1.7GHz帯
アクセス方式 上り SC-FDMA
下り OFDMA
帯域幅 5, 10, 15, 20MHz
サブフレーム長 1ms
サブキャリア間隔 15kHz
ガード区間 ショート 4.7µs
ロング 16.7µs
変調方式 QPSK, 16QAM, 64QAM注意
チャンネル符号化 ターボ符号
マルチアンテナ 1×2, 2×2(4×2)MIMO, 4×4 MIMO

注意上りリンクではオプション

3.1 下りリンク無線アクセスOFDMA

直交周波数分割多重(OFDM :Orthogonal Frequency Division Multiplexing)は、高速情報レートの広帯域信号を多数の低速シンボルレートのマルチキャリア信号を用いて並列伝送することにより、マルチパス干渉(遅延波からの干渉)に対して耐性の高い信号伝送が実現できる。さらに、OFDMは狭帯域幅のサブキャリア信号を用いるために、サブキャリア数を変更することにより広範囲な信号帯域幅のスペクトルに柔軟に対応できる。OFDMでは、各OFDMシンボルの先頭にサイクリックプレフィックス(CP:Cyclic Prefix)と呼ばれるガード区間を設けることにより、前シンボルの遅延波が次のOFDMシンボルにおよぼすシンボル干渉およびサブキャリア間の直交性の崩れに起因するサブキャリア間干渉を除去できる(図6)。Super 3G(LTE)では、このCPを用いるOFDM ベースの無線アクセス(OFDMA)をベースラインにしている。

図6 OFDM

以下ではSuper 3G(LTE)に新たに適用された主な容量改善技術について説明する。

(1)周波数スケジューリング

広帯域伝送では、マルチパスにより周波数領域の受信レベルが変動する周波数選択性フェージングの影響をいかに低減し、有効に利用するかが鍵となる。Super 3G(LTE)ではデータチャネルの伝送方法として、周波数領域の伝搬路の変動を利用した周波数領域パケットスケジューリングが適用されている。UEは定められた周波数単位ごとに下りチャネルの受信品質を示す指示子であるCQI(Channel Quality Indicator)を測定し、測定したCQI情報を上りリンクの制御チャネルにより、基地局であるeNB(evolved Node B)に報告する。eNBは、複数ユーザから通知されたCQI情報を基に、無線リソースブロック(RB:Resource Block)注意3を選択したユーザに割り当てる(図7)。各ユーザのCQIに応じて受信信号レベルの高い周波数ブロックを各々のユーザに対して最適に割当てを行うことにより、ユーザ間のダイバーシチ効果(マルチユーザダイバーシチ)を得ることができ、ユーザスループットおよびセル当りのスループット向上が可能となる。

図7 周波数スケジューリング

(2)MIMO多重伝送を用いる高速信号伝送

MIMO(Multi-Input Multi-Output)多重伝送は、複数の送受信アンテナを用いて、同一の周波数、時間において異なる信号を同時に送受信することにより高速伝送を実現し、ユーザ/セルスループットを向上することができる。移動端末では送信アンテナごとの直交参照シンボル注意4を用いて測定したチャネル変動値を基に送信信号分離を行う。OFDMAは、DS-CDMA(Direct Sequence - Code Division Multiple Access)注意5などのシングルキャリアベースの無線アクセスと異なり、他の送信アンテナ信号との信号分をマルチパス干渉の影響を受けることなく高精度に実現できるため、MIMO多重伝送との親和性に優れており高速信号伝送に適している。また、受信状況において、送信ストリーム数を制御するランクアダプテーションが適用されている(図8)。この制御は、受信レベルが低いところ、あるいはチャネルの相関が高いところでは、ランク数(送信ストリーム数)を小さくして品質の改善を行い、受信レベルが高くチャネルの相関が低いところでは、複数のストリームを同時に送信するこ とにより高速伝送を実現する。

図8 ランクアダプテーションの適用例

  • 注意1 ピーク電力対平均電力比(PAPR):ピーク時の送信電力の大きさを示す指標であり、変調信号の最大送信電力と平均送信電力の比。PAPRを下げることにより、移動端末の低消費電力化が図れる。
  • 注意2 SC-FDMA:同一周波数帯域内において、複数ユーザに対し、ユーザごとに連続した周波数帯域を割り当てることで、複数のユーザアクセスを可能とする方式。
  • 注意3 無線リソースブロック(RB):周波数スケジューリングを行う無線リソースの最小単位。
  • 注意4 直交参照シンボル:セルのレベル検出や復調時のチャネル推定に用いる参照シンボルであり、本参照シンボルは複数のアンテナ間で直交している。
  • 注意5 DS-CDMA:ユーザごとに異なる符号を用いて信号系列を直接拡散することで、同一周波数帯域内において複数のユーザのアクセスを可能とする方式。W-CDMA方式に採用されている。

本記事は、テクニカル・ジャーナルVol.16 No.2に、掲載されています。

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